ただキミを幸せにする為の物語 SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます

山外大河

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三章 人間という生き物の本質

24 アクロバティックコンビネーション 上

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「流石グレン。相変わらずすげー威力だ」

「お前も幸運スキル無しでも十分戦えてんじゃねえか」

 そう言うグレンが弾き飛ばしたサンドベアーは倒れたまま動かない。
 確かに俺も攻撃はしたが、実質的に一撃で昏倒させたグレンの一撃は本当にすげえ威力だ。

 そしてグレンが言う。

「……でもまあ、俺達はまだ十分やれてる範囲。なんだアイツ。無茶苦茶じゃねえかよ」

 言いながらグレンが視線を向けたのはアリサの方だ。

「……すげえ」

 アリサは視界の先のもう一体のサンドベアーと戦っていた訳だが……もはや予知能力でも備わっているのではないかと思う程に余裕かつ無駄の無い動きでサンドベアーの攻撃を交わし続ける。
 それも余裕で、あえてギリギリの位置に。
 ナイフ使いのアリサの最も優位な間合いで。

 一撃一撃では俺と同じく対したダメージは与えられない。だけど出てきた瞬間に切りつけ、再び潜られる前に投げナイフを放つ事の繰り返しで、確実にダメージを蓄積されている。
 明確にサンドベアーの動きが鈍った。

 そしてこちらがそう認識した瞬間、再び地面から跳び出してきたサンドベアーに対し、今度は大きくバックステップで距離を取る。
 左手をナイフに翳しながら。

 そして投擲。突きささり激しい放電。

「なんだあの出力……ッ!?」

「信じられるか? あれ初級魔術なんだぜ?」

「はぁ!? 嘘だろ!?」

 リーナがあらゆる魔術をマスターできる様な、常軌を逸した類のエキスパートの道を歩みだしているのだとすれば、アリサは王道。
 得意魔術一点突破で最強になる素質を持っている。

 ……なんかこの前より若干出力上がってね?
 いや、おかしいおかしい。ウチのパーティーの女子成長速度おかしいって!
 俺なんて多分あれだぞ? スライムに撃ったときより炎の出力1.1倍位にはなってるかなーとか、そんなレベルだぞ!?

「なあグレン」

「どしたよ」

「俺もああなれるかな?」

「……頑張り次第だろ」

 遠い目!

「ていうかやべえ……これ火力で俺負けてね? そこ負けたら年下の女の子に全てにおいて負けてね?」

 グレン無茶苦茶遠い目! 実際目の当たりにしたらちょっとショックだったみてえ!
 そんなグレンの肩に手をポンと置いて言う。

「ウェルカム」

「いやだそっちには行きたくねえ!」

「いやそれ全力で言われたら俺もちょっと傷付くぞぉ!?」

 いや、でもまあ大丈夫だ。
 お前の場合、直接的な攻撃力はお前の方がアリサよりも遥かに高いから。
 というかギルド全体で見ても、お前のソレは絶対上位のソレだから。

 お前は多分こっちには来ねえよ。
 ……俺も早く脱出しなければ! この凡人の沼から!

 と、アリサのサンドベアー討伐を見て軽くショックを受けていた所で……後方から激しい音がした。
 ……地面からサンドベアーが跳び出してくる音。

「うわ、ちょッ!?」

 それがやや前に出て戦っていた俺達と……リーナの間から聞こえてきた。
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