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1-3 新しい日常 新しい非日常
7 帰路
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やる事を全部やった後、自宅で読むように言われたウィザードの教本を何冊か受け取った後に神崎が運転する車へと乗り込んだ。
このまま自宅まで送ってくれるらしい。
「すみませんね、送ってもらう事になって」
「そりゃお前、金貸してくれって頭下げてくるような奴に、公共機関乗り継いで帰れなんて言えねえだろ」
先程、全部終わった位のタイミングで神崎に頭を下げた。
ウィザードの襲撃によって発生した問題がある程度解決した今、それ以前に抱えていた問題が露呈してしまった訳だ。
自分一人ならどうにかなる。
だがユイもとなると給料日までの生活どうしよう問題だ。
一応駄目元でアンノウンを生活させるための補助金とかそういうのが無いかと確認は取ったものの、そんな事態が想定外。
そして流石に税金で動いている組織である以上、その辺の融通はすぐには利かない。
だからシンプルに金を借りた。
「とりあえずコンビニの方の給料が出たら返すんで」
「いや、ウィザードの初任給が出たらでいい」
「え、でも早めに返さないと利子とか……」
「え、もしかして営利目的で貸してるとか思ってんのか?」
とまあそんなやり取りをしつつ、神崎の車は鉄平の自宅へと向かって走り出す。
「しっかし今更なんですけど、俺達家に帰しても良かったんですか?」
「駄目か?」
「いや、普通監視対象みたいな……手の届く範囲に置いといたりするもんかなと」
「そこのところ気にし始めたら、俺達はお前らの行動の全てに縛りを設けないといけなくなる。当然そうするべきという考えは否定しねえけど……そもそもある程度自由にさせて大丈夫という信頼すら向けられないのなら、俺達はあそこで戦いを止めるべきじゃなかった……それに」
「それに?」
「監視役ならいるだろ。お前だってウィザードだ」
「書類上明日からですけどね」
「まあその辺は問題が起きりゃうまくやるさ……それよりも」
神崎は少し言いにくそうに間を空けてから言う。
「送り届ける側が言うのもアレだけどよ、一人暮らしの成人男性の家に小学校高学年……良くて中一のガキが転がり込む訳だろ。普通に犯罪臭しかしなくないか?」
「そこ触れます?」
「いや触れるだろ。なんか自然な流れでお前ら二人で暮らす感じになってるけど、そこはうまい事分け……ああ駄目だ。一応杉浦が管理するアンノウンって形で通してるから一緒じゃないと駄目なんだ」
「やっぱり自然な流れじゃの」
「自然な流れでも世間一般的に見りゃ不自然なんだよ……心配だ」
「まあ世間体とかはうまい事しないとなとは思いますけど……これそういうの以外で心配されているんだったら心外ですよ。それ人の事ロリコン扱いしてる事になりますからね。違いますよ俺」
「そうじゃよ。今日風間さんに挨拶に行った時に確信したが、鉄平マジでワシをそういう風に見てないんだなって……確信が持てたのじゃ」
後半に行くにつれ、声が小さくなっていくユイ。
「……勝てねぇ、アレどうやって勝つんじゃぁ……」
ぼそぼそと呟いていて何言ってるか分からないけど、テンション低いのは分かった。
「どうしたユイ。車酔いでもしたか?」
「いや、なんでも無いのじゃ。なんでも無いというか、何も無いというか……」
胸元に手を起きながらそう言うユイ。
「……? ま、まあとにかく神崎さん。俺はロリコンじゃないですよ! どっちかと言えば滅茶苦茶エロいお姉さんが好きです! それこそ支局長の風間さんみたいな!」
「それ聞いて少し安心したけど、そういうのに職場の人間の名前出すのは生々しいから止めろ」
「あ、はい」
大正論である。
このまま自宅まで送ってくれるらしい。
「すみませんね、送ってもらう事になって」
「そりゃお前、金貸してくれって頭下げてくるような奴に、公共機関乗り継いで帰れなんて言えねえだろ」
先程、全部終わった位のタイミングで神崎に頭を下げた。
ウィザードの襲撃によって発生した問題がある程度解決した今、それ以前に抱えていた問題が露呈してしまった訳だ。
自分一人ならどうにかなる。
だがユイもとなると給料日までの生活どうしよう問題だ。
一応駄目元でアンノウンを生活させるための補助金とかそういうのが無いかと確認は取ったものの、そんな事態が想定外。
そして流石に税金で動いている組織である以上、その辺の融通はすぐには利かない。
だからシンプルに金を借りた。
「とりあえずコンビニの方の給料が出たら返すんで」
「いや、ウィザードの初任給が出たらでいい」
「え、でも早めに返さないと利子とか……」
「え、もしかして営利目的で貸してるとか思ってんのか?」
とまあそんなやり取りをしつつ、神崎の車は鉄平の自宅へと向かって走り出す。
「しっかし今更なんですけど、俺達家に帰しても良かったんですか?」
「駄目か?」
「いや、普通監視対象みたいな……手の届く範囲に置いといたりするもんかなと」
「そこのところ気にし始めたら、俺達はお前らの行動の全てに縛りを設けないといけなくなる。当然そうするべきという考えは否定しねえけど……そもそもある程度自由にさせて大丈夫という信頼すら向けられないのなら、俺達はあそこで戦いを止めるべきじゃなかった……それに」
「それに?」
「監視役ならいるだろ。お前だってウィザードだ」
「書類上明日からですけどね」
「まあその辺は問題が起きりゃうまくやるさ……それよりも」
神崎は少し言いにくそうに間を空けてから言う。
「送り届ける側が言うのもアレだけどよ、一人暮らしの成人男性の家に小学校高学年……良くて中一のガキが転がり込む訳だろ。普通に犯罪臭しかしなくないか?」
「そこ触れます?」
「いや触れるだろ。なんか自然な流れでお前ら二人で暮らす感じになってるけど、そこはうまい事分け……ああ駄目だ。一応杉浦が管理するアンノウンって形で通してるから一緒じゃないと駄目なんだ」
「やっぱり自然な流れじゃの」
「自然な流れでも世間一般的に見りゃ不自然なんだよ……心配だ」
「まあ世間体とかはうまい事しないとなとは思いますけど……これそういうの以外で心配されているんだったら心外ですよ。それ人の事ロリコン扱いしてる事になりますからね。違いますよ俺」
「そうじゃよ。今日風間さんに挨拶に行った時に確信したが、鉄平マジでワシをそういう風に見てないんだなって……確信が持てたのじゃ」
後半に行くにつれ、声が小さくなっていくユイ。
「……勝てねぇ、アレどうやって勝つんじゃぁ……」
ぼそぼそと呟いていて何言ってるか分からないけど、テンション低いのは分かった。
「どうしたユイ。車酔いでもしたか?」
「いや、なんでも無いのじゃ。なんでも無いというか、何も無いというか……」
胸元に手を起きながらそう言うユイ。
「……? ま、まあとにかく神崎さん。俺はロリコンじゃないですよ! どっちかと言えば滅茶苦茶エロいお姉さんが好きです! それこそ支局長の風間さんみたいな!」
「それ聞いて少し安心したけど、そういうのに職場の人間の名前出すのは生々しいから止めろ」
「あ、はい」
大正論である。
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