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愛しくて、守りたい人 ①
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車が白哉の家に着くころには、日がすっかり暮れていた。
ガレージの扉が自動で開き、吸い込まれるように入庫した車はやがて停まる。
ドアを開けると、月明りに照らされた静かな夜の中、チリチリと足元で虫たちが鳴いていた。
杏依の胸はドクドクと大きく鳴っていた。「もう少しそばにいたい」だなんて、我ながら大胆なことを言ってしまった。しかも、彼に想いを告げられた後に、だ。
けれど、車に乗る前まで感じていた鼓動のリズムとはぜんぜん違う。ドキドキするなら、こっちの方が断然いい。杏依は胸に手を当て、深呼吸をした。
「何やってんの?」
「わあ!」
心臓が止まるかと思った。白哉がドアから身を乗り出して、杏依の顔を覗いてきたのだ。
優しい笑顔。これが、〝人殺し〟な彼の、本当の姿。それを知った今、杏依の胸の中は愛しさで溢れていた。
不意に白哉のスマホが鳴る。ため息を零した彼は、ポケットのスマホを取り出した。
「オンコールですか?」
「いや、王子からだ」
白哉はスマホを確認し、鳴りやまないバイブレーションに再びため息を零した。
「もしもし」
「……先、玄関に向かってますね」
近くにいては、会話を盗み聞きしてしまうよう。それはなんとなく悪い事な気がして、杏依は車を降りた。
鞄から白哉の家の鍵を取り出し、彼の前に掲げた。
『悪い』
会話の途中に口パクで伝えられる。杏依はコクリと頷くと、一人ガレージから玄関へと向かった。
玄関の鍵を開けていると、不意に視線を感じた。もう電話、終わったのかなと、振り返る。
「あ……」
そこにいたのは白哉ではなかった。
エントランスの明かりに照らされて立っているのは、小柄な女性。その顔は、とても驚いている。
「あなた、海原楽器のチェロの――」
その声に聞き覚えがあり、杏依は慌ててペコリと頭を下げた。同時に、胸がドクリと厭な音を立てる。
そこにいたのは、大熊氏の奥さんだったのだ。
彼女が杏依を知っているのには心当たりがある。音楽教室には演奏会のポスターが貼ってあったからだ。
『義手のチェリスト』である杏依の演奏もぜひ聞いて欲しいと、顔写真付きで載っていたのだ。
「何であなたがここにいるの?」
それは、こちらが聞きたい。一体、白哉に何の用だろうか。そもそも、何で彼女がの門の中にいるのだろうか。
けれど、家主がここにいない状況で、何も聞くことはできない。
ガレージの扉が自動で開き、吸い込まれるように入庫した車はやがて停まる。
ドアを開けると、月明りに照らされた静かな夜の中、チリチリと足元で虫たちが鳴いていた。
杏依の胸はドクドクと大きく鳴っていた。「もう少しそばにいたい」だなんて、我ながら大胆なことを言ってしまった。しかも、彼に想いを告げられた後に、だ。
けれど、車に乗る前まで感じていた鼓動のリズムとはぜんぜん違う。ドキドキするなら、こっちの方が断然いい。杏依は胸に手を当て、深呼吸をした。
「何やってんの?」
「わあ!」
心臓が止まるかと思った。白哉がドアから身を乗り出して、杏依の顔を覗いてきたのだ。
優しい笑顔。これが、〝人殺し〟な彼の、本当の姿。それを知った今、杏依の胸の中は愛しさで溢れていた。
不意に白哉のスマホが鳴る。ため息を零した彼は、ポケットのスマホを取り出した。
「オンコールですか?」
「いや、王子からだ」
白哉はスマホを確認し、鳴りやまないバイブレーションに再びため息を零した。
「もしもし」
「……先、玄関に向かってますね」
近くにいては、会話を盗み聞きしてしまうよう。それはなんとなく悪い事な気がして、杏依は車を降りた。
鞄から白哉の家の鍵を取り出し、彼の前に掲げた。
『悪い』
会話の途中に口パクで伝えられる。杏依はコクリと頷くと、一人ガレージから玄関へと向かった。
玄関の鍵を開けていると、不意に視線を感じた。もう電話、終わったのかなと、振り返る。
「あ……」
そこにいたのは白哉ではなかった。
エントランスの明かりに照らされて立っているのは、小柄な女性。その顔は、とても驚いている。
「あなた、海原楽器のチェロの――」
その声に聞き覚えがあり、杏依は慌ててペコリと頭を下げた。同時に、胸がドクリと厭な音を立てる。
そこにいたのは、大熊氏の奥さんだったのだ。
彼女が杏依を知っているのには心当たりがある。音楽教室には演奏会のポスターが貼ってあったからだ。
『義手のチェリスト』である杏依の演奏もぜひ聞いて欲しいと、顔写真付きで載っていたのだ。
「何であなたがここにいるの?」
それは、こちらが聞きたい。一体、白哉に何の用だろうか。そもそも、何で彼女がの門の中にいるのだろうか。
けれど、家主がここにいない状況で、何も聞くことはできない。
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