仲の良い幼馴染の兄弟が姉妹だった話

山外大河

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一章 男だと思っていた親友が女の子だった話

5 触れて良い事、悪い事

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 そう考えていると、渚が問いかけてくる。

「ところで明人。先に確認しておきたいんだけど、今の流れを考えるに明人は私が女だって理解してくれたって事で良いのかな。一応さっきは有耶無耶なままで私がどっか行っちゃった訳だけど」

 そういえばここに来てからは渚が女だっていう前提で話していたけれど、明確な回答はしていない。
 ちゃんと言っておいた方が良いか。

「今の流れの通り、ちゃんと理解してるつもり。女装した男友達相手なら、態々他の奴にはするなとかは言わねえって」

 その場合、きっと馬鹿な事やってんな―位にしか思わない。
 渚が女だったから、色々考えた上で言葉にした訳で。

「まあそれは確かに。ちなみになんで分かってくれた感じ? なんというか……仮に触った所で、明人には本物かどうかなんて分かんなかった訳でしょ?」

 触った云々とあの時の話を渚からされて思わず視線を反らしながら答える。

「……お前の反応。これ嘘言ってねえ奴だって。流石にそれは分かった」

「……そっか。良く分かってるじゃん私の事」

「ああ。それでほぼ確信して、あの後楓に電話して答え合わせしたって感じ」

「なるほど、それで追って来るの遅かった訳か……納得納得」

 腕を組んで頷く渚。
 ……腕組むと何がとは言わないけど強調されるので目のやり場に困るな。
 マジでどうやって隠してたんだそれ。

「ちなみに楓からは聞いた? そもそも私がなんで男を演じていたかっていう具体的な話は」

「いや、聞いてねえ。ちゃんとそれ相応の理由があるって事しか教えて貰えなかった」

「よしよし、ちゃんとしっかりしてるね楓は」

 どこか安心するように渚は言う。

「アイツもそんなに話せる事は無いって言ってたけど、今になってもあんまり話しちゃいけないような話なのか?」

「具体的な事は良くないね。私か話した事と……楓のちゃんとした理由はあるって事位が結構最大限って感じ。なんかごめん、訳分かんない状況見せつけた上に目に見えた隠し事なんかしてさ」

「いや、良いよ別に。その辺は気にすんな」

 元よりそこを掘り下げるよりも大事な事が有る訳だけど、そもそもの話。

「今のお前が話せないって言うんだったら、それは本当に話しちゃ駄目な奴なんだろ。だったらその辺は詮索しねえ。しちゃ駄目だ。その辺のバランス感覚は信用してる」

「信用、ね。嬉しい事言うじゃん」

「それだけ積み重ねてきたろ。何年お前とつるんでると思ってんだ」

「9年。小学校一年生の時からだし」

「その通り」

 だからとにかく、俺からは秋瀬家の訳の分からない事情について詮索する事は基本しない。
 詮索する事が渚や、もしかしたらその弟の楓の不利益になるならしない。
 ……渚とこれからも関わっていく中で、踏み込んだ方が良いと思える事があればその限りでは無いかもしれないけれど。

「まあそんな訳で、小難しい話は一旦無しって方向で行こうぜ」

「一旦、ね」

「渚から話し始めたら拒む理由もねえしな。ああ、これ別に話す事促してる訳じゃねえからな。その辺勘違いすんなよ」

「うん、分かってる。長い付き合いだし。じゃあこの話は当面無しって事で」

「おう……だから今話すべきなのは渚個人の事だな。これからの色々の為に、俺は俺の知らないお前の事を知っていかないと駄目だ。教えてくれよ渚の事」

「中々にストレートに小っ恥ずかしい事言うね」

「た、確かに……もっと他の切り口有っただろぉ……」

 なんか恥ずかしくなって軽く頭を抱える俺に渚は言う。

「ま、良いんじゃない。とにかく答えられる範囲で答えるよ。明人の家の前で中断した質疑応答パート2だね」

「……じゃあこの恥ずかしい流れで先にこれ消化しとくわ。真面目な話は後回しで」

 事が事なので、軽く息を整えてから最初の問いを切り出す。
 先程はそれどころでは無かったが、確かに知的好奇心的にも普通に知りたい……この勢いで聞いておかないと後々聞きにくそうな疑問。

「渚、お前……その、えっと……胸。どうやって隠してたんだ?」

 普通に大きくて目のやり場にも困る女性的な部分を、これまでどうやって隠して来たか。
 まず真っ先に聞くのがそれかぁ、ってのは自分でも思うけど気になって仕方が無い。
 何せこちらは男の子なんだから。
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