仲の良い幼馴染の兄弟が姉妹だった話

山外大河

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二章 これまでの事、これからの事

4 自業自得

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 自宅の最寄り駅付近よりも学校の最寄り駅周辺の方が比較的栄えている事も有り、どこかで遊ぶとなればこの辺りで済ませる事になる。
 とはいえあくまで比較的であり、地方のこの辺りじゃ選択肢は然程多くないのだけれど。
 ……都会住まいだったら、こういう時の選択肢は山のようにあったりするのだろうか。
 そんな事を少し考えつつも、俺達が行き先として選んだのはゲームセンターだ。
 そこに向かいながら、自然とこちらからは触れにくい話題を渚が始める。

「さっきさ、私、大丈夫って言ってたじゃん」

「言ってたな」

「あれはある程度ホントの事なんだよ」

 そして一拍空けてから渚は言う。

「思っていたより大丈夫な感じに落ち着いたから」

「つまりは無傷って訳じゃなかったんだよな」

「まあそういう事。気付いてたと思うけどさ。ありがと、気ぃ使って触れないでいてくれて。ちょっと落ち着いた」

「別に落ち着いたからって、言わなきゃならねえ訳じゃねえからな」

「言うよある程度は。言わなきゃ愚痴の一つも言えないからさ。まあ愚痴なんて、まるで不平不満を言うみたいに話して良い事じゃ無いとは思うんだけど」

 そして溜息を吐いてから渚は言う。

「私ってさ、中学の頃モテてたじゃん」

「お、マウントか? ……ってのは冗談で。まあ、そうだな。凄かったよお前」

「男の子っぽく振る舞わなくちゃとか……後は詳しく触れないでほしんだけど他にもいくつかの理由で。ある程度女の子相手にいい格好ができるように振る舞ってたんだ。そしたら……そこまで踏み込んだ事はしていなくても、結果的に私は人の心を弄んでたって事になるわけで」

「ちょっと待て……狙ってやってたのか?」

「そ。狙ってやってた。やってたからたちが悪い」

 苦笑いを浮かべて渚は言う。

「だから軽い罵声を浴びる程度で済ませてくれたのは本当に運が良かったというか……その程度で済ませてくれるような子相手にそんな立ち回りをしてたんだなって。色々としんどくなるよね。自業自得だけど」

「自業自得って……いや、確かに愚痴なんて言葉で流して良い話かどうかって言われると微妙だなこれ。そう来たかぁって感じ」

「かなりろくでもないでしょ私」

「いや、それは知らん」

 もしそんな事は無い、なんて言葉が欲しかったんだとすれば、悪いけどそれは今の俺には言えない。
 一拍空けてから、俺は言葉を紡ぐ。

「……お前が言う触れないで欲しい部分の理由を聞いてねえから、正直その事に対してお前が悪いだの悪くないだのって話は俺にはできねえなこれ。何言ったっていい加減な事になる」

 態々露骨に隠されている情報があるのに、それを無視して全肯定する程、渚とは雑な関係を築いてきたつもりはない。
 男だろうと女だろうと、その辺は変えるつもりはない。
 隠している理由がカスみたいな話だったら普通に咎めるべきだしな。
 だけどそれでも。それはそれとして。

「でもどんな経緯であれ、悪い事したなって思ってんなら、俺としては安心できるよ」

 それにただ男として振る舞っていた結果そうなったって言うだけで少なくとも俺は納得できたのに、態々他にも何かあるっていう風に、印象が悪くなりかねないような事も伝えてくれた辺り、本当にそう思っているんだろうなって思えるから。
 それに、そもそもの話。

「大体そもそもの話、お前んちの訳わからねえルールが無ければ拗れた話にはなってねえわけだからさ。全部が全部その延長線上って事で。だからさ……あんま重く考え過ぎんな」

「明人……」

「ああ、でも何も考えんなって話じゃねえぞ。今日みたいな事が有ったらちゃんと逃げずに謝れよ。それでしんどくなったら、その時は気晴らしぐらいいくらでも付き合ってやるし」

 それこそ今日みたいにさ。
「……うん、ありがと」

 そして渚はそう言って頷いた後、少し間を空けてから口を開いた。

「ねえ明人」

「どした?」

「一つ……明人にも謝らないといけない事があるんだ」

 少し、申し訳無さそうに。
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