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アイドル編
028 アイドル編5 模擬戦トーナメントFクラス
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翌日。模擬戦トーナメントFクラス3艦の部にエントリーする。
さすがFクラス、16艦隊によるトーナメントとなっている。
つまり4回勝たないと優勝できないということ。
戦う数が多いほどダメージが蓄積し物資が底をつく厳しい戦いになる。
そこらへんの技術も問われるということだろう。
僕の出番はで第一試合。
相手艦隊は『紅蓮の炎団』。
やっぱり艦隊名を登録するのがデフォのようだ。
まあ僕だけのぼっち艦隊だからアキラ艦隊のままでいいや。
こちらの戦力はおなじみ『AKIRA』『NPC艦C型』×2の3艦。
昨日のダメージと残弾は最大値まで回復している。
そしてFクラスに昇格したことで、NPC艦D型がNPC艦C型に変わっている。
AとB。多少装備に個性がある。
Bはレーダーが弱い代わりにミサイルを搭載している。
それぐらい戦力アップした相手と戦うということなんだろう。
『AKIRA』
艦種 艦隊旗艦
艦体 全長230m 巡洋艦型 2腕 次元格納庫(-)
主機 対消滅反応炉G型(15) 高速推進機D型
補機 熱核反応炉G型(6)停止
兵装 主砲 長砲身5cmレールガン単装1基1門 通常弾 100/100 特殊弾 20/20
***粒子ビーム砲単装1基1門 (ロック)
副砲 15cm粒子ビーム砲単装1基1門 使用不可
対艦刀 30m対艦刀【**】使用不可
対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 D型標準2基2門 最大弾数4×2 ミサイル残弾 8
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板(盾D型相当)
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(バリヤー)D型
電子兵装 電脳S型 対艦レーダーS型 広域通信機S型 戦術兵器統合制御システムS型
空きエネルギースロット 2
状態 次元格納庫 機能制限
熱核反応炉G型 停止中
***粒子ビーム砲 使用不能
15cm粒子ビーム砲 故障中
30m対艦刀【**】 破損使用不能
『NPC艦C型A』
艦種 標準巡洋艦
艦体 全長200m 巡洋艦型 2腕
主機 熱核反応炉E型(8) 高速推進機F型
兵装 主砲 長砲身20cmレールガン単装1基1門 通常弾 80/80
副砲 15cm粒子ビーム砲単装1基1門
対宙砲 5cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 なし
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(バリヤー)D型
電子兵装 電王E型 対艦レーダーD型 通信機E型
空きエネルギースロット 0
状態 良好
『NPC艦C型B』
艦種 標準巡洋艦
艦体 全長200m 巡洋艦型 2腕
主機 熱核反応炉E型(8) 高速推進機F型
兵装 主砲 長砲身20cmレールガン単装1基1門 通常弾 80/80
副砲 15cm粒子ビーム砲単装1基1門
対宙砲 5cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 D型標準2基2門 最大弾数4×2 ミサイル残弾 8
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(バリヤー)D型
電子兵装 電王E型 対艦レーダーE型 通信機E型
空きエネルギースロット 0
状態 良好
目の前のVR画面に表示される参加艦艇選択画面に『AKIRA』『NPC艦C型A』『NPC艦C型B』のアイコンを掴んで放り込む。
戦闘宙域は「アステロイドベルト(薄め)」にランダム設定される。
遮蔽物を使いながらの長距離射撃がしやすい。
こちらの必勝パターンが使える有利な宙域だ。
準備完了。試合時間を待つ。
目の前に数字が現れカウントダウンが始まる。
戦術兵器統合制御システムを起動、僚艦とデータリンクを繋ぐ。
カウントゼロで目の前の風景が一変し、宇宙空間が表示される。
試合開始だ。
僕の専用艦が光学観測で敵艦を探す。
「みつけた。敵は巡洋艦3」
光学観測で目撃したということは、敵からも見えているということ。
既に見つかったと判断してレーダーを起動させる。
幸いNPC艦C型Aは岩塊の影に隠れていて敵も発見できていないだろう。
引き続き隠蔽モードを続けてもらう。
「!」
レーダーにレールガンの弾が観測された。
慌てて避ける。NPC艦C型Bも回避運動をとらせる。
どうやら敵艦隊には少なくとも1艦の狙撃艦がいるようだ。
2:3の観測結果は敵艦隊も把握したのだろう。
現状を見て敵艦2艦が突っ込んで来る。
どうやら近接戦闘タイプで狙撃艦ではないようだ。
こちらを侮り距離を詰めようということらしい。
僕は専用艦とNPC艦C型Bにレールガンを撃たせる。
5cmレールガンはけん制だ。
まさか敵艦もこちらが豆鉄砲を撃っているなんて思わないから回避行動を取るしかない。
当たれば豆鉄砲だと判るが、もし当たった弾が必殺の巨弾だったと思ったら回避せざるを得ない。
そうなると回避により射撃の精度が落ちる。
まあ、こちらの精度も落ちるからお互い様。
むしろ後方で落ち着いて狙撃出来る敵艦隊の方が有利かもだけどね。
僕は狙撃艦の発砲に注意しつつ敵艦2艦の頭を抑えるミサイルを撃つ。
その間にNPC艦C型Aを岩塊に隠しながら迂回させ、敵艦2艦の側面を狙う位置に進出させる。
ミサイルが迎撃され爆炎の火球が広がり視界を妨げる。
「今だ!」
NPC艦C型Aが岩塊の影から躍り出て敵艦2艦の側面からレールガンを撃ち込む。
至近距離のため連射が当たりまくる。
味方の危機に敵の狙撃艦が援護のレールガンをNPC艦C型Aに撃ち込むが、停滞フィールドに阻まれる。
敵艦2艦が轟沈。
NPC艦C型Aは狙撃艦のレールガンを回避しつつ岩塊に隠れた。
距離の不利で次弾がまだ届かなかったのだ。
その頃には僕の専用艦とNPC艦C型Bも岩塊に隠れたため、狙撃艦は目標をロストしていた。
このまま規定時間まで過ぎれば『紅蓮の炎団』の負けが確定する。
Fクラスの模擬戦トーナメントは毎日開催されているので、ここで負けてもまた明日がある。
無理する必要もアキラ艦隊を邪魔する必要もない。
躊躇することなく敵の狙撃艦が降伏を宣言し、試合は終了した。
『紅蓮の炎団降伏。試合終了。アキラ艦隊の勝利です』
システム音声が響き、目の前の映像がエントリー会場に戻る。
潔い敵でこれ以上の損耗がなくて助かった。
これでFクラス一回戦勝ち抜け賞金の2万Gを手に入れた!
◇◇◇◇◆
二回戦、準決勝と順調に勝ち、賞金を4万Gと6万G、一回戦と合わせて12万Gを手に入れた。
これはGクラスの優勝賞金を加えた13万Gに匹敵する儲けだ。
ここまでのダメージは大きい。補給がないというのはかなり辛い。
けん制で撃っている5cmレールガンは気休めにしかならないからまだいいが、主力の20cmレールガンの弾が心もとない。
ミサイルもミサイル装備の2艦とも予備弾倉が空で、発射管に装填された合計4発しか残っていない。
盾も損傷が激しく、耐ビームコーティングは既に剥がれてしまい、機能していないだろう。
停滞フィールドもダメージが50%を超えている。
だが相手もここまで消耗しながら戦って来たはずだ。
ギリギリの戦いはお互い様だろう。
満身創痍で、ここまででもいいんじゃないかと弱気が鎌首を持ち上げるが、決勝に勝てば優勝賞金を20万Gが手に入る。
ここは我慢して決勝に挑むべきだ。なんとしてでも勝つ!
ついに決勝戦。相手艦隊は『たけのこ』という名前らしい。
目の前のVR画面に表示される参加艦艇選択画面に『AKIRA』『NPC艦C型A』『NPC艦D型B』のアイコンを掴んで放り込む。
戦闘宙域は「重力異常宙域」にランダム設定される。
長距離射撃が厳しい宙域だ。
準備完了。試合時間を待つ。
目の前に数字が現れカウントダウンが始まる。
戦術兵器統合制御システムを起動、僚艦とデータリンクを繋ぐ。
カウントゼロで目の前の風景が一変し、宇宙空間が表示される。
試合開始だ。
レーダー索敵開始。
敵艦の位置はレーダーで捉えられるが、重力異常宙域のためお互い長距離射撃が撃てない。
NPC艦C型AもNPC艦C型Bも射撃補正装置が無い。
僕の専用艦も豆鉄砲の5cmレールガンだ。
敵艦発砲。レールガンの弾が重力異常で曲がり、有効弾にならない。
しびれを切らしたたけのこ艦隊が、こちらの弾も当たらないだろうと突撃してくる。
向こうが当たらないということは、こちらの弾も当てられないという判断だろう。
おそらく、こちらの初戦を調べてこちらに狙撃艦がいないことは確認済みなのだろう。
レーダーと光学観測の結果、敵艦は巡洋艦クラス3艦。
ミサイルを大量搭載したミサイル艦のようだ。
ミサイルが筍のように艦体から生えている。
あ、それで『たけのこ』艦隊なのね。
距離を詰められての大量のミサイルによる飽和攻撃は必殺の威力があるだろう。
こちらがレーザーで迎撃する能力を超えられたら確実にやられる。
僕は危機感を持った。やつらがミサイルを一斉発射する前に撃墜する必要がある。
この重力異常宙域は、敵艦隊に有利な戦場だ。敵は運も良い。
僕はしばらく熟考する。
たけのこ艦隊からは牽制のレールガンが撃ち込まれるも、ほとんどが重力異常で掠りもしない。
至近弾が来たとしても盾で滑らせて防御出来ている。
「射撃補正装置を使えれば、あんな艦隊狙撃し放題なのにな……」
そして、あるアイデアが閃いた。
NPC艦C型両艦には射撃補正装置が無いので、重力異常宙域での長距離射撃の命中は厳しい。
だが、僕の専用艦は対艦レーダーS型がある。
これは、あらゆるオプションも含む最上級の装備。
当然、射撃補正装置もある。だが主砲は豆鉄砲の5cmレールガンだ。当たっても意味がない。
でも、戦術兵器統合制御システムを使えば、僕の専用艦による射撃補正装置の照準でNPC艦C型両艦のレールガンが撃てるんじゃないのか?
僕は射撃補正装置を起動してVR画面に重力異常をグラフィック表示させる。
NPC艦C型A、Bのレールガンを意識すると専用艦の武装に『NPC艦C型A長砲身20cmレールガン』と『NPC艦C型B長砲身20cmレールガン』が加わる。
早速右腕に2門を接続するイメージで主砲設定を交換。
NPC艦C型両艦の視点で射撃補正装置を使い照準を合わせる。
右目と左目で同時に照準を付けることになり気持ち悪い。
たけのこ艦隊は横一列に並んでいる。
その中から重力異常の影響が一番少ない中央の巡洋艦を狙う。
(レールガン発射!)僕は頭の中でイメージの引き金を引く。
するとNPC艦C型A、Bが20cmレールガンを発射した。
敵中央の艦に直撃!続けて発射をイメージするとレールガンが連射される。
突然大爆発が起こる。大量のミサイルが誘爆したのだ。敵中央艦は轟沈した。
専用艦の射撃補正装置で照準してNPC艦C型両艦でレールガンを撃つというアイデアは成功だ。
続けて左右の敵艦を狙おうとするも、いきなり敵艦が大爆発を起こした。
こちらはまだそっちは撃ってない。
ミサイルの敵はミサイル。ミサイル防御でレーザーを全艦で集中運用しようとしてたのだろう。
その密集隊形が仇となり中央艦の爆発に両隣の艦のミサイルが誘爆してしまったようだ。
『全艦撃破。試合終了。アキラ艦隊の勝利です』
システム音声が響き、目の前の映像がエントリー会場に戻る。
ミサイルの集中運用は怖いな。
ミサイル艦3艦だけじゃなく護衛艦が守っていれば怖い存在だったはず。
「よし、Fクラス優勝だ。優勝賞金20万G、合わせて32万Gゲットだ! 明日はEクラスに上がるぞ!」
◇◇◇◆◇
SIDE:神澤 同時刻 ステーション内面接会場
神澤社長とタンポポこと菜穂がVR画面を見ながら話している。
「今日も眼鏡にかなう候補者はいなかったわね」
「そりゃ実力があって美人なら、SFOには他に稼ぎ口がいくらでもあるからな」
「むしろ、私達みたいにアイドルをプロゲーマーにした方が楽だったわね」
「そうだな。そろそろ募集も終了しないとな」
「でも、採用者が私推薦の1人だけじゃ足りなくなくて?」
「とりあえず、菜穂、紗綾、美優のオリジナルメンバー3人と例の1人で4人で始めようかと思う。
もう1人は地球に広告を打ってSFOに参加してもらってから育てる。となると加入は3ヶ月後かな」
「地球への広告の許可は降りたの?」
「ああ、SFO参加者を増やすことになると運営の行政府も乗り気だったよ」
神澤は何か頭に引っかかるものがあったが、霞がかかっているような状態で思い出すことができなかった。
VR画面上の試合が終わる。
模擬戦トーナメントFクラス3艦の部決勝。
「この子、いいでしょ?」
「ああ。あれはNPC艦だろう。それをあのように操れるとはな。あの指揮能力は欲しいな。
専用艦の装備はしょぼいが、そんなの金さえ積めばどうとでもなる。
ルックスも申し分ない。決まりだな」
「でしょ?」
晶羅の知らない所でアイドル艦隊企画は勝手に進んでいた。
さすがFクラス、16艦隊によるトーナメントとなっている。
つまり4回勝たないと優勝できないということ。
戦う数が多いほどダメージが蓄積し物資が底をつく厳しい戦いになる。
そこらへんの技術も問われるということだろう。
僕の出番はで第一試合。
相手艦隊は『紅蓮の炎団』。
やっぱり艦隊名を登録するのがデフォのようだ。
まあ僕だけのぼっち艦隊だからアキラ艦隊のままでいいや。
こちらの戦力はおなじみ『AKIRA』『NPC艦C型』×2の3艦。
昨日のダメージと残弾は最大値まで回復している。
そしてFクラスに昇格したことで、NPC艦D型がNPC艦C型に変わっている。
AとB。多少装備に個性がある。
Bはレーダーが弱い代わりにミサイルを搭載している。
それぐらい戦力アップした相手と戦うということなんだろう。
『AKIRA』
艦種 艦隊旗艦
艦体 全長230m 巡洋艦型 2腕 次元格納庫(-)
主機 対消滅反応炉G型(15) 高速推進機D型
補機 熱核反応炉G型(6)停止
兵装 主砲 長砲身5cmレールガン単装1基1門 通常弾 100/100 特殊弾 20/20
***粒子ビーム砲単装1基1門 (ロック)
副砲 15cm粒子ビーム砲単装1基1門 使用不可
対艦刀 30m対艦刀【**】使用不可
対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 D型標準2基2門 最大弾数4×2 ミサイル残弾 8
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板(盾D型相当)
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(バリヤー)D型
電子兵装 電脳S型 対艦レーダーS型 広域通信機S型 戦術兵器統合制御システムS型
空きエネルギースロット 2
状態 次元格納庫 機能制限
熱核反応炉G型 停止中
***粒子ビーム砲 使用不能
15cm粒子ビーム砲 故障中
30m対艦刀【**】 破損使用不能
『NPC艦C型A』
艦種 標準巡洋艦
艦体 全長200m 巡洋艦型 2腕
主機 熱核反応炉E型(8) 高速推進機F型
兵装 主砲 長砲身20cmレールガン単装1基1門 通常弾 80/80
副砲 15cm粒子ビーム砲単装1基1門
対宙砲 5cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 なし
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(バリヤー)D型
電子兵装 電王E型 対艦レーダーD型 通信機E型
空きエネルギースロット 0
状態 良好
『NPC艦C型B』
艦種 標準巡洋艦
艦体 全長200m 巡洋艦型 2腕
主機 熱核反応炉E型(8) 高速推進機F型
兵装 主砲 長砲身20cmレールガン単装1基1門 通常弾 80/80
副砲 15cm粒子ビーム砲単装1基1門
対宙砲 5cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 D型標準2基2門 最大弾数4×2 ミサイル残弾 8
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(バリヤー)D型
電子兵装 電王E型 対艦レーダーE型 通信機E型
空きエネルギースロット 0
状態 良好
目の前のVR画面に表示される参加艦艇選択画面に『AKIRA』『NPC艦C型A』『NPC艦C型B』のアイコンを掴んで放り込む。
戦闘宙域は「アステロイドベルト(薄め)」にランダム設定される。
遮蔽物を使いながらの長距離射撃がしやすい。
こちらの必勝パターンが使える有利な宙域だ。
準備完了。試合時間を待つ。
目の前に数字が現れカウントダウンが始まる。
戦術兵器統合制御システムを起動、僚艦とデータリンクを繋ぐ。
カウントゼロで目の前の風景が一変し、宇宙空間が表示される。
試合開始だ。
僕の専用艦が光学観測で敵艦を探す。
「みつけた。敵は巡洋艦3」
光学観測で目撃したということは、敵からも見えているということ。
既に見つかったと判断してレーダーを起動させる。
幸いNPC艦C型Aは岩塊の影に隠れていて敵も発見できていないだろう。
引き続き隠蔽モードを続けてもらう。
「!」
レーダーにレールガンの弾が観測された。
慌てて避ける。NPC艦C型Bも回避運動をとらせる。
どうやら敵艦隊には少なくとも1艦の狙撃艦がいるようだ。
2:3の観測結果は敵艦隊も把握したのだろう。
現状を見て敵艦2艦が突っ込んで来る。
どうやら近接戦闘タイプで狙撃艦ではないようだ。
こちらを侮り距離を詰めようということらしい。
僕は専用艦とNPC艦C型Bにレールガンを撃たせる。
5cmレールガンはけん制だ。
まさか敵艦もこちらが豆鉄砲を撃っているなんて思わないから回避行動を取るしかない。
当たれば豆鉄砲だと判るが、もし当たった弾が必殺の巨弾だったと思ったら回避せざるを得ない。
そうなると回避により射撃の精度が落ちる。
まあ、こちらの精度も落ちるからお互い様。
むしろ後方で落ち着いて狙撃出来る敵艦隊の方が有利かもだけどね。
僕は狙撃艦の発砲に注意しつつ敵艦2艦の頭を抑えるミサイルを撃つ。
その間にNPC艦C型Aを岩塊に隠しながら迂回させ、敵艦2艦の側面を狙う位置に進出させる。
ミサイルが迎撃され爆炎の火球が広がり視界を妨げる。
「今だ!」
NPC艦C型Aが岩塊の影から躍り出て敵艦2艦の側面からレールガンを撃ち込む。
至近距離のため連射が当たりまくる。
味方の危機に敵の狙撃艦が援護のレールガンをNPC艦C型Aに撃ち込むが、停滞フィールドに阻まれる。
敵艦2艦が轟沈。
NPC艦C型Aは狙撃艦のレールガンを回避しつつ岩塊に隠れた。
距離の不利で次弾がまだ届かなかったのだ。
その頃には僕の専用艦とNPC艦C型Bも岩塊に隠れたため、狙撃艦は目標をロストしていた。
このまま規定時間まで過ぎれば『紅蓮の炎団』の負けが確定する。
Fクラスの模擬戦トーナメントは毎日開催されているので、ここで負けてもまた明日がある。
無理する必要もアキラ艦隊を邪魔する必要もない。
躊躇することなく敵の狙撃艦が降伏を宣言し、試合は終了した。
『紅蓮の炎団降伏。試合終了。アキラ艦隊の勝利です』
システム音声が響き、目の前の映像がエントリー会場に戻る。
潔い敵でこれ以上の損耗がなくて助かった。
これでFクラス一回戦勝ち抜け賞金の2万Gを手に入れた!
◇◇◇◇◆
二回戦、準決勝と順調に勝ち、賞金を4万Gと6万G、一回戦と合わせて12万Gを手に入れた。
これはGクラスの優勝賞金を加えた13万Gに匹敵する儲けだ。
ここまでのダメージは大きい。補給がないというのはかなり辛い。
けん制で撃っている5cmレールガンは気休めにしかならないからまだいいが、主力の20cmレールガンの弾が心もとない。
ミサイルもミサイル装備の2艦とも予備弾倉が空で、発射管に装填された合計4発しか残っていない。
盾も損傷が激しく、耐ビームコーティングは既に剥がれてしまい、機能していないだろう。
停滞フィールドもダメージが50%を超えている。
だが相手もここまで消耗しながら戦って来たはずだ。
ギリギリの戦いはお互い様だろう。
満身創痍で、ここまででもいいんじゃないかと弱気が鎌首を持ち上げるが、決勝に勝てば優勝賞金を20万Gが手に入る。
ここは我慢して決勝に挑むべきだ。なんとしてでも勝つ!
ついに決勝戦。相手艦隊は『たけのこ』という名前らしい。
目の前のVR画面に表示される参加艦艇選択画面に『AKIRA』『NPC艦C型A』『NPC艦D型B』のアイコンを掴んで放り込む。
戦闘宙域は「重力異常宙域」にランダム設定される。
長距離射撃が厳しい宙域だ。
準備完了。試合時間を待つ。
目の前に数字が現れカウントダウンが始まる。
戦術兵器統合制御システムを起動、僚艦とデータリンクを繋ぐ。
カウントゼロで目の前の風景が一変し、宇宙空間が表示される。
試合開始だ。
レーダー索敵開始。
敵艦の位置はレーダーで捉えられるが、重力異常宙域のためお互い長距離射撃が撃てない。
NPC艦C型AもNPC艦C型Bも射撃補正装置が無い。
僕の専用艦も豆鉄砲の5cmレールガンだ。
敵艦発砲。レールガンの弾が重力異常で曲がり、有効弾にならない。
しびれを切らしたたけのこ艦隊が、こちらの弾も当たらないだろうと突撃してくる。
向こうが当たらないということは、こちらの弾も当てられないという判断だろう。
おそらく、こちらの初戦を調べてこちらに狙撃艦がいないことは確認済みなのだろう。
レーダーと光学観測の結果、敵艦は巡洋艦クラス3艦。
ミサイルを大量搭載したミサイル艦のようだ。
ミサイルが筍のように艦体から生えている。
あ、それで『たけのこ』艦隊なのね。
距離を詰められての大量のミサイルによる飽和攻撃は必殺の威力があるだろう。
こちらがレーザーで迎撃する能力を超えられたら確実にやられる。
僕は危機感を持った。やつらがミサイルを一斉発射する前に撃墜する必要がある。
この重力異常宙域は、敵艦隊に有利な戦場だ。敵は運も良い。
僕はしばらく熟考する。
たけのこ艦隊からは牽制のレールガンが撃ち込まれるも、ほとんどが重力異常で掠りもしない。
至近弾が来たとしても盾で滑らせて防御出来ている。
「射撃補正装置を使えれば、あんな艦隊狙撃し放題なのにな……」
そして、あるアイデアが閃いた。
NPC艦C型両艦には射撃補正装置が無いので、重力異常宙域での長距離射撃の命中は厳しい。
だが、僕の専用艦は対艦レーダーS型がある。
これは、あらゆるオプションも含む最上級の装備。
当然、射撃補正装置もある。だが主砲は豆鉄砲の5cmレールガンだ。当たっても意味がない。
でも、戦術兵器統合制御システムを使えば、僕の専用艦による射撃補正装置の照準でNPC艦C型両艦のレールガンが撃てるんじゃないのか?
僕は射撃補正装置を起動してVR画面に重力異常をグラフィック表示させる。
NPC艦C型A、Bのレールガンを意識すると専用艦の武装に『NPC艦C型A長砲身20cmレールガン』と『NPC艦C型B長砲身20cmレールガン』が加わる。
早速右腕に2門を接続するイメージで主砲設定を交換。
NPC艦C型両艦の視点で射撃補正装置を使い照準を合わせる。
右目と左目で同時に照準を付けることになり気持ち悪い。
たけのこ艦隊は横一列に並んでいる。
その中から重力異常の影響が一番少ない中央の巡洋艦を狙う。
(レールガン発射!)僕は頭の中でイメージの引き金を引く。
するとNPC艦C型A、Bが20cmレールガンを発射した。
敵中央の艦に直撃!続けて発射をイメージするとレールガンが連射される。
突然大爆発が起こる。大量のミサイルが誘爆したのだ。敵中央艦は轟沈した。
専用艦の射撃補正装置で照準してNPC艦C型両艦でレールガンを撃つというアイデアは成功だ。
続けて左右の敵艦を狙おうとするも、いきなり敵艦が大爆発を起こした。
こちらはまだそっちは撃ってない。
ミサイルの敵はミサイル。ミサイル防御でレーザーを全艦で集中運用しようとしてたのだろう。
その密集隊形が仇となり中央艦の爆発に両隣の艦のミサイルが誘爆してしまったようだ。
『全艦撃破。試合終了。アキラ艦隊の勝利です』
システム音声が響き、目の前の映像がエントリー会場に戻る。
ミサイルの集中運用は怖いな。
ミサイル艦3艦だけじゃなく護衛艦が守っていれば怖い存在だったはず。
「よし、Fクラス優勝だ。優勝賞金20万G、合わせて32万Gゲットだ! 明日はEクラスに上がるぞ!」
◇◇◇◆◇
SIDE:神澤 同時刻 ステーション内面接会場
神澤社長とタンポポこと菜穂がVR画面を見ながら話している。
「今日も眼鏡にかなう候補者はいなかったわね」
「そりゃ実力があって美人なら、SFOには他に稼ぎ口がいくらでもあるからな」
「むしろ、私達みたいにアイドルをプロゲーマーにした方が楽だったわね」
「そうだな。そろそろ募集も終了しないとな」
「でも、採用者が私推薦の1人だけじゃ足りなくなくて?」
「とりあえず、菜穂、紗綾、美優のオリジナルメンバー3人と例の1人で4人で始めようかと思う。
もう1人は地球に広告を打ってSFOに参加してもらってから育てる。となると加入は3ヶ月後かな」
「地球への広告の許可は降りたの?」
「ああ、SFO参加者を増やすことになると運営の行政府も乗り気だったよ」
神澤は何か頭に引っかかるものがあったが、霞がかかっているような状態で思い出すことができなかった。
VR画面上の試合が終わる。
模擬戦トーナメントFクラス3艦の部決勝。
「この子、いいでしょ?」
「ああ。あれはNPC艦だろう。それをあのように操れるとはな。あの指揮能力は欲しいな。
専用艦の装備はしょぼいが、そんなの金さえ積めばどうとでもなる。
ルックスも申し分ない。決まりだな」
「でしょ?」
晶羅の知らない所でアイドル艦隊企画は勝手に進んでいた。
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