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第二章〜フューズ王国〜
第27話 戻る日常とお約束
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「眩しい……もう……朝か、そろそろ起きないとな」
部屋の窓から陽が差し込んでくる。
そう、昨日は新しい能力について軽く調べたあと、疲れてたこともあって早めに寝てしまったのだ。
俺は身体を起こす為に手を伸ばす。すると手に柔らかい感触が伝わる。
むにっ
「……ん」
むにっ??
恐る恐る振り向くとそこには、すやすやと幸せそうに眠っているノアがいた。
ツーっと冷や汗が流れる。
覚悟して自分の手元を覗くと、その位置には丁度ノアのお腹だった。危ない、一瞬ラッキースケベをしてしまったかと思った。
胸じゃなかったか……残念……ってそうじゃない、なんでベットにノアが居るんだ?
「……ふぁーぅ、おはようございますっ、ご主人様♪」
「あー、えっと、おはよ?」
「どうしたんですか? 表情が硬いですよ?」
「えっと、ノア。ひとつ聞いてもいい?」
「いいですよ♪」
「なんで俺のベットに居るんだ?」
「ダメ……ですか?」
いや、ダメなんだけど、ダメじゃない。と言いたい所をグッと抑える。
カンナはともかく、リアンにバレたらね? ベツニヤマシイコトハナイケドネ!
「むー、一緒に寝たいのにー」
ノアはぷくーっと頬を膨らませている。
ちょ、その顔は反則だろ!
──ガチャという音と共に扉が開かれ、リアンが入ってくる。やべっ、この状況は誤解されかねない。
「あー! なんでノアちゃんがここにいるの!?」
「一緒に寝てたです♪」
「トウマ」
「は、はいっ」
「これはどういうこと?」
張り付くような笑顔でリアンがこちらを見据える。怖い怖い……
「いや、俺もよくわからない……丁度、ノアに聞いてたところだったしな! あ、そうそう、なんでノアは俺のベットに入ってきたんだ?」
「あのね? 1人で寝るのは寂しいの……だめ?」
甘えた声でそれを言うな! あーもう、かわいいなぁ!
「じゃあ……明日は私と寝る?」
「うん!」
「じゃあ一緒にご飯食べましょうか!」
そう言ってリアンはノアを連れていく。若干身長差があるから妹みたいに思っているのだろうか? にしても、一緒に寝るのはお預けかぁ……これでいいんだと思う自分と残念に思う自分がいる。うぐぅ!
◆ ◆ ◆
「ちーっす! トウマおはよ!」
「おう、おはようフィリップ。今日も元気だな」
この元気さは、たった1日で完全復活してやがる。俺たちは1日休んだあと、授業を受ける為に学園へと来ていた。
「あ、トウマたちおはようございます」
「ああ、おはようジェシカ。大丈夫か? 辛そうだけど」
ジェシカは疲れがまだ取れ切ってないのか、若干しんどそうだ。
「ええ、大丈夫よ。心配はいらないわ」
「ならいいけど……」
「あ、そうそう、気になっていたのだけど、その子は誰?」
流石に寝る時も寂しがっていたノアを置いてくる訳には行かず、連れてきてしまった。
「えーっと」
「ノアです♪」
俺がどう説明しようか悩んでいると、先にノアが自己紹介をし始める。
「ノアちゃんって言うのね、私にもこのくらいの妹がいるから親近感がわくわね。トウマ、この子どうしたの?」
「私はご主人様のけらい?……けらいです♪」
若干首を傾げながらもノアがそう説明する。なんか誤解されそうだな……
「そうなのね、トウマの護衛ってことかしら?」
なるほど、そういう風にも捉えられるのか。貴族だと若干ものの捉え方が違う気がする。
「えーっと、ジェシカ、端的に言うと、前俺が召喚してアンデッドゾンビウルフと戦ったラファールウルフなんだ」
俺はコソコソとジェシカに伝える。
「え? どういうこと!?」
「出来るだけ内緒にしてほしいんだけど、ノアは獣人化といって魔獣から獣人になることが出来るんだ」
「魔獣から獣人に? 聞いたことがないわね」
「そう、だから面倒臭いことに巻き込まれないよう、なるべく知られたくないんだ」
だったら言うなと言われるかも知れないが、隠しておた方が余計詮索されることもあるし、なにより怪しいからな。ここは事情を説明して黙ってもらう他ないだろう。
「そうなのね、それも前言ってた喋れないことかしら?」
「まあ、そんなところだ」
リアンと話しているとガララという音をたてながら、ブレンダン先生が教室へと入ってくる。
しばらくすると鐘がなり、先生から今後についての説明があった。まあ概ね今回の件は冒険者ギルドと国に任せるというのと、他の人には口外してはいけないという箝口令が敷かれた、というその2点についてだった。
「じゃあ、授業を始めるぞー」
何かあると悟られないよう、こうして大した休暇もなく普段どうり授業を受けることになった。まあ、聞くことやることが新鮮だから楽しいけどな!
──カンカーンと授業終了の鐘の音が鳴り響く。
「飯だ飯だー!」
いつものメンバーで食堂へと向かおうと、バカ広い廊下を歩いていく。
いつも思うけど、結構移動が大変なんだよね……
そんなことを考えていると前方から3人の男が歩いてきた。制服に着いている紋章を見るに、どうやら上級生のようだ。しかも、凄いこちらを凝視している。いや? どちらかというとカンナたちか?
「おい、そこのお前ら」
「なんですか?」
「お前じゃない、少し噂になっているそこの女2人だ。俺様達と一緒に食事をしようじゃないか。そんなガキ共じゃなくて俺といたほうが楽しいぞ?」
おっと、ここに来て絡まれたか。ちなみに女2人というのはカンナとリアンだ。
「いえ、私はあなたに興味ないので結構です」
「わたしもないですね」
「あーあー、分かった回りくどい言い方をやめてやる。俺とこい」
「もう一度言いますが、結構です」
「はぁ? お前は平民出だろ? 平民が貴族に逆らうんじゃねぇよ! 俺が食事に誘ってあげてるんだから大人しく着いてこればいいんだよ」
「僕の仲間に手を出さないで下さい」
「だから、お前には意見を聞いていないんだよ! 分かったらとっとと黙れ平民風情が!」
わーお、やっぱりここにも平民と貴族の溝がある感じなのか。どうするのが1番穏便に済むかなぁ?
「先輩方、ここが学園内とわかって発言していらっしゃるのかしら? ここは学び舎であり、同じ仲間である生徒は平民、貴族関係なく接するというを入学式で言われたのを覚えていないのかしら?」
「それは表向きだけだ。平民を下に見てるやつなんかそこら中にいる」
「話が通じなくて埒が明かないですね。では、決闘でもして白黒付けたらいかがですか?」
おいおい、ジェシカさん! 穏便に済まそうとしてたのになんで煽ってるんですか!? それにしても俺たちに対する態度とジェシカに対する態度があからさまに違ったな。これが相手が平民か貴族かの違いだろうか?
「いいだろう、放課後第2決闘場に来るように」
そのままツカツカと廊下を歩いていった。勝ち誇ったような笑みを浮かべて。
「ごめなさいね、トウマ。なんかあの人達見てたらイライラしてしまって……でも、大丈夫よ! トウマならきっと勝てるわ!」
「ご主人様なら大丈夫です!」
そんなぁ……無責任だよ……
カンナたちも大丈夫って言うから後に引けなくなったし、うぅぅ……腹が痛くなってきた。
あ、鑑定するの忘れてた。くそっ情報集めないとな。
「さっきの人って、どんくらい強いんだ?」
「おう、結構強いらしーぞ! 兄ちゃん曰く騎士クラスでトップクラスだって言ってたぞ! ただ辺り構わず強引にナンパするから嫌われてるって聞いたぞ!」
ってことは剣術メインか。しかも上級生だからレベルも高いんだろうなぁ。
だからあんなに余裕のある笑みを浮かべていたのか。
「ご主人様大丈夫ですか? これ食べて元気出して下さい♪」
そう言いながら、ノアが俺にご飯を食べさせようとグイグイとトマトみたいな野菜を口に押し込んでくる。
心配してくれるのは嬉しいけど、それノアが苦手だから食べたくないだけでしょ……。というツッコミはしないでおく。
まあ、可愛いから食べるけどね!
「そういえば、決闘自体結構あることなのか?」
「ええ、年に60回くらいはあるわね。トラブルがあって埒が明かない場合決闘で決着をつけることも多いわ」
「それって、強い奴が弱い奴を虐める場になっちゃうんじゃないか?」
「いえ、決闘は双方が承諾をしないと成立しないから、そういうことは滅多にないわね。明らかに勝てない相手が決闘を申し込んできても断ることもあるわ。だから基本的には強さも拮抗していい勝負になることも多いわね」
俺も、決闘終わったらいい試合だったなって握手して穏便に済ませたいなぁ……
部屋の窓から陽が差し込んでくる。
そう、昨日は新しい能力について軽く調べたあと、疲れてたこともあって早めに寝てしまったのだ。
俺は身体を起こす為に手を伸ばす。すると手に柔らかい感触が伝わる。
むにっ
「……ん」
むにっ??
恐る恐る振り向くとそこには、すやすやと幸せそうに眠っているノアがいた。
ツーっと冷や汗が流れる。
覚悟して自分の手元を覗くと、その位置には丁度ノアのお腹だった。危ない、一瞬ラッキースケベをしてしまったかと思った。
胸じゃなかったか……残念……ってそうじゃない、なんでベットにノアが居るんだ?
「……ふぁーぅ、おはようございますっ、ご主人様♪」
「あー、えっと、おはよ?」
「どうしたんですか? 表情が硬いですよ?」
「えっと、ノア。ひとつ聞いてもいい?」
「いいですよ♪」
「なんで俺のベットに居るんだ?」
「ダメ……ですか?」
いや、ダメなんだけど、ダメじゃない。と言いたい所をグッと抑える。
カンナはともかく、リアンにバレたらね? ベツニヤマシイコトハナイケドネ!
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ノアはぷくーっと頬を膨らませている。
ちょ、その顔は反則だろ!
──ガチャという音と共に扉が開かれ、リアンが入ってくる。やべっ、この状況は誤解されかねない。
「あー! なんでノアちゃんがここにいるの!?」
「一緒に寝てたです♪」
「トウマ」
「は、はいっ」
「これはどういうこと?」
張り付くような笑顔でリアンがこちらを見据える。怖い怖い……
「いや、俺もよくわからない……丁度、ノアに聞いてたところだったしな! あ、そうそう、なんでノアは俺のベットに入ってきたんだ?」
「あのね? 1人で寝るのは寂しいの……だめ?」
甘えた声でそれを言うな! あーもう、かわいいなぁ!
「じゃあ……明日は私と寝る?」
「うん!」
「じゃあ一緒にご飯食べましょうか!」
そう言ってリアンはノアを連れていく。若干身長差があるから妹みたいに思っているのだろうか? にしても、一緒に寝るのはお預けかぁ……これでいいんだと思う自分と残念に思う自分がいる。うぐぅ!
◆ ◆ ◆
「ちーっす! トウマおはよ!」
「おう、おはようフィリップ。今日も元気だな」
この元気さは、たった1日で完全復活してやがる。俺たちは1日休んだあと、授業を受ける為に学園へと来ていた。
「あ、トウマたちおはようございます」
「ああ、おはようジェシカ。大丈夫か? 辛そうだけど」
ジェシカは疲れがまだ取れ切ってないのか、若干しんどそうだ。
「ええ、大丈夫よ。心配はいらないわ」
「ならいいけど……」
「あ、そうそう、気になっていたのだけど、その子は誰?」
流石に寝る時も寂しがっていたノアを置いてくる訳には行かず、連れてきてしまった。
「えーっと」
「ノアです♪」
俺がどう説明しようか悩んでいると、先にノアが自己紹介をし始める。
「ノアちゃんって言うのね、私にもこのくらいの妹がいるから親近感がわくわね。トウマ、この子どうしたの?」
「私はご主人様のけらい?……けらいです♪」
若干首を傾げながらもノアがそう説明する。なんか誤解されそうだな……
「そうなのね、トウマの護衛ってことかしら?」
なるほど、そういう風にも捉えられるのか。貴族だと若干ものの捉え方が違う気がする。
「えーっと、ジェシカ、端的に言うと、前俺が召喚してアンデッドゾンビウルフと戦ったラファールウルフなんだ」
俺はコソコソとジェシカに伝える。
「え? どういうこと!?」
「出来るだけ内緒にしてほしいんだけど、ノアは獣人化といって魔獣から獣人になることが出来るんだ」
「魔獣から獣人に? 聞いたことがないわね」
「そう、だから面倒臭いことに巻き込まれないよう、なるべく知られたくないんだ」
だったら言うなと言われるかも知れないが、隠しておた方が余計詮索されることもあるし、なにより怪しいからな。ここは事情を説明して黙ってもらう他ないだろう。
「そうなのね、それも前言ってた喋れないことかしら?」
「まあ、そんなところだ」
リアンと話しているとガララという音をたてながら、ブレンダン先生が教室へと入ってくる。
しばらくすると鐘がなり、先生から今後についての説明があった。まあ概ね今回の件は冒険者ギルドと国に任せるというのと、他の人には口外してはいけないという箝口令が敷かれた、というその2点についてだった。
「じゃあ、授業を始めるぞー」
何かあると悟られないよう、こうして大した休暇もなく普段どうり授業を受けることになった。まあ、聞くことやることが新鮮だから楽しいけどな!
──カンカーンと授業終了の鐘の音が鳴り響く。
「飯だ飯だー!」
いつものメンバーで食堂へと向かおうと、バカ広い廊下を歩いていく。
いつも思うけど、結構移動が大変なんだよね……
そんなことを考えていると前方から3人の男が歩いてきた。制服に着いている紋章を見るに、どうやら上級生のようだ。しかも、凄いこちらを凝視している。いや? どちらかというとカンナたちか?
「おい、そこのお前ら」
「なんですか?」
「お前じゃない、少し噂になっているそこの女2人だ。俺様達と一緒に食事をしようじゃないか。そんなガキ共じゃなくて俺といたほうが楽しいぞ?」
おっと、ここに来て絡まれたか。ちなみに女2人というのはカンナとリアンだ。
「いえ、私はあなたに興味ないので結構です」
「わたしもないですね」
「あーあー、分かった回りくどい言い方をやめてやる。俺とこい」
「もう一度言いますが、結構です」
「はぁ? お前は平民出だろ? 平民が貴族に逆らうんじゃねぇよ! 俺が食事に誘ってあげてるんだから大人しく着いてこればいいんだよ」
「僕の仲間に手を出さないで下さい」
「だから、お前には意見を聞いていないんだよ! 分かったらとっとと黙れ平民風情が!」
わーお、やっぱりここにも平民と貴族の溝がある感じなのか。どうするのが1番穏便に済むかなぁ?
「先輩方、ここが学園内とわかって発言していらっしゃるのかしら? ここは学び舎であり、同じ仲間である生徒は平民、貴族関係なく接するというを入学式で言われたのを覚えていないのかしら?」
「それは表向きだけだ。平民を下に見てるやつなんかそこら中にいる」
「話が通じなくて埒が明かないですね。では、決闘でもして白黒付けたらいかがですか?」
おいおい、ジェシカさん! 穏便に済まそうとしてたのになんで煽ってるんですか!? それにしても俺たちに対する態度とジェシカに対する態度があからさまに違ったな。これが相手が平民か貴族かの違いだろうか?
「いいだろう、放課後第2決闘場に来るように」
そのままツカツカと廊下を歩いていった。勝ち誇ったような笑みを浮かべて。
「ごめなさいね、トウマ。なんかあの人達見てたらイライラしてしまって……でも、大丈夫よ! トウマならきっと勝てるわ!」
「ご主人様なら大丈夫です!」
そんなぁ……無責任だよ……
カンナたちも大丈夫って言うから後に引けなくなったし、うぅぅ……腹が痛くなってきた。
あ、鑑定するの忘れてた。くそっ情報集めないとな。
「さっきの人って、どんくらい強いんだ?」
「おう、結構強いらしーぞ! 兄ちゃん曰く騎士クラスでトップクラスだって言ってたぞ! ただ辺り構わず強引にナンパするから嫌われてるって聞いたぞ!」
ってことは剣術メインか。しかも上級生だからレベルも高いんだろうなぁ。
だからあんなに余裕のある笑みを浮かべていたのか。
「ご主人様大丈夫ですか? これ食べて元気出して下さい♪」
そう言いながら、ノアが俺にご飯を食べさせようとグイグイとトマトみたいな野菜を口に押し込んでくる。
心配してくれるのは嬉しいけど、それノアが苦手だから食べたくないだけでしょ……。というツッコミはしないでおく。
まあ、可愛いから食べるけどね!
「そういえば、決闘自体結構あることなのか?」
「ええ、年に60回くらいはあるわね。トラブルがあって埒が明かない場合決闘で決着をつけることも多いわ」
「それって、強い奴が弱い奴を虐める場になっちゃうんじゃないか?」
「いえ、決闘は双方が承諾をしないと成立しないから、そういうことは滅多にないわね。明らかに勝てない相手が決闘を申し込んできても断ることもあるわ。だから基本的には強さも拮抗していい勝負になることも多いわね」
俺も、決闘終わったらいい試合だったなって握手して穏便に済ませたいなぁ……
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