【改訂版】異世界転移で宇宙戦争~僕の専用艦は艦隊旗艦とは名ばかりの単艦行動(ぼっち)だった~

北京犬(英)

文字の大きさ
181 / 199
帝国内乱編

175 帝国内乱編13 姉弟対決

しおりを挟む
side:クロウニ―星系 特殊艦CIC 花蓮かれん視点

 プリンスを廃嫡に追い込んだ憎っくき敵、第6皇子アキラが、またもや邪魔をして来た。
こいつの正体は帝国の敵である旧帝国の残党で、地球人に紛れ込んでアイドルをやっている晶羅きららというだ。
弟と同じ字でありながら、晶羅あきらみたいな可愛い所なんて1つもない。
狡知に長け、人を追い落とすずる賢さを持つ嫌なやつだ。

プリンス元第13皇子ケイン。生きていたのか!』

 憎っくき第6皇子アキラ、いやもう偽アキラでいい。
その偽アキラがふざけたことを言う。
若干声が弟に似ているような気もするけど、晶羅あきらがこんな所にいるわけがない。
晶羅あきらはいま、私が送ったお金で何不自由なく高校に通っているはずだ。
プリンスが偽アキラのせいでSFOに関われなくなった後も必死に伝手を辿って送金してくれているんだ。
そんな優しいプリンスの邪魔ばかりする偽アキラなんて、私の手で殺してやる。
ここは偽アキラにガツンと言ってやらなければ気が済まない。

『当たり前でしょ? 私が彼を殺させるもんですか!
アキラの偽者! 証拠はあがっているのよ?
旧帝国の反乱者め!』

 通信機から偽アキラが息を呑む音が聞こえる。
流石に敵との通信は音声のみで顔映像のやりとりはしていないが、その様子は充分伝わって来た。

『その声、姉貴なのか?』

 その言葉に私は言い知れぬ怒りが体の奥底から浮上して来るのを感じた。

『お前なんかに姉と呼ばれる筋合いはないわ!
この偽者がっ! ブチ』

 私は通信を切ると偽アキラの専用艦を見つめた。
プリンスの艦は電子戦装備の特殊艦で戦闘能力が低い。
一方私の特殊艦は戦闘特化だ。私が偽アキラを倒すしかない。
私は長砲身5cmレールガンを起動する。
口径は小さくとも特殊弾が撃てて速射可能という優れものだ。

皇子プリンス、今から偽アキラの奴を叩きます。
皇子プリンスはニアヒュームの支配を強化して下さい」

 隣に遊弋するプリンス艦と私の特殊艦は操作腕の手を繋ぎ、強固なデータリンクを形成している。
所謂いわゆる恋人繋ぎというやつだ。
プリンスは自ら育てた専用艦を失っており、私の専用艦を模倣した特殊艦を私のDNAにより製造し、特に電子戦装備を強化して提供した。
私の専用艦もプリンスの技術で改造し黒い特殊艦となった。
その機能を最大限に引き出すために、私はプリンスの特殊艦とデータリンクを結びバックアップしているのだ。
なので奴らの通信妨害が入っていても私達は操作腕の直接回線で邪魔されずに高度なデータリンクを維持している。

「愛しい人よ。わかった。
全力でニアヒュームの支配を強化するよ」

 プリンスの言葉が耳に伝わると、えも言われぬ快感が脳に走る。
これこそ愛のなせる業なのだろう。プリンスが特別なんだと認識できる瞬間だ。
プリンスが作業に集中出来るように、艦の回避も攻撃も私が担当する。
手先として洗脳したレオナルド第5皇子は、ニアヒュームが動けなければ何も出来ない。
既に支配下の艦数が急激に減少中だし、要塞砲の使用もニアヒューム頼みだ。
今は偽アキラを私が叩くことで形勢を逆転させる。
それだけに全力を尽くそう。
私は決意のもと、偽アキラの専用艦にGバレットを撃ち込んだ。


◇  ◇  ◇  ◇  ◆


side:クロウニ―星系 専用艦CIC 晶羅あきら視点

『その声、姉貴なのか?』

 僕は突然聞こえて来た姉貴の声に混乱した。
通信妨害はこのために一旦切られたようだ。
やっと姉貴がみつかった。
だが待てよ? 様子がおかしい。
どうしてプリンス元第13皇子ケインを庇っているんだ?

『お前なんかに姉と呼ばれる筋合いはないわ!
この偽者がっ! ブチ』

「偽者? 僕が?」

 僕は動揺した。
どうして姉貴はプリンス元第13皇子ケインを庇うのか?
なぜ僕を偽者扱いするのか?
まさかブレインハックされて……。
僕は姉貴に問いかけようとするも、既に回線が切られ、通信妨害が復活していた。

 目の前には黒い特殊艦が2艦。電子戦特化型がプリンス艦で戦闘特化型がカレン艦のようだ。
通信が繋がったおかげで、CICのメインスクリーンに通信画面が2つAR表示されている。
『SOUND ONLY』の表示で顔は見えないが、戦闘特化型の方に表示された通信画面から姉貴の音声が出ているのだ。
まさかこんなことで搭乗艦の識別が可能とは思っていなかった。

 2艦は仲良く操作腕の手を恋人繋ぎしている。
その腕は通常より大きく艦同士をガッチリ繋ぎ留めている。
その2艦の黒い特殊艦が一体となって回避運動を始めた。
どうやらプリンス艦は自ら回避することが出来ないらしい。

 カレン艦のレールガンがこちらを指向する。
見た感じは僕の専用艦と同じ長砲身5cmレールガンのようだ。

「となると特殊弾装備か?」

 僕は独り言ち後退を始める。
刹那、カレン艦のレールガンが紫電を纏う。
レールガンが発射されたのだ。
僕は専用艦を回避させる。
が、僕の専用艦を通り過ぎたと思われた弾体が高重力を放ち、そちらに専用艦が吸い寄せられる。

「Gバレットか! しかも時限式? 近接信管? こんな使い方があるのか!」

 続けて撃たれた弾体が吸い寄せられた僕の専用艦の正面に迫る。

「僕が避けるなら、吸い寄せて当たる場所へ誘導してやるということか……」

 僕も長砲身5cmレールガンを起動する。
しかし、姉貴の専用艦に撃ち込むわけにはいかない。
困ったすえ、僕は接近中の弾体に向けGバレットを発射した。
弾体が交差する位置で重力を解放するようにイメージして。

 イメージを乗せて発射したGバレットの弾体は予想通り交差する位置で重力を解放した。
そういえば、これは以前も無意識に使ったことがあったと思い出す。
その重力に引き寄せられ、カレン艦のGバレットもその場で重力を解放する。
お互いの弾体がお互いにエネルギーを放出しあい消滅する。

 さて困ったぞ。姉貴を傷つけずに無力化する方法はないものか?
ここは浸食弾で艦のシステムを支配して話し合いをするべきだな。
僕は侵食弾を撃つことにした。
幸い僕の専用艦――現在は外部ユニットとしての巡洋艦級の専用艦です――は長砲身5cmレールガンを3門持っている。
1門をカレン艦のGバレット迎撃に使用し、残り2門でプリンス艦とカレン艦に侵食弾を撃ち込もう。
僕はカレン艦のGバレットが発射されるのと同時に3門の長砲身5cmレールガンを発射した。

 Gバレットがカレン艦のGバレットを迎撃した余波でカレン艦に向かっていた侵食弾が巻き込まれる。
プリンス艦に向かう侵食弾だけは無事だ。
侵食弾がプリンス艦に当たると思われた一瞬、ニアヒューム艦が盾になり侵食弾を防ぐ。
ニアヒューム艦には侵食弾は効かない。

「ああ、せっかくのチャンスだったのに……。
これで警戒されて同じ手は使えなくなったか……」

 どうやらニアヒュームの支配が強化され戦線に復帰し始めたようだ。
プリンスの艦が電子戦装備でニアヒュームになんらかの影響を与えているのだろう。
あの一体化した回避行動は、その作業でプリンスには回避する暇もないということなのか。

「だったら!」

 僕は迎撃用のGバレット、プリンス艦を抑制するための侵食弾、そして恋人繋ぎの手を破壊するための跳躍弾を時差をつけて発射する。
そして次元跳躍ワープ加速装置アクセラレータによる緊急次元跳躍ワープを行いカレン艦の直上に移動する。
Gバレットの弾体同士がぶつかり弾けエネルギーを放出する。
その光に隠れて跳躍弾が恋人繋ぎの手を破壊する。
その隙を突き侵食弾がプリンス艦の停滞フィールドを抜け装甲に突き刺さる。
一瞬の間に起きた現象にカレン艦の攻撃が止まった。
僕はカレン艦の直上から3門の長砲身5cmレールガンで侵食弾を撃つ。
1発は艦橋へ。1発は反応炉直上の後部甲板へ。1発は長砲身5cmレールガンに当たった。
侵食弾が侵食を開始し艦のコントロールを奪い始める。

「これで姉貴と争わなくて済むかな?
誤解が解けるといいんだけど……」

 その時、レオナルド第5皇子の主力がいる方向から要塞砲が発射された。
その光条は僕どころかプリンス艦とカレン艦までも巻き込む射線だった。

「拙い! このままでは姉貴の艦が巻き込まれてしまう!」

 カレン艦もプリンス艦も侵食され動けない。
僕だけなら逃げられるけど、2人の艦はコントロールを奪って即回避させるしかないのか?

「電脳、相転移フィールドは使えないのか?!」

『縮退炉ダウン中につき外部ユニット以外の装備は全て使用不能です』

「くっ!」

 僕は侵食完了までのカウントを今か今かと待つしか無かった。
浸食が完了すれば回避運動を指示できる。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

現代ダンジョンの苦情係 〜元クレーム処理担当の俺、魔物の言葉がわかるので菓子折り一つで世界を救う〜

ぱすた屋さん
ファンタジー
「その咆哮は、騒音公害に当たります」 現代日本に出現した『ダンジョン』と、そこから溢れ出す魔物たち。 人々が英雄(Sランク探索者)の活躍に熱狂する一方で、組織の闇に葬られた部署があった。 ――ダンジョン管理ギルド・苦情係。 そこへ左遷されてきたのは、前職で数万件のクレームを捌き倒した伝説のカスタマーセンター職員・久我良平(くが りょうへい)。 彼にとって、新宿に降臨した災害級ドラゴンは「騒音を撒き散らす困ったお客様」であり、聖女の奇跡は「同意なきサービスの押し付け(強売)」に過ぎない。 「力」でねじ伏せる英雄たちが敗北する中、久我は「正論」と「どら焼き」と「完璧な事務手続き」を武器に、魔物たちの切実な悲鳴(クレーム)をハックしていく。 一癖も二癖もある仲間と共に、久我はギルド上層部の腐敗や外資系企業の傲慢な介入を次々と「不備」として処理していく。 これは、組織の鎖を断ち切った一人の事務屋が、人間と魔物の間に「新しい契約」を紡ぎ、世界を再起動させるまでの物語。 「――さて。予約外の終焉(ラグナロク)ですか? 承知しました。まずは、スケジュールの調整から始めましょう」

処理中です...