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一章 男だと思っていた親友が女の子だった話
3 えっと、お前は男なんだよな?
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『びっくりしますよね。でもそうなんですよ。僕の兄さんは実は姉さんだったんですよね。ははは……なんか自分で言ってて意味が分からないですけど』
「聞いてる側も意味分からねえよ……でも楓が言うならやっぱマジって事なんだよな」
『はい、マジです』
そう言いながら脳裏に苦笑いを浮かべる楓の顔が浮かべながら一応問いかけてみる。
「なんでそんな訳がわからないルールが……」
『それも兄さん……いや、もう姉さんで良いのか。うん、姉さんが言ってたとは思うんですけど、古い神社の家だからって感じですよ』
「……」
『まあそんなアバウトな答えで納得できる訳が無いとは思いますけど』
「まあな」
『とはいえこれに関しては僕からもそんなに話せる事は無いんですよ。言えるとしたら、あんな時代錯誤な事をやっていたのにはちゃんとそれ相応の理由があるって事位ですかね』
「それ相応の理由──」
『とにかく、それよりも』
追求を遮るように声を被せてきた楓は言う。
『これまでの事よりこれからの事です。姉さんはもうそんな時代錯誤で訳が分からないルールとは関係ないですから。これからの事を考えてあげてください』
「お、おう……それはまあ、そうだな」
実際その通りだ。
疑問の多くは過ぎた事で、これからの事でも考えなければならない事は多くて。
だったらそれは後回しだ。
今は渚の家の事ではなく、渚個人の事をちゃんと考えて向き合っていくべきだ。
きっと大変な事も色々とあるだろうから。
『今だってこうして僕に電話してきてるって事は、何があったかは知らないですけど姉さんはそこにはいないんですよね。だったら早く追いかけた方が良いと思うんですけど』
「おっしゃる通りで」
何が有ったかは言えないけど。
流石に言えるわけが無いけど、それもその通りだ。
「じゃあちょっと言ってくるよ。難しい事考えるのは一旦止めて、渚個人と向き合ってみる」
『その調子です』
「悪いな、朝っぱらから急に電話して」
『いえいえ、僕と先輩の仲じゃないですか。今後も何かあったら相談に乗りますよ』
「頼むわ。多分この先も頼る事も多そうだし。ありがとう」
『どういたしまして』
「それじゃあまた今度な」
そう伝えて通話を終えようとは思ったが……一つだけどうしても聞いておきたい事があったので。
「……ってごめん、最後に一つだけ聞いていいか?」
『ど、どうぞ』
向こうから通話を切らないでくれた楓に問いかける。
渚ではなく、楓の話。
「えっと、楓。お前は……男で良いんだよな?」
脳裏に楓のビジュアルを浮かべる、
渚と同じく男子にしては少し長い髪で、渚よりも小柄な体格。
そして渚にも言えた話だけど、女装とかしたら良い線行きそうな顔付き。
もし渚のようにカミングアウトされれば、納得してしまうような、そんなビジュアルなのだ。
実は楓君じゃなくて、楓ちゃんだったりするのではなかろうか。
……やはりおかしな問い掛けだとは思うが、この状況で気にならない筈が無い。
それに対して楓は一瞬間を開けた後、小さく笑い声を零して答えてくれた。
『ははは、嫌だな。普段からしょっちゅう顔を合わせている相手の性別が実は思っていたのと違いました、なんてエキセントリックな事がそう何度もある訳が無いですよ』
そして一拍空けてから、楓は答える。
『僕は男ですよ。もしかしてって思う気持ちは分からなくもないですけどね。だからこれまで通り接してもらって大丈夫です』
「そっか……そうだよな」
確かにそんなエキセントリックな展開はそう起きるものじゃない。
起きない筈で……当然の回答だ。
『さ、これで疑惑も晴れましたよね。そろそろ姉さんを追い掛けてあげてください』
「ああ、そうするよ」
『姉さんの事、よろしくお願いします』
「おう」
そう返答して、今度こそ通話を切った。
「……行くか」
幸いと言うべきか通学のために必要な電車の本数は田舎であるが故に少なくて、その時間に余裕があるから追い付けないなんて事は無い。
それでももう一度顔を合わせるまでには少し時間があるだろうから、少しずつ頭の中を整理していこう。
実は女だった渚との向き合う為に。
楽な事ばかりではないであろうこれからの渚に少しでも手を貸してやれるように。
そう考えながら、親友の元へと歩を進める。
できるだけ変わらない自分のままで。
「聞いてる側も意味分からねえよ……でも楓が言うならやっぱマジって事なんだよな」
『はい、マジです』
そう言いながら脳裏に苦笑いを浮かべる楓の顔が浮かべながら一応問いかけてみる。
「なんでそんな訳がわからないルールが……」
『それも兄さん……いや、もう姉さんで良いのか。うん、姉さんが言ってたとは思うんですけど、古い神社の家だからって感じですよ』
「……」
『まあそんなアバウトな答えで納得できる訳が無いとは思いますけど』
「まあな」
『とはいえこれに関しては僕からもそんなに話せる事は無いんですよ。言えるとしたら、あんな時代錯誤な事をやっていたのにはちゃんとそれ相応の理由があるって事位ですかね』
「それ相応の理由──」
『とにかく、それよりも』
追求を遮るように声を被せてきた楓は言う。
『これまでの事よりこれからの事です。姉さんはもうそんな時代錯誤で訳が分からないルールとは関係ないですから。これからの事を考えてあげてください』
「お、おう……それはまあ、そうだな」
実際その通りだ。
疑問の多くは過ぎた事で、これからの事でも考えなければならない事は多くて。
だったらそれは後回しだ。
今は渚の家の事ではなく、渚個人の事をちゃんと考えて向き合っていくべきだ。
きっと大変な事も色々とあるだろうから。
『今だってこうして僕に電話してきてるって事は、何があったかは知らないですけど姉さんはそこにはいないんですよね。だったら早く追いかけた方が良いと思うんですけど』
「おっしゃる通りで」
何が有ったかは言えないけど。
流石に言えるわけが無いけど、それもその通りだ。
「じゃあちょっと言ってくるよ。難しい事考えるのは一旦止めて、渚個人と向き合ってみる」
『その調子です』
「悪いな、朝っぱらから急に電話して」
『いえいえ、僕と先輩の仲じゃないですか。今後も何かあったら相談に乗りますよ』
「頼むわ。多分この先も頼る事も多そうだし。ありがとう」
『どういたしまして』
「それじゃあまた今度な」
そう伝えて通話を終えようとは思ったが……一つだけどうしても聞いておきたい事があったので。
「……ってごめん、最後に一つだけ聞いていいか?」
『ど、どうぞ』
向こうから通話を切らないでくれた楓に問いかける。
渚ではなく、楓の話。
「えっと、楓。お前は……男で良いんだよな?」
脳裏に楓のビジュアルを浮かべる、
渚と同じく男子にしては少し長い髪で、渚よりも小柄な体格。
そして渚にも言えた話だけど、女装とかしたら良い線行きそうな顔付き。
もし渚のようにカミングアウトされれば、納得してしまうような、そんなビジュアルなのだ。
実は楓君じゃなくて、楓ちゃんだったりするのではなかろうか。
……やはりおかしな問い掛けだとは思うが、この状況で気にならない筈が無い。
それに対して楓は一瞬間を開けた後、小さく笑い声を零して答えてくれた。
『ははは、嫌だな。普段からしょっちゅう顔を合わせている相手の性別が実は思っていたのと違いました、なんてエキセントリックな事がそう何度もある訳が無いですよ』
そして一拍空けてから、楓は答える。
『僕は男ですよ。もしかしてって思う気持ちは分からなくもないですけどね。だからこれまで通り接してもらって大丈夫です』
「そっか……そうだよな」
確かにそんなエキセントリックな展開はそう起きるものじゃない。
起きない筈で……当然の回答だ。
『さ、これで疑惑も晴れましたよね。そろそろ姉さんを追い掛けてあげてください』
「ああ、そうするよ」
『姉さんの事、よろしくお願いします』
「おう」
そう返答して、今度こそ通話を切った。
「……行くか」
幸いと言うべきか通学のために必要な電車の本数は田舎であるが故に少なくて、その時間に余裕があるから追い付けないなんて事は無い。
それでももう一度顔を合わせるまでには少し時間があるだろうから、少しずつ頭の中を整理していこう。
実は女だった渚との向き合う為に。
楽な事ばかりではないであろうこれからの渚に少しでも手を貸してやれるように。
そう考えながら、親友の元へと歩を進める。
できるだけ変わらない自分のままで。
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