仲の良い幼馴染の兄弟が姉妹だった話

山外大河

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二章 これまでの事、これからの事

5 誰かの所為では無く

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「謝る? この流れで俺にか?」

「うん。この流れでこれ謝っとかないのは良くないと思うから」

 この流れで? 今の流れの中に俺関係有ったか?
 そして困惑する俺に渚は言う。

「ほら、私はさっき言ったみたいな立ち回りをしていた訳でさ、結果……ほんと自分で言うのもなんだけど、女の子の人気を搔っ攫っていった訳じゃん」

「そうだな。結果俺達はマコっちゃん以外は灰色の…………ってちょっと待て。謝る事ってそれか?」

 まさかとは思うけど。
 まさかとは思ったけど……渚は頷く。

「うん、それ」

 渚は申し訳なさそうに続ける。

「私のやっていた事は女の子にも嫌な思いをさせただろうし……それは明人達もそうだと思う。だから──」

「いやそれは絶対謝る様な事じゃねえだろ。俺達からしてもそれは受け取っちゃ駄目だ」

「……?」

「俺達がモテなかった要因がお前でも原因はお前じゃねえ。それはお前に負けてた俺らがわりいんだよ。事実マコっちゃんは大勝利だからな。俺は負けるべくして負けてんの」

 そう、俺達がどうしようもなかっただけだ。

「だからお前が謝るのは違う。ていうかもう終わった話だしな。俺はもう敗北を糧にして次頑張っていこうって感じで前向いてる事だし」

 と、思った事をそのまま答えている途中で気付く。
 次、頑張る。
 高校生活で生まれるであろう新たな出会いを逃さないように頑張る。
 そんな気持ちは、すっかりと薄れていて。
 というよりも今まで渚に負けていたという気持ちも薄くなっている。

 マコっちゃんや橋本のように分かりやすい形になっていないだけで。
 そこに多大なる勘違いが含まれているとしても。
 隣にずっと渚が居たと思えば、それはきっと大勝利なのだ。
 おそらく、現在進行形で。

 ……だから今、渚以外に頑張りたい相手が出て来るとは思えなかった。
 だけどそう思えば思う程、かなり気分は重くなる。

 具体的に踏み込むつもりは無いけど、どうして渚は家のルール以外の理由で女の子に対してそういう立ち回りをしていたのか。

 その答えはつまり……つまりだ。
 渚って、実は女の子が好きなんじゃないか?
 ……これが答えなんじゃないか。
 だとすれば……やはり俺の気持ちは一方的なもので。
 渚からはずっと親友以上の感情を向けられていなくて。

 どうであれこの先へは進めない。
 そういう事になる。
 そう考えて、渚が居なければ頭を抱えてしまいそうになる俺に渚は言った。

「いやそんなの頑張らないでよ」

 少し、真剣な声音で。

「えっと……どういうこと?」

 え、これ応援とかしてもらえる流れじゃなくて……頑張るな? んん?
 なんで……頑張ってほしくないんだ?

「あ、いや、違くて……と、とにかく私の愚痴から始まった話は終わり! 遊ぶこと考えよう遊ぶこと!」

「お、おう……」

 えっと、モテようと頑張るなって事は、渚的には俺にそうなってほしくないって事で。
 じゃあ……渚が女が好きみたいなのは見当違いで、実は俺の事……。
 ……いやいや、ブレーキ踏めブレーキ。
 多分変に気負うとモテないぞっていうアドバイスだ。きっとそうだ。
 いやー危なかった。変な形で踏み込むところだった。
 ……まあどうでれ。


 どこかで変な形でも踏み込まないと、前にも後ろにも勧めはしないのだろうけど。
 もう言い訳しようがない位には、親友の事をそういう眼で見てしまっている訳だから。
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