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事務所オールスターズ
しおりを挟む「入ってきたのは沢井さん、佐藤さん、岸本さんの3人だった。
「あら和泉さん、お疲れ様」
と沢井さん。
彼女にフィジカルで勝てるオバサンは居ないだろうなと、つい考えてしまう。
「おお、お疲れ」
覇気のある挨拶をしたのは佐藤さん。
今日も茶色い帽子を被っている。
いつ見ても雰囲気がある。
体格が良いというのもあるし、堂々としているからそう見えるのかな。
「お疲れ様です」
おしとやかに言ったのは岸本さんだった。
やっぱどっかで見たことあるんだよなー。
芸能人の誰かに似てるのかな……?
「お疲れ様です」俺と鞘師さんは声を揃えて返した。
沢井さんは奥の部屋に入っていった。
佐藤さんはノーパソの前に座り、岸本さんはその傍らに椅子を置いて座った。
「どお? 和泉さん」佐藤さんは言った。「慣れてきました?」
「あ、いえ、全然。それに」
「それに?」
と、食い気味に佐藤さんが入ってくる。
「慣れたって時が一番恐いので、ずっと初心のままで行こうかと」
それは俺がモバで心がけていることだった。
どんなに有利な状況からでも、弛緩してミスれば負けに繋がる。
そう学んで以来、モバでは常に初心を忘れず、基本的なことは絶対に守って動いていた。
それをそのまま現実世界に持って行っていたことに、俺はハッと気づいた。
「あ、ええと、これは――」
何かの本で読んだんです、その受け売りです、とごまかそうとした時だった。
「へえー。真面目ですね」
佐藤さんは言った。ごまかす前に話が進んでしまっていた。
「でもあんまり真面目だとキツイですよ。他が真面目じゃないんで」
へっへっへっと佐藤さんは笑う。
「私は良いと思うけどなあ」
と、岸本さんは言った。
「あ、コイツの話は無視して」
意地悪く言った佐藤さんの肩を、岸本さんはバインダーでベシッと叩いた。
「痛いなあ~」と笑う佐藤さんと、「すみませんバカなんですこの人」と笑った岸本さんを見て、俺は感じていた。
(あー、そういう感じか)
2人は『そういう仲』なのだろうと。
なんだか微笑ましくて、ちょっと口元が緩んでしまったのだった。
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