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第一巻:追放と再始動編
第三話:鑑定眼発動。あなたの呪い、私が「研磨」してあげましょうか?
「――お下がりください、陛下! そのような素性も知れぬ女、我が帝国の至宝であるあなた様に近づけるわけには参りません!」
翌朝。私の安眠は、寝室の扉を蹴り開けるような下品な音と、老人特有の甲高い怒鳴り声によって無惨に引き裂かれた。 私は枕に顔を埋めたまま、心底嫌そうに呻いた。
「……うるさいわね。今、夢の中で最高に美味しい宝石キャンディを食べていたところなのに。どこの不純物(ゴミ)かしら……?」
ベッドから這い出し、ボサボサの髪のまま振り返ると、そこには豪華な法衣を纏った老人――帝国宰相のバルタザールと、その背後に武装した数人の近衛兵が立っていた。傍らには、困ったような、しかし面白がっているような顔のエドワルドもいる。
「なっ……! 陛下の御前だぞ! そのようなふしだらな格好で……これだから王国の落ちこぼれは!」
バルタザールは手に持った「黄金の杖」を床に叩きつけた。その杖の先には、禍々しい紫色の光を放つ魔石が埋め込まれている。
「陛下、予言にあった『帝国を救う宝石師』は、もっと聖なる気品に満ちたお方に決まっております。この女は、あなたの呪いを利用して国を乗っ取ろうとする詐欺師に違いありません!」
私は大きく欠伸をすると、目をこすりながらバルタザールを凝視した。 視界が『鑑定モード』に切り替わる。
【鑑定対象:宰相バルタザールが持つ『黄金の杖』】 【真実:古代の呪詛が染み付いた『呪いの触媒』。浄化のフリをして持ち主の魔力を食い潰す寄生石。】 【状態:ひび割れだらけ。宰相自身、この石に精神を侵食されている。】
「……ねえ、おじいちゃん。その杖、そろそろ捨てたら? 自分の寿命を削りながらドヤ顔するなんて、滑稽を通り越して哀れだわ」
「何だと……!? これは帝国に代々伝わる『聖者の杖』だぞ!」
「いいえ。それは聖者の皮を被った『吸血石(ブラッド・ストーン)』。……見てなさい。その石の三時方向、わずかに色が澱んでいる箇所があるでしょう? そこが『呪いの心臓』よ」
私はベッドから一歩も降りず、手近にあった装飾用のクリスタル製ペーパーウェイトを掴むと、バルタザールに向かって無造作に投げつけた。
「ひっ!?」
ペーパーウェイトは老人の鼻先を掠め、正確に杖の魔石を直撃した。 パリンッ! 耳を突き刺すような悲鳴のような音が響き、魔石が粉々に砕け散る。と同時に、杖から溢れ出していた禍々しい紫色の霧が霧散し、中から真っ黒に腐敗した液体が流れ出した。
「あ、ああ……我が至宝が……!」
「至宝じゃないわ、ただの『病原菌』。……陛下、このおじいちゃんの肺、鑑定したら真っ黒だったわよ。呪いを吸い込みすぎて、あと一ヶ月もすれば自分が石像になるところだったわね」
エドワルドは、砕け散った杖の残骸と、急に顔色が良くなった(呪縛から解けた)宰相を交互に見て、低く笑った。
「……やはり私の目に狂いはなかった。リセット、君は物の価値だけでなく、死の運命さえも『鑑定』し、断ち切るのだな」
「……お礼なら、朝食の後に二度寝を四時間させてくれるだけでいいわ」
私は再びベッドに潜り込もうとしたが、エドワルドがその細い腰を後ろから抱き上げた。
「待て。宰相を救った功績だ、お前には相応の礼をせねばならん。……そうだ、バルタザール。彼女に帝国最高位の称号――『国母(こくぼ)』に準ずる権限を与えよ。私の呪いを解くために、城のすべての宝石と魔材を彼女の自由にさせるのだ」
「え……? ちょっと待って、称号なんていらないわ。責任が重くなるじゃない!」
私が暴れるのも構わず、エドワルドは私の耳元で囁く。その声は氷のように冷徹だった昨日とは違い、どこか熱を帯びた、独占欲に満ちた響きだった。
「嫌だと言っても無駄だ。お前のその鑑定眼に、私は魅了された。……君がこの国を美しく磨き上げるまで、私は君を離さない。たとえ、君が眠っている間であってもな」
【鑑定結果:エドワルドの独占欲】 【評価:不純物100%の『執着』。研磨すればするほど、自分だけを見てほしいという歪んだ愛が輝き出すタイプ。】
(((……この皇帝、磨けば磨くほど『面倒くさい男』になっていく気がするんだけど……!)))
リセットの毒舌による「救済」は、帝国の重臣たちを沈黙させた。しかし同時に、彼女の安眠を脅かす最大の「不純物(皇帝)」の愛もまた、加速度的に増していくのであった。
翌朝。私の安眠は、寝室の扉を蹴り開けるような下品な音と、老人特有の甲高い怒鳴り声によって無惨に引き裂かれた。 私は枕に顔を埋めたまま、心底嫌そうに呻いた。
「……うるさいわね。今、夢の中で最高に美味しい宝石キャンディを食べていたところなのに。どこの不純物(ゴミ)かしら……?」
ベッドから這い出し、ボサボサの髪のまま振り返ると、そこには豪華な法衣を纏った老人――帝国宰相のバルタザールと、その背後に武装した数人の近衛兵が立っていた。傍らには、困ったような、しかし面白がっているような顔のエドワルドもいる。
「なっ……! 陛下の御前だぞ! そのようなふしだらな格好で……これだから王国の落ちこぼれは!」
バルタザールは手に持った「黄金の杖」を床に叩きつけた。その杖の先には、禍々しい紫色の光を放つ魔石が埋め込まれている。
「陛下、予言にあった『帝国を救う宝石師』は、もっと聖なる気品に満ちたお方に決まっております。この女は、あなたの呪いを利用して国を乗っ取ろうとする詐欺師に違いありません!」
私は大きく欠伸をすると、目をこすりながらバルタザールを凝視した。 視界が『鑑定モード』に切り替わる。
【鑑定対象:宰相バルタザールが持つ『黄金の杖』】 【真実:古代の呪詛が染み付いた『呪いの触媒』。浄化のフリをして持ち主の魔力を食い潰す寄生石。】 【状態:ひび割れだらけ。宰相自身、この石に精神を侵食されている。】
「……ねえ、おじいちゃん。その杖、そろそろ捨てたら? 自分の寿命を削りながらドヤ顔するなんて、滑稽を通り越して哀れだわ」
「何だと……!? これは帝国に代々伝わる『聖者の杖』だぞ!」
「いいえ。それは聖者の皮を被った『吸血石(ブラッド・ストーン)』。……見てなさい。その石の三時方向、わずかに色が澱んでいる箇所があるでしょう? そこが『呪いの心臓』よ」
私はベッドから一歩も降りず、手近にあった装飾用のクリスタル製ペーパーウェイトを掴むと、バルタザールに向かって無造作に投げつけた。
「ひっ!?」
ペーパーウェイトは老人の鼻先を掠め、正確に杖の魔石を直撃した。 パリンッ! 耳を突き刺すような悲鳴のような音が響き、魔石が粉々に砕け散る。と同時に、杖から溢れ出していた禍々しい紫色の霧が霧散し、中から真っ黒に腐敗した液体が流れ出した。
「あ、ああ……我が至宝が……!」
「至宝じゃないわ、ただの『病原菌』。……陛下、このおじいちゃんの肺、鑑定したら真っ黒だったわよ。呪いを吸い込みすぎて、あと一ヶ月もすれば自分が石像になるところだったわね」
エドワルドは、砕け散った杖の残骸と、急に顔色が良くなった(呪縛から解けた)宰相を交互に見て、低く笑った。
「……やはり私の目に狂いはなかった。リセット、君は物の価値だけでなく、死の運命さえも『鑑定』し、断ち切るのだな」
「……お礼なら、朝食の後に二度寝を四時間させてくれるだけでいいわ」
私は再びベッドに潜り込もうとしたが、エドワルドがその細い腰を後ろから抱き上げた。
「待て。宰相を救った功績だ、お前には相応の礼をせねばならん。……そうだ、バルタザール。彼女に帝国最高位の称号――『国母(こくぼ)』に準ずる権限を与えよ。私の呪いを解くために、城のすべての宝石と魔材を彼女の自由にさせるのだ」
「え……? ちょっと待って、称号なんていらないわ。責任が重くなるじゃない!」
私が暴れるのも構わず、エドワルドは私の耳元で囁く。その声は氷のように冷徹だった昨日とは違い、どこか熱を帯びた、独占欲に満ちた響きだった。
「嫌だと言っても無駄だ。お前のその鑑定眼に、私は魅了された。……君がこの国を美しく磨き上げるまで、私は君を離さない。たとえ、君が眠っている間であってもな」
【鑑定結果:エドワルドの独占欲】 【評価:不純物100%の『執着』。研磨すればするほど、自分だけを見てほしいという歪んだ愛が輝き出すタイプ。】
(((……この皇帝、磨けば磨くほど『面倒くさい男』になっていく気がするんだけど……!)))
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設定はかなりゆるめに作っています。
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