魔剣拾った。同居した。

山外大河

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2-2 剣と銃

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「な、なんかお通夜みたいな空気になってるね……えーっと、なにこれ」

 ディルバインへの尋問が行われている会議室に遅れてやって来た杏は、室内のあまりに重い空気に対し困惑気味にそう口にする。

「お疲れお姉ちゃん。えっと……杉浦さんとユイちゃんは?」

「どこかの誰かさんが変な事を色々と吹き込んだ所為でユイちゃんの方がちょっとね……少しケアが必要かなって思ったから今日は二人共帰らせた。良かったですよね、篠原さん」

「ああ、良い判断だ。その方が良いと俺も思う……それに、今此処に杉浦が居なくて良かった」

「ん? という事は杉浦君に聞かれたらマズイ話って事? …………ねえマコっちゃん。これ私は聞いていい奴? アレだったら席外すけど」

「……いや。良いですよね篠原さん。他言無用とは言いましたけど、杏さんは一応北陸第一の頭な訳ですし」

「そうだな。風間姉なら良いだろう……普段はアレだがこういう類の話の時はある程度信頼できる」

「同感っす」

「……ほんと皆私の扱い雑すぎないかな?」

 そう杏が珍しくツッコミを入れたその時だった。


 会議室内にアラートが鳴り響いたのは。
 つい数時間前にも聞いた、あまり聞きたくはない合図が耳に届いたのは。


「なんだこの音は。警報か?」

「アンノウン……ダンジョンでの迎撃に失敗した敵が、俺達の管轄内に出現したんだ」

 そういう神崎の隣で、篠原がスマホに視線を落とす。
 アンノウンの詳細情報は一旦隊長の篠原、そしてそれが十数秒の間確認されなかった場合、代わりに神崎の端末へと送られる。
 そこから状況に応じて詳細情報の拡散の指示や部隊の編制が行われるのだ。

「今日二度目っすよ! 次は一体なんなんすか!?」

「……妙な既視感があるな」

 篠原はそう呟いた後、考えを纏めるように一拍空けてから言う。

「出現したのはAランク……だが直後Sランク相当へ反応が変化し、再び反応が弱まった後消滅したようだ」

「既視感……ユイの時みたいって事ですか?」

「ああ。あの時も出現後に第三者と接触したであろうウエイトの後、反応が消滅していただろう。似ているとは思わないか?」

「……今こういう話した後だと、どうしてもそっちに意識向いちゃうっすね。だとしたら出現したのはまさかキリングドールって奴っすか?」

「分からない。ただその可能性もあるという訳だ……とにかく、早急に動かなければ。出現場所は駅前のビジネスホテルだ。既に宿泊客と接触している可能性がある」

「編成はどうします? 臨時に来てもらった連中もまだ残ってますけど」

「短期間だがSランクの反応が出ているという事は、相手は今現在の杉浦とユイと同等クラスだと考えた方が良い……申し訳ないが出し惜しみはできない。本来Sランクのアンノウンの出現とはそういうものだ」

「あまり良い判断だとは思わないけどね」

 そう口を挟んだのはディルバインだ。

「仮に彼らと同等クラスの驚異なのだとすれば、生半可な実力の者は犬死するだけだと思うけど」

「分かっている。その辺は考えているさ……人命を軽視するようなやり方はしない」

 そして篠原は神崎に言う。

「今動ける者を全員召集。現場周囲を囲んだ上で緊急時に備え待機。ホテルには主力を突入させる」

「杉浦さんとユイちゃんはどうするっすか!?」

「動ける者と言っただろ。今はそういう状況ではない……あと神崎」

「はい」

「お前も何人かと共に此処に残れ」

「……分かりました」

 やや不服そうだが神崎は反論する事なく頷いた。

(ま、既に此処でも問題は起きてるからね)

 杏達の目の前には今も、異世界から来た人間というイレギュラーにも程がある存在が座っている。
 今現在も普通に会話に参加している辺り敵意むき出しな相手ではない事は分かるが、流石に此処をフリーにする訳には絶対にいかない。

 信頼できる人間を置いていく必要がある。

「風間妹は連れていく。現場が近づいたらアンノウンがホテルから移動していないかどうか。しているとしたらどこにいるかを探りたい。その役目的にも単純な戦力としても風間妹は外せない……だから、こっちで最悪な事が起きた場合は代わりに頼むぞ風間姉」

「分かりました」

 杏はその言葉に頷き、そしてディルバインも言う。

「……何もしないさ。それより……ご武運を」

「……さっきまで戦ってた相手にそんな事言われるのマジで違和感しかないっすね」

 そんな違和感と共に、彼らは動き出す。
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