ただキミを幸せにする為の物語 SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます

山外大河

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三章 人間という生き物の本質

57 新たに生まれた理由 下

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「ああ……そうだな。そう思うよ」

 グレンの言葉にそう返した後、俺は言う。

「とりあえずさ、もうこの村に滞在し続けるつもりはない。もう少し頑張ろうとは思うけど、頑張り続けるのは多分無理だと思うからさ……やる事さっさと終わらせようと思う」

「神樹の森っすか?」

「ああ。さっさと問題の根元を叩き潰して王都に帰る。そうすりゃこの村に長期滞在する必要もなく、ユウを助ける事もできて、俺達の初陣も無事成功に終わるだろ」

 そう言うだけ言って、確認を取るように三人に問う。

「そんな感じで……どうかな?」

「いいんじゃないっすか?」

 リーナは言う。

「グレンさんの言う通り、今からやろうとしてる事は止めないといけないような事だとは思わないですし、それをやる事自体には賛成っす」

 そう言って肯定してくれてたリーナは、少し諦めたように言う。

「まあ正直その怪我っすから。ほんとは止めないといけないのかもしれないっすけど……でも、色々あった後で、改めてそう考えたんだったら、多分止めてもやるんすよね?」

「……まあ、な。そうしたい。無茶な事言ってるのは理解してるけど……それでも。これだけは折りたくない」

 そして俺は改めて三人に頼み込む。

「頼む。俺のわがままに協力してくれ」

「ああ」

「了解っす」

 まず最初にグレンとリーナがそう言って頷いてくれた。
 そしてそれに続くようにアリサも言う。

「分かりました。じゃあ当初の予定通り問題の原因を潰しに行きましょう」

 と、そう言ってくれたアリサだったが、それでも一拍空けてから少し心配そうに言う。

「だけど一つ、約束してください」

「約束?」

「無茶はしないでほしいなーって。いや、まあもう無茶な事をやろうとしてるのは分かるんですけど……それでも」

「……分かってる」

 言いたいことは、流石に分かる。

「俺は今の俺がやれる事をやる。だから……負担掛けると思うけど、頼むわアリサ」

「……はい! 任せてください!」

 そう言ってアリサは笑みを浮かべる。
 ……とにかく、これで決まりだ。

 俺達で黒い霧というイレギュラーまで発生し始めた魔獣問題を解決。ユウを助けてこのパーティーでの初陣を綺麗に終わらせ、後腐れ無くさっさとこの村を後にする。
 その為にもう少しだけ……頑張る。

「じゃあ色々と段取り決めとこうぜ。いつ行くのか。行ったとしてどうやって動くのか。その辺りを決めねえと」

「決行するなら明日だな」

 俺の言葉にグレンがそう言う。

「今から向かうんじゃ遅い。かといって早いに越した事はねえからな。明日決行してさっさと終わらす。そうしよう」

 俺達三人共、それに異論は無かった。
 そして俺達三人が頷いたのを見てグレンが言う。

「よし、じゃあ後で作戦会議だ。それから明日に備える……でもまあその前に」

 グレンは一拍空けてから俺に言う。

「今の空いている時間に行っちまおう」

「え? 行くってどこに」

「今お前が行かなきゃならねえ所なんて決まってんだろ。色々あって忘れちまったか? ……行くんだろ? 墓参り」

「ああ……そうだったな」

 確かにグレンのいう通り、色々ありすぎて忘れかかってたのかもしれない。親不孝な奴だと思う。後で謝ろう。
 ……で、墓参り。確かに行くとすれば今だろう。

 時間が空いているからというのもある。
 だけどそれ以上に……戻ってきてからだと、行けるかどうか定かじゃないから。
 もう此処はそういう所だから。
 行ける内に行っておこうって。そう思えた。
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