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第二章〜フューズ王国〜
第15話 再び
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「次の方どうぞ」
「これお願いします」
「えっと、こちらは……ワイルドボア討伐依頼ですね。少々お待ち下さい」
俺が村長から貰った依頼票を渡すと受け付けのお姉さんはカウンターの奥へはいっていき、しばらくしてお金を持ってきた。
「依頼達成を確認致しました。こちらが報酬の5000ゴールドですね」
「すみません、ワイルドボアの素材が取れたんですけど、ここで換金って出来ますか?」
「はい出来ますよ!ここに出してください」
俺は言われた通りに、籠の中にワイルドボアの毛皮やら牙やらを出していく。
「ちょ、ちょっと待ってください。なんか量多くないですか?それにこの毛皮……綺麗すぎるし……」
「え? そうなんですか?」
やっぱ、ワイルドボア多かったのかよ。解体はカンナがやってくれたしなぁ。水魔法で血を洗い流すとか手伝いはしたけど、カンナの手際が良すぎてほぼカンナに任せてしまった。
にしても解体するって結構大変なんだな。
20匹近いイノシシが木に吊るされて、地面が血だらけになっている様子は猟奇的だった。
「アイテムバッグ持ちなんですね。ちょっと、お聞きしますが、ワイルドボアは何匹いましたか?」
「20匹くらい居たわね」
「えっ、よく無事でしたね……大半のEランクの冒険者なら命落としてますよ」
確かにあの数に囲まれたらきついだろうな。まあカンナが強かったから逃げ出してたけれどな。
「大変でしたよ(追いかけるのが)」
「ですよね(死闘が)」
ここに盛大な勘違いがあったのは誰も知る由もなかった。
「結構なお金になったな」
「そうね。まさか6万ゴールドにもなるとは思わなかったわ」
どうやら毛皮の状態が良かったようで、いいお値段になったらしい。だいたい20匹だったから1匹3000ゴールドくらいか。ゴブリンが確か1匹500ゴールドだったから、そう考えると結構ワイルドボアの買取価格は高めだったんだな。
「結構稼げたし、なんか買うか!」
「そうですね!」
「服とかどうかしら?」
「いいんじゃないか?」
親とか姉とかに荷物持ちとして連れ回されるショッピングは嫌いだが、可愛い子のファッションショーが見れるなら大歓迎である。まあ四〇元ポ〇ットがある今なら荷物持ちも全然苦じゃないんだけどな。
「いらっしゃいませー!」
俺たちが入った店は大通にある小洒落た店だった。
店にはチェックや、ストライプの柄のシンプルな服や、ビシッと決めるようなジャケットなどが売られていた。
異世界にもこんな服あるんだなーとか思いながら店内を見渡す。
どうやら試着も出来るようでカンナとリアンは試着室的なところでゴソゴソしている。
「見て下さい! これとかどうですかっ!?」
そう言いながら、スカートを履いたカンナがクルリと一周する。
「良く似合ってると思うよ」
そういうとカンナは嬉しそうにニヤニヤしている。尻尾も左右に揺れている。
「これはどうかしら?」
リアンのほうを向くと、ドレスみたいなフリフリが付いた服を着ている。白い服がリアンの綺麗な赤い髪を際立たせている。
「可愛いよ。良く似合ってる」
「うぅ……うるさい! ばかっ」
え?褒めたつもりだったんだけどな。
でもこれはほっぺ赤いし照れてるのかな?
カンナとリアンのファッションショーを楽しんでいた訳だが、ある服が目に留まった。
そう、執事服だ。どうしてもこれを着てみたいと思った。
「すみません、これ試着してもいいですか?」
「もちろんいいですよ。ただ汚したら代金払ってもらわないといけないので気を付けてくださいね」
俺は許可を貰うと、いそいそしながら着替えていく。
服を着終わったその瞬間俺は気を失った。
* * * *
「──にちは、斗真さん」
ん……ここはどこだ?確か俺は執事服を着ようとしてたはずだったんだが……。
ここは白い空間……?どこかで見た気がする。
目の前には女神様が……。あっ!そうかここ女神様に前呼ばれたところか。
「ええ、そうよ。今日はちょっと話があったから呼び出させてもらったわ」
「……話ですか?」
「ええ、ちょっと説明が不十分だったので。前回の時間の関係で説明出来なかった部分と、あなたの質問に答えたいと思ってね。まず、人類の滅亡について原因は教えたけれど、いつ起こるかは教えてなかったわね」
確かに前はいつ起こるかを教えて貰ってない。思えば結構大事な情報だな。
今まで気づかなかった自分に軽くショックを受ける。
「時期としては女神の私でも正確には分からないけれど、未来予知によるとだいたいあと3年から6年くらいの間に起きるわ」
早くてあと3年か……割と時間ないな。こりゃ、学園に行く暇もなさそうだ。
そう思っていたのだが。
「だけど、学園には行った方がいいわよ。あそこには本もいっぱいあるし、学べることが沢山あると思うわ。あなたにはまだこの世界についての知識が全然足りないようだから、学びの場である学園が最適だと思うわ」
確かに独学で学ぼうとしても、いろいろな人に聞いてまわらないといけないし、本だって、この世界では目当てのものを探すのは大変だ。その点学園は本も沢山あるし、教えてくれる人だっているだろう。
まあ、勉強するとなると若干行きたくはなくなるが……。
そういえば原因についてはもっと細かな情報はないのだろうか?
「私には視ることは出来ないわね。あくまで何かがあるとしかわからないわ」
視るというのは未来を見ているということだろうか。それにしてもまるで心を読まれてるみたいだな。原因のことについて質問してないのにその答えが返ってきたからな。
「あら? 言ってなかったかしら、私は心を読むことが出来るのよ」
やっぱりそうだったか。
「そういえば、カンナを召喚したときカンナはやけに従順だったんですけど、なんか理由があるんですか? てっきり、最初はあまりコミュニケーションも取れないレベルなのを覚悟していたんですけど」
「ええ、そうね。実は神聖召喚魔術は普通の召喚魔術と違って、召喚したものに最初から好意を持たせやすくなっているのよ。多分それが原因だと思うわ」
なるほど、カンナが最初から好意的だったのはそういうことだったのか。ってことは、あのフォレストウルフも好意的だったからこそ、言う事を聞いてくれていたのだろうか。でも、あれは普通の召喚魔術だったけどなぁ。
「実は神聖召喚魔術を持っていると、普通の召喚魔術も同じような補正がかかるのよ。具体的に言えば、最初から好意的とか、自分の想像どおりの魔物や人が出てくるとかかしらね。普通の召喚魔術だとなかなか狙った魔物を召喚するというのは難しいのよ」
普通の召喚魔術にも補正がかかるのか、便利だな。
「ちなみに神聖召喚魔術の補正がなかったら今頃あなたはフォレストウルフに噛み殺されていたわね。確かに魔力量は圧倒的だけれど、総合的にみたらフォレストウルフのほうが強いから従ってくれないと思うわ」
まじか、無事だったからよかったけれど、一歩間違えたら大惨事だったのか。
「他に質問あるかしら?」
「そうですね……カンナと同じキツネ獣人は絶滅したんですか?」
「そうね、約500年前にほぼ絶滅したわね。今でも残ってなくはないけど、そんなにいないし、隠れて過ごしているから会うのはなかなか難しいと思うわ」
「その絶滅した原因ってなんだったんですか?」
「それはちょっと答えられないわ。ごめんなさいね」
ふむ、答えられないのか。どこが境界線かは分からなかったけれど、言えない理由があるのだろう。
取り敢えずはこんなところだろうか。
「他に質問はないようね。それじゃあ、頑張って下さいね!」
* * * *
────ガンッ
痛ってぇ。どうやら俺は気を失っていたようだ。気づいたときには全身の力が抜けており、壁に頭をぶつけてそのまま倒れ込んでいた。
シャーァァ──
カーテンが空き、カンナとリアンの顔が見える。
「大丈夫ですか!!」
「ああ、大丈夫だよ。ちょっと滑っただけだから」
「ほんとですか? 体調が悪いなら宿で休んだほうがいいですよ?」
「そうよ。無理は良くないわ」
そうして俺は宿で休養を取らされる羽目になった。
まあ美少女二人が看病してくれるのでむしろ嬉しいけどな。まあ別に病気でもなんでもないんだが。
ちなみに夜ご飯はカンナがお粥みたいなものを作ってくれたんだが、相変わらず美味しかった。
「これお願いします」
「えっと、こちらは……ワイルドボア討伐依頼ですね。少々お待ち下さい」
俺が村長から貰った依頼票を渡すと受け付けのお姉さんはカウンターの奥へはいっていき、しばらくしてお金を持ってきた。
「依頼達成を確認致しました。こちらが報酬の5000ゴールドですね」
「すみません、ワイルドボアの素材が取れたんですけど、ここで換金って出来ますか?」
「はい出来ますよ!ここに出してください」
俺は言われた通りに、籠の中にワイルドボアの毛皮やら牙やらを出していく。
「ちょ、ちょっと待ってください。なんか量多くないですか?それにこの毛皮……綺麗すぎるし……」
「え? そうなんですか?」
やっぱ、ワイルドボア多かったのかよ。解体はカンナがやってくれたしなぁ。水魔法で血を洗い流すとか手伝いはしたけど、カンナの手際が良すぎてほぼカンナに任せてしまった。
にしても解体するって結構大変なんだな。
20匹近いイノシシが木に吊るされて、地面が血だらけになっている様子は猟奇的だった。
「アイテムバッグ持ちなんですね。ちょっと、お聞きしますが、ワイルドボアは何匹いましたか?」
「20匹くらい居たわね」
「えっ、よく無事でしたね……大半のEランクの冒険者なら命落としてますよ」
確かにあの数に囲まれたらきついだろうな。まあカンナが強かったから逃げ出してたけれどな。
「大変でしたよ(追いかけるのが)」
「ですよね(死闘が)」
ここに盛大な勘違いがあったのは誰も知る由もなかった。
「結構なお金になったな」
「そうね。まさか6万ゴールドにもなるとは思わなかったわ」
どうやら毛皮の状態が良かったようで、いいお値段になったらしい。だいたい20匹だったから1匹3000ゴールドくらいか。ゴブリンが確か1匹500ゴールドだったから、そう考えると結構ワイルドボアの買取価格は高めだったんだな。
「結構稼げたし、なんか買うか!」
「そうですね!」
「服とかどうかしら?」
「いいんじゃないか?」
親とか姉とかに荷物持ちとして連れ回されるショッピングは嫌いだが、可愛い子のファッションショーが見れるなら大歓迎である。まあ四〇元ポ〇ットがある今なら荷物持ちも全然苦じゃないんだけどな。
「いらっしゃいませー!」
俺たちが入った店は大通にある小洒落た店だった。
店にはチェックや、ストライプの柄のシンプルな服や、ビシッと決めるようなジャケットなどが売られていた。
異世界にもこんな服あるんだなーとか思いながら店内を見渡す。
どうやら試着も出来るようでカンナとリアンは試着室的なところでゴソゴソしている。
「見て下さい! これとかどうですかっ!?」
そう言いながら、スカートを履いたカンナがクルリと一周する。
「良く似合ってると思うよ」
そういうとカンナは嬉しそうにニヤニヤしている。尻尾も左右に揺れている。
「これはどうかしら?」
リアンのほうを向くと、ドレスみたいなフリフリが付いた服を着ている。白い服がリアンの綺麗な赤い髪を際立たせている。
「可愛いよ。良く似合ってる」
「うぅ……うるさい! ばかっ」
え?褒めたつもりだったんだけどな。
でもこれはほっぺ赤いし照れてるのかな?
カンナとリアンのファッションショーを楽しんでいた訳だが、ある服が目に留まった。
そう、執事服だ。どうしてもこれを着てみたいと思った。
「すみません、これ試着してもいいですか?」
「もちろんいいですよ。ただ汚したら代金払ってもらわないといけないので気を付けてくださいね」
俺は許可を貰うと、いそいそしながら着替えていく。
服を着終わったその瞬間俺は気を失った。
* * * *
「──にちは、斗真さん」
ん……ここはどこだ?確か俺は執事服を着ようとしてたはずだったんだが……。
ここは白い空間……?どこかで見た気がする。
目の前には女神様が……。あっ!そうかここ女神様に前呼ばれたところか。
「ええ、そうよ。今日はちょっと話があったから呼び出させてもらったわ」
「……話ですか?」
「ええ、ちょっと説明が不十分だったので。前回の時間の関係で説明出来なかった部分と、あなたの質問に答えたいと思ってね。まず、人類の滅亡について原因は教えたけれど、いつ起こるかは教えてなかったわね」
確かに前はいつ起こるかを教えて貰ってない。思えば結構大事な情報だな。
今まで気づかなかった自分に軽くショックを受ける。
「時期としては女神の私でも正確には分からないけれど、未来予知によるとだいたいあと3年から6年くらいの間に起きるわ」
早くてあと3年か……割と時間ないな。こりゃ、学園に行く暇もなさそうだ。
そう思っていたのだが。
「だけど、学園には行った方がいいわよ。あそこには本もいっぱいあるし、学べることが沢山あると思うわ。あなたにはまだこの世界についての知識が全然足りないようだから、学びの場である学園が最適だと思うわ」
確かに独学で学ぼうとしても、いろいろな人に聞いてまわらないといけないし、本だって、この世界では目当てのものを探すのは大変だ。その点学園は本も沢山あるし、教えてくれる人だっているだろう。
まあ、勉強するとなると若干行きたくはなくなるが……。
そういえば原因についてはもっと細かな情報はないのだろうか?
「私には視ることは出来ないわね。あくまで何かがあるとしかわからないわ」
視るというのは未来を見ているということだろうか。それにしてもまるで心を読まれてるみたいだな。原因のことについて質問してないのにその答えが返ってきたからな。
「あら? 言ってなかったかしら、私は心を読むことが出来るのよ」
やっぱりそうだったか。
「そういえば、カンナを召喚したときカンナはやけに従順だったんですけど、なんか理由があるんですか? てっきり、最初はあまりコミュニケーションも取れないレベルなのを覚悟していたんですけど」
「ええ、そうね。実は神聖召喚魔術は普通の召喚魔術と違って、召喚したものに最初から好意を持たせやすくなっているのよ。多分それが原因だと思うわ」
なるほど、カンナが最初から好意的だったのはそういうことだったのか。ってことは、あのフォレストウルフも好意的だったからこそ、言う事を聞いてくれていたのだろうか。でも、あれは普通の召喚魔術だったけどなぁ。
「実は神聖召喚魔術を持っていると、普通の召喚魔術も同じような補正がかかるのよ。具体的に言えば、最初から好意的とか、自分の想像どおりの魔物や人が出てくるとかかしらね。普通の召喚魔術だとなかなか狙った魔物を召喚するというのは難しいのよ」
普通の召喚魔術にも補正がかかるのか、便利だな。
「ちなみに神聖召喚魔術の補正がなかったら今頃あなたはフォレストウルフに噛み殺されていたわね。確かに魔力量は圧倒的だけれど、総合的にみたらフォレストウルフのほうが強いから従ってくれないと思うわ」
まじか、無事だったからよかったけれど、一歩間違えたら大惨事だったのか。
「他に質問あるかしら?」
「そうですね……カンナと同じキツネ獣人は絶滅したんですか?」
「そうね、約500年前にほぼ絶滅したわね。今でも残ってなくはないけど、そんなにいないし、隠れて過ごしているから会うのはなかなか難しいと思うわ」
「その絶滅した原因ってなんだったんですか?」
「それはちょっと答えられないわ。ごめんなさいね」
ふむ、答えられないのか。どこが境界線かは分からなかったけれど、言えない理由があるのだろう。
取り敢えずはこんなところだろうか。
「他に質問はないようね。それじゃあ、頑張って下さいね!」
* * * *
────ガンッ
痛ってぇ。どうやら俺は気を失っていたようだ。気づいたときには全身の力が抜けており、壁に頭をぶつけてそのまま倒れ込んでいた。
シャーァァ──
カーテンが空き、カンナとリアンの顔が見える。
「大丈夫ですか!!」
「ああ、大丈夫だよ。ちょっと滑っただけだから」
「ほんとですか? 体調が悪いなら宿で休んだほうがいいですよ?」
「そうよ。無理は良くないわ」
そうして俺は宿で休養を取らされる羽目になった。
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