42 / 48
第三章
08
しおりを挟む
「お前!」
私に気付いたホブゴブリンが雄たけびのような声をあげる。そのまま、周りにいた冒険者と仲間のゴブリンをなぎ倒して、こちらに走ってきた。
「仲間に対して、それってどうなの」
「お前! 報告にあった女か! 特徴が一致する!」
こん棒を振り上げながらホブゴブリンが声を荒げる。確認が取れる前に殴りかかってきてるのはどうなのよ。
「人違いです」
「うるさい!」
全く聞く耳持たないんだったら、確認するなと思うけど、知能は低そうだし、しょうがないか。私は振り下ろされてくるこん棒を見ながら、そんな事を考える。
「おい! お嬢ちゃん! 呆けてんな!」
見ていた冒険者のおっさんが、私に声をかけてくる。私、坊やより年上ですけど。
「大丈夫、これくらい」
声をかけてきた冒険者に、私は笑って返す。振り下ろされたこん棒は、空中で止まっている。風の壁を作って、受け止めているのだ。さすがにピタリとはいかず、押し合う様に、こん棒は動いている。ホブゴブリンは無理やり押し込もうとしているらしい。頑張ってるなぁ。
「何なんだお前!」
雄たけびのような声で、ホブゴブリンは問いかけてくる。ここで不用意に自己紹介なんてするわけない。私は風でこん棒を押し返して、ホブゴブリンを少し離れた所まで吹き飛ばす。
「さて、この辺でやめておかない?」
すぐさま立ち上がってきたホブゴブリンに、私はそう告げた。今ので敵わないのは分かったはずだ。引いてくれると嬉しいのだけど。
「お前、殺す!」
全くもって、引く感じがしない上に、ヒートアップしている気がする。ホブゴブリンは自分を鼓舞する様に雄たけびをあげている。
「ちょっとビビらすか」
私は自分で抑えている物を少しだけ開放する。これで逃げ帰ってくれれば良いけど。
「喚くな、身の程をわきまえよ、去れ小僧」
「ひっ」
ホブゴブリンは体を強張らせて、明らかに腰が引けている。効果はあるみたい。ちょっと油断して言葉使いが変わってしまったけど。
「魔王様と……同じ……違う、お前なんか!」
脂汗にまみれてヘロヘロの状態のホブゴブリンが、こん棒を振り上げながら向ってくる。
「聞こえなんだか、去れと言っている」
「うおぉぉぉぉ!」
自分を鼓舞するための雄たけび。これは引く気がないという気持ちの表れか。私は小虫を払うように右手を振った。
「ッ!」
ホブゴブリンの一瞬の声なき悲鳴をあげて、全身切り裂かれ、そのまま、モンスターコアを残して、消滅した。私は自分を抑え込むように、一度大きく息を吐く。
私に気付いたホブゴブリンが雄たけびのような声をあげる。そのまま、周りにいた冒険者と仲間のゴブリンをなぎ倒して、こちらに走ってきた。
「仲間に対して、それってどうなの」
「お前! 報告にあった女か! 特徴が一致する!」
こん棒を振り上げながらホブゴブリンが声を荒げる。確認が取れる前に殴りかかってきてるのはどうなのよ。
「人違いです」
「うるさい!」
全く聞く耳持たないんだったら、確認するなと思うけど、知能は低そうだし、しょうがないか。私は振り下ろされてくるこん棒を見ながら、そんな事を考える。
「おい! お嬢ちゃん! 呆けてんな!」
見ていた冒険者のおっさんが、私に声をかけてくる。私、坊やより年上ですけど。
「大丈夫、これくらい」
声をかけてきた冒険者に、私は笑って返す。振り下ろされたこん棒は、空中で止まっている。風の壁を作って、受け止めているのだ。さすがにピタリとはいかず、押し合う様に、こん棒は動いている。ホブゴブリンは無理やり押し込もうとしているらしい。頑張ってるなぁ。
「何なんだお前!」
雄たけびのような声で、ホブゴブリンは問いかけてくる。ここで不用意に自己紹介なんてするわけない。私は風でこん棒を押し返して、ホブゴブリンを少し離れた所まで吹き飛ばす。
「さて、この辺でやめておかない?」
すぐさま立ち上がってきたホブゴブリンに、私はそう告げた。今ので敵わないのは分かったはずだ。引いてくれると嬉しいのだけど。
「お前、殺す!」
全くもって、引く感じがしない上に、ヒートアップしている気がする。ホブゴブリンは自分を鼓舞する様に雄たけびをあげている。
「ちょっとビビらすか」
私は自分で抑えている物を少しだけ開放する。これで逃げ帰ってくれれば良いけど。
「喚くな、身の程をわきまえよ、去れ小僧」
「ひっ」
ホブゴブリンは体を強張らせて、明らかに腰が引けている。効果はあるみたい。ちょっと油断して言葉使いが変わってしまったけど。
「魔王様と……同じ……違う、お前なんか!」
脂汗にまみれてヘロヘロの状態のホブゴブリンが、こん棒を振り上げながら向ってくる。
「聞こえなんだか、去れと言っている」
「うおぉぉぉぉ!」
自分を鼓舞するための雄たけび。これは引く気がないという気持ちの表れか。私は小虫を払うように右手を振った。
「ッ!」
ホブゴブリンの一瞬の声なき悲鳴をあげて、全身切り裂かれ、そのまま、モンスターコアを残して、消滅した。私は自分を抑え込むように、一度大きく息を吐く。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~
Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。
うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。
でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。
上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。
——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる