ただキミを幸せにする為の物語 SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます

山外大河

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三章 人間という生き物の本質

23 最大火力の一撃

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 サンドベアーの地下からの強襲への攻略法は言うだけなら簡単だ。
 地面の下を掘り進むサンドベアーが地上に近付けば近づくほど、より強い振動と音がこちらに届く事になる。
 だからそれを察知しかわし、叩けばいい。

 ……そう、言うだけなら簡単だ。

 先頭開始の合図と共に動き出した直後、俺の足元からそういう感覚を感じ取れた。
 だけど音と振動のみで正確なポイントを割り出すのは難しく、そして。

 高速と言わざるを得ない位には、地面の中での移動速度は早い。

「……ッ!?」

 俺の体の数センチ先をサンドベアーの爪が通過する。
 あとほんの一瞬直感がズレていれば。
 そしてあと一瞬でも回避が遅れていれば、その鋭い爪で抉られていた。
 つまりはリーナの魔術で身体能力を上げられていなければ、今の一撃で重傷を負っていた……ッ。

 本当に魔獣なんかとは比べものにならない。
 もう運よく攻撃が外れる様な事はないのだから。

 そしてそれだけ攻撃を躱すのが難しい相手なのだとすれば。

 もうこれ以上は攻撃させねえ。

 俺は攻撃を回避した瞬間刀を振り払い、サンドベアーに切りかかる。

「グオォォォォォォ!」

 耳に呻き声が届く。
 ……だが。

「ォォォォォォオオオオオオオオオオオオオッ!」

 それで倒せる訳では無い。
 サンドベアーは固い。純粋な体の丈夫さもそうだが、とにかくタフなのだ。
 故に基本的には持久戦に持っていかれる。
 あの躱しにくい攻撃を前に、持久戦を強いられる。

 ……一人ならば。

「今だグレン!」

 俺が刀で切りつけた影響で、次の行動への切り返しが微かに遅れている。
 隙が生まれる。
 もっともそれは、その隙を作った俺には付けないけれど。
 第三者なら。

 サンドベアーが跳び出した時点で、俺がサンドベアーを切りつけて微かに動きを止める事を前提とした動きをしているグレンならば……叩ける!

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 次の瞬間、グレンが振るおうとするハンマーに小さな魔法陣が展開された。
 そしてサンドベアーの胴体に、それを付与したハンマーを叩きつけた。

 そして次の瞬間。

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!?」

 2、5メートル近くあるサンドベアーの巨体が、5、6メートル近く吹っ飛ばされて地面を転がる。

「……ふう。快調快調」

 グレンの使った魔術。グレンの切り札の一つ。
 衝撃を一点へと集中させる魔術。
 おそらく瞬間的に出せる火力なら、サンドベアーを含めたこの中の誰よりも……グレンが強い。

 流石頼れる親友である。
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