仲の良い幼馴染の兄弟が姉妹だった話

山外大河

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一章 男だと思っていた親友が女の子だった話

10 親友以外で第一号

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 これから先の事を話している内に、気が付けば次の駅に辿り着いた。
 目的地はまだ先で、此処では何人かの乗客と入れ替わりにスーツ姿のサラリーマンや俺達と同じ制服を着た学生が乗り込んで来る。
 今までも視界に映る限り何人かウチの生徒が居たみたいだがこちらに、というより渚に気付いた様子は無かった。
 だけどそろそろ渚を知っている誰かが現れてもおかしくはない。
 いや、おかしくないというより、此処でほぼ確実に現れる。
 そして想定通り現れた。

「おはようお二人さん……って、あれ? ん? えぇ……?」

 俺達を見付けて声を掛けてきた背の高い男子生徒の同級生、 東間康太とうまこうた。通称マコっちゃん。もしくは抜け駆け裏切りマン。
 そして。

「ん? どうしたの康太。あ、おはようございます二人共。今日からまた三年間よろしくおね…………えぇ……?」

 困惑した様子でそう呟く長い髪の低身長眼鏡女子の 橋本美紀はしもとみき
 同じく中学からの同級生かつ、灰色の三年間を送る俺達を裏切って一人完全勝利を決めたマコっちゃんの彼女である。
 そして二人が一体何に困惑しているのかは、あまりにも明白過ぎる。

「おはよう、マコっちゃん。橋本さん…………なんて軽く言える空気でもなさそうだね」

 俺の前に現れた時よりも遥かに弱弱しい様子で渚は二人にそう返す。
 ……もしかすると、俺の時は伝えても確実に悪いようにはならないというような信頼を向けてくれていたのかもしれない。それこそ親友だから。

「……」

「……」

 そしてマコっちゃんと橋本は困惑するように無言になりながらもお互い顔を合わせて、やがて頷き合う。
 それから橋本とマコっちゃんは渚に言った。

「ごめんなさい、ちょっと楠君借りますね」

「以下同文。そんなわけでほら立て楠」

「お、おう。え、ていうか俺?」

「まずお前。場合によっては最後までお前」

 そう言って二人は比較的ガラガラの車両の端に俺を連れて行く。

「待て待て何故に俺?」

「当たり前のように落ち着いて隣座ってたからな。最低限の事位は聞き出せるだろ」

「それに、直接本人に聞くより聞きやすそうなので」

 そしてまずマコっちゃんが問いかけてくる。

「……色々と聞きてえ事はあるが、まず先にこれだけ聞くぞ」

 そして真面目な表情で聞いてくる。

「今の秋瀬のアレ……茶化して良いような類の話……じゃないよな?」

 そして橋本も。

「こういう大事な日に冗談でやるにしてはあまりにも……これあまり深く触れない方が良い話でしょうか?」

 ……なるほど。
 二人の反応を見て正直安心した。
 多様性なんて言葉が浸透している現代だからなのか、俺達の友人達が良い奴らなのか……多分後者か。
 変貌した元クラスメイトの姿を見て、最大限の配慮をしようとしてくれていた。
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