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2-1 招かれざる客
ex 普通の一級ウィザード
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ウィザードに限らずあらゆる事柄において、それを取り巻く人間は主に二種類に分けられる。
普通か、特別か。
少なくとも北陸第一支部、実働部隊隊長の篠原圭一郎は自身の事を普通だと評価している。
全盛期であれば一人で世界を取れるだけの。文字通り異次元の力を有していた風間杏。
半ばフィーリングで特級に片足を突っ込むような実力を有している、今だ発展途上の風間柚子。
事実上特定のアンノウンを無力化できる杉浦鉄平。
そしてその杉浦に、弱体化してなお膨大な力を託してくれているユイ。
自身の周囲のそんな特別と比較すれば、自分はどこまでも普通の人間だ。
故に特別な事はできない。
だから普通の一級ウィザード相応の動きしかできやしない。
故にそれを可能な限り全うする。
手にした二丁のハンドガンを消滅させて再び対戦車ライフル手に取り、上空に銃口を向ける。
(反応検知……術式装填完了。これで潰せるだけ潰す!)
そして篠原の術式が付与された弾丸を上空に撃ち放った。
次の瞬間、巨大アンノウンの更に上で術式が発動し炸裂。
上空から魔術の弾丸がしだれ花火のように降り注ぐ。
正確に、アンノウンだけを狙って。
これで潰せればそれでいい。それが出来なかったとしても大きく損傷させて動きを止める。
状況はイレギュラーだが最悪だと嘆く程悲観的じゃない。
(おそらく赤坂もある程度逃げたアンノウンを潰せる。撃てなかった分も動きを止められた分も神崎達ならきっとどうにかできるし、避難誘導だって進んでいる。そこに俺と赤坂が加われば大丈夫だ)
考えながら落下中のアンノウンを直接打ち抜き破壊して、そして地上に着地した健在な別個体のアンノウンの頭上に落下し、ゼロ距離で対戦車ライフルを撃ち抜いた。
そして頭上を見上げる。
(……問題は上か)
アンノウン内部に残った残存勢力を殲滅するだけなら杉浦一人か風間一人で充分だ。それだけあの二人は強い。
間違いなく自分よりもだ。
……それだけなら。
「……本当にアレだけで終わればな」
一度に大量のアンノウンが出現しているだけでも十分なイレギュラーな訳だが……こういうイレギュラーが起きている時点で、もはやあの場所で何が起きてもおかしくない。
より想定できないような事態が発生してもなんらおかしくはない。
だからこそ二人残した。
いざという時起きた事態に対処できる最高戦力があの二人だと思ったから。
(いや……三人か)
心中でそう訂正した後、内心で呟く。
(……それだけで終わってくれ)
言いながら視線を正面に戻し走り出す。
こちらはこちらの仕事を終わらせる為に。
こちらを片付けて、早急に上の現場に戻れるように。
自分が戻る必要が無い状況に落ち着く事を祈りながら。
普通か、特別か。
少なくとも北陸第一支部、実働部隊隊長の篠原圭一郎は自身の事を普通だと評価している。
全盛期であれば一人で世界を取れるだけの。文字通り異次元の力を有していた風間杏。
半ばフィーリングで特級に片足を突っ込むような実力を有している、今だ発展途上の風間柚子。
事実上特定のアンノウンを無力化できる杉浦鉄平。
そしてその杉浦に、弱体化してなお膨大な力を託してくれているユイ。
自身の周囲のそんな特別と比較すれば、自分はどこまでも普通の人間だ。
故に特別な事はできない。
だから普通の一級ウィザード相応の動きしかできやしない。
故にそれを可能な限り全うする。
手にした二丁のハンドガンを消滅させて再び対戦車ライフル手に取り、上空に銃口を向ける。
(反応検知……術式装填完了。これで潰せるだけ潰す!)
そして篠原の術式が付与された弾丸を上空に撃ち放った。
次の瞬間、巨大アンノウンの更に上で術式が発動し炸裂。
上空から魔術の弾丸がしだれ花火のように降り注ぐ。
正確に、アンノウンだけを狙って。
これで潰せればそれでいい。それが出来なかったとしても大きく損傷させて動きを止める。
状況はイレギュラーだが最悪だと嘆く程悲観的じゃない。
(おそらく赤坂もある程度逃げたアンノウンを潰せる。撃てなかった分も動きを止められた分も神崎達ならきっとどうにかできるし、避難誘導だって進んでいる。そこに俺と赤坂が加われば大丈夫だ)
考えながら落下中のアンノウンを直接打ち抜き破壊して、そして地上に着地した健在な別個体のアンノウンの頭上に落下し、ゼロ距離で対戦車ライフルを撃ち抜いた。
そして頭上を見上げる。
(……問題は上か)
アンノウン内部に残った残存勢力を殲滅するだけなら杉浦一人か風間一人で充分だ。それだけあの二人は強い。
間違いなく自分よりもだ。
……それだけなら。
「……本当にアレだけで終わればな」
一度に大量のアンノウンが出現しているだけでも十分なイレギュラーな訳だが……こういうイレギュラーが起きている時点で、もはやあの場所で何が起きてもおかしくない。
より想定できないような事態が発生してもなんらおかしくはない。
だからこそ二人残した。
いざという時起きた事態に対処できる最高戦力があの二人だと思ったから。
(いや……三人か)
心中でそう訂正した後、内心で呟く。
(……それだけで終わってくれ)
言いながら視線を正面に戻し走り出す。
こちらはこちらの仕事を終わらせる為に。
こちらを片付けて、早急に上の現場に戻れるように。
自分が戻る必要が無い状況に落ち着く事を祈りながら。
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