闘いの日々には、もうウンザリ!妖怪の王は、異世界でスローライフを目指す……が、ままならず!

高岩唯丑

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第三章

08

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「お前!」
 私に気付いたホブゴブリンが雄たけびのような声をあげる。そのまま、周りにいた冒険者と仲間のゴブリンをなぎ倒して、こちらに走ってきた。
「仲間に対して、それってどうなの」
「お前! 報告にあった女か! 特徴が一致する!」
 こん棒を振り上げながらホブゴブリンが声を荒げる。確認が取れる前に殴りかかってきてるのはどうなのよ。
「人違いです」
「うるさい!」
 全く聞く耳持たないんだったら、確認するなと思うけど、知能は低そうだし、しょうがないか。私は振り下ろされてくるこん棒を見ながら、そんな事を考える。
「おい! お嬢ちゃん! 呆けてんな!」
 見ていた冒険者のおっさんが、私に声をかけてくる。私、坊やより年上ですけど。
「大丈夫、これくらい」
 声をかけてきた冒険者に、私は笑って返す。振り下ろされたこん棒は、空中で止まっている。風の壁を作って、受け止めているのだ。さすがにピタリとはいかず、押し合う様に、こん棒は動いている。ホブゴブリンは無理やり押し込もうとしているらしい。頑張ってるなぁ。
「何なんだお前!」
 雄たけびのような声で、ホブゴブリンは問いかけてくる。ここで不用意に自己紹介なんてするわけない。私は風でこん棒を押し返して、ホブゴブリンを少し離れた所まで吹き飛ばす。
「さて、この辺でやめておかない?」
 すぐさま立ち上がってきたホブゴブリンに、私はそう告げた。今ので敵わないのは分かったはずだ。引いてくれると嬉しいのだけど。
「お前、殺す!」
 全くもって、引く感じがしない上に、ヒートアップしている気がする。ホブゴブリンは自分を鼓舞する様に雄たけびをあげている。
「ちょっとビビらすか」
 私は自分で抑えている物を少しだけ開放する。これで逃げ帰ってくれれば良いけど。
「喚くな、身の程をわきまえよ、去れ小僧」
「ひっ」
 ホブゴブリンは体を強張らせて、明らかに腰が引けている。効果はあるみたい。ちょっと油断して言葉使いが変わってしまったけど。
「魔王様と……同じ……違う、お前なんか!」
 脂汗にまみれてヘロヘロの状態のホブゴブリンが、こん棒を振り上げながら向ってくる。
「聞こえなんだか、去れと言っている」
「うおぉぉぉぉ!」
 自分を鼓舞するための雄たけび。これは引く気がないという気持ちの表れか。私は小虫を払うように右手を振った。
「ッ!」
 ホブゴブリンの一瞬の声なき悲鳴をあげて、全身切り裂かれ、そのまま、モンスターコアを残して、消滅した。私は自分を抑え込むように、一度大きく息を吐く。
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