仲の良い幼馴染の兄弟が姉妹だった話

山外大河

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一章 男だと思っていた親友が女の子だった話

12 積み上げた物

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 あれから渚の元へと戻った俺達は、これからの高校生活を行う上での必要な工程を進めた。
 多分今日何度もやる事になる工程だ。

「冗談みてえな話だとは思うが……お前らの様子見る限りマジっぽいんだよな」

「悪ふざけでやるとしたら、多分楠君も止めるでしょうし……」

「秋瀬も止められるようなイカれた行動をするような奴じゃねえのは分かってるしな」

「という事は、二人共理解してくれた感じかな」

「まあ困惑はしてますが」

「家庭の事情があまりにも理解不能だが、現実起きている事についてはな」

 流石に俺の時のような行き過ぎた証明の仕方はとられなかったけど、この状況である程度落ち着いている俺の存在もあってか、二人は比較的あっさりと状況を呑み込んでくれた。
 比較対象は俺だ。
 俺はああいう大胆なやり方をされてようやくって感じだった訳だし。

「……良かった」

 渚は少し肩の荷が下りたように、安堵の表情と共に小さく息を吐く。

「その反応を見る限り、不安だったって事ですか?」

「そりゃ、ね。端から見たらどう考えてもおかしい事は私でも分かるからさ。嫌な顔されたっておかしくないでしょ」

「…………どうですかね」

 少し悩む素振りを見せてから橋本が言う。

「えっと、私の場合は二年と三年で。康太の場合は……」

「一年と三年だな」

「そう。そんな感じで秋瀬君の事と関わってきました。結構色々な人と仲良くしてたみたいですから……皆、性別云々と関係ない所での秋瀬君の事を知っている筈です」

「それ知ってるなら悪いようには思わねえだろ。困惑はするけど」

 それを聞きながら静かに頷く。

 ……そうだ。二人が良い奴というのも勿論あるのだけれど、それ以前に渚が良い奴だ。
 少なくとも今までの渚を知っていて困惑する人間の大半は、真実を知ったところで渚に攻撃的な感情は抱いたりしないだろう。
 ちゃんと信頼が詰みあがっているんだ。
 そしてマコっちゃんが言う。

「ま、それでも多分めんどくせえ反応の仕方をしてくる奴も居ると思う。その時は……コイツに頼れ」

 そう言ってマコっちゃんは俺の肩に手を置く。

「コイツなら誰が相手であれ味方になってくれんだろ。勿論俺達も手ぇ貸す。友達だからな」

「マコっちゃん……ありがとう」

 と、そこでマコっちゃんから、「ちゃんと俺ら出てくる前にお前が何とかしてやれよ」と言わんばかりのアイコンタクト。
 分かってる、そのつもりだ。
 結構相談とかさせてもらう事にはなりそうだけど。

「あの、ところで……」

 橋本が渚に言う。

「改めて考えると秋瀬君ってのも違和感が有りますね……秋瀬さんとか、あとは渚ちゃんとかどうでしょう」

「私としては秋瀬君のままでも悪くは無いんだけど……まあ好きなように呼んでよ。どう呼ばれるのがしっくりくるか、なんて私も良く分かってないし」

「じゃあ渚ちゃんでどうでしょう!」

「う、うん……じゃあそれで」

 慣れない呼ばれ方に困惑気味の渚に、マコっちゃんは言う。

「俺は変わらず苗字呼びで良いだろ。俺に取っては何かが大きく変わったって訳でもねえし。秋瀬は秋瀬だ。そこは何も変わらねえ」

「いや何も変わってねえ訳じゃないだろ」

「そうですよ。滅茶苦茶変わってます。何言ってるんですか」

「大変身って感じだよね」

「それっぽい事言ってたろ……梯子外すなよ」

 とまあそんな感じで元、そして現クラスメイトの二人は渚の事を受け入れてくれた。

 ……この調子で皆が受け入れてくれればいいなと、そう思う。
 こんなややこしい事よりも、渚自身の事を考える事に集中したい気持ちもある訳だからさ。
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