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第四巻:怒涛の海洋・通商編
第三十五話:【遺物】沈没船を鑑定。……これ、ただの「高級な鉄くず」ね。
「――陛下。鑑定結果を述べるわ。あそこに沈んでいる巨大な残骸……あれは『歴史のロマン』なんて高尚なものじゃない。私の航路を塞ぎ、海流に不純な渦を生み出す『巨大な不燃ゴミ』よ」
人魚を「音痴」の一言で追い払った翌日、リセットは『シルキー・スリーパー号』の船首から、透き通った海面の下を指差していた。 水深数十メートルの海底に横たわっているのは、千年以上前に滅びた伝説の海洋国家「アトランティス」の主力艦と言われる巨大沈没船だ。その船体には、びっしりと真珠貝や珊瑚が付着し、神秘的な光を放っている。
「……リセット、あれは歴史学者が一生をかけて探している伝説の聖遺物船だぞ。あの中には、大陸の支配権を証明する『黄金の金印』が眠っているという伝承がある。……君なら、あれをどう『研磨』する?」
エドワルドが興味深そうに海を覗き込む。だが、リセットは毛布にくるまったまま、冷めた紅茶を口にして鼻で笑った。
「金印? 陛下、あなたの脳細胞は鑑定するまでもなく『お花畑』ね。……いい? 歴史なんていうのは、勝者が書いた不純物だらけのファンタジーよ。真実を見なさいな。……鑑定開始」
リセットの瞳が、黄金色のレーザーのように海底をスキャンする。砂に埋もれた船体の組成、内部の腐食具合、そして「伝説」の正体を分子レベルで暴いていく。
【鑑定対象:古代沈没船の残骸】 【状態:構造材はすでに炭化。付着しているのは珊瑚ではなく、魔力を餌にする『寄生岩』。】 【真実:『黄金の金印』の正体は、ただの『高純度オリハルコンの文鎮』。……ただし、これに含まれる不純物を取り除けば。】 【評価:歴史的価値ゼロ。……ただし、私の寝室の扉を固定する『最高級のドアストッパー』としては合格点。】
「……はぁ。やっぱりね。陛下、あの船の中にある『金印』とやら、あれはただのオリハルコンの塊よ。しかも、管理が悪かったせいで周囲の魔力毒(不純物)を吸い込んで、今や触れるだけで呪われる『不潔な金属塊』に成り下がっているわ」
「呪いか。……それは厄介だな。放置しておけば、この海域の生態系が汚染されるのではないか?」
「……正解よ。だからこそ、お掃除が必要なの。……おじいちゃん、騎士団に命じて、私の魔導糸を海底まで垂らしなさい。……今からあの船ごと、地上へ引き揚げて『解体・洗浄』してあげるわ」
数時間後。リセットの精密な指揮のもと、巨大な沈没船が海面へと引き揚げられた。 甲板に置かれたその残骸からは、不快な腐敗臭と、どす黒い魔力の霧が立ち上っている。周囲の騎士たちが「これが呪いの力か……」と怯える中、リセットは優雅に日傘を差し、その中心部へと歩み寄った。
「どきなさい。……不純な歴史の重みに耐えきれずに腐っているだけの癖に、大層な威圧感を出さないでくれる?」
リセットは、泥にまみれた小箱を足蹴にするようにして開けた。中から現れたのは、黄金に輝くはずが、どす黒い粘液に覆われた歪な「印」だった。
「――研磨(カット):呪詛剥離・超高圧洗浄(デッド・クリーン)!!」
リセットが指先を弾くと、空間から「純粋な魔力の水圧」が噴き出した。 どす黒い粘液は一瞬で弾け飛び、沈没船全体を覆っていた『寄生岩』も、彼女の鑑定眼が捉えた「結合の弱点」を突かれて粉々に砕け散る。
光が収まったあと、そこにあったのは、もはや呪いの欠片もない、眩いばかりの輝きを放つ青金(オリハルコン)の塊だった。
「……ふぅ。お掃除完了。……はい陛下、これがあなたが欲しがっていた『歴史の遺物』よ。……鑑定結果:ただの『重いだけの金属』。……これ、私の部屋のドアが風でバタバタしないように、重石(おもし)として使わせてもらうわね」
「……リセット。君は、他国が戦争を仕掛けてまで奪い合う『大陸の支配権の証』を、ただのドアストッパーにするというのか?」
エドワルドは呆れ果てて、しかしそれ以上に、目の前の「価値観の破壊者」を愛おしそうに見つめた。
「価値を決めるのは私よ、陛下。不純な野望が詰まった金印なんて、私の安眠を妨げる『重たい責任』という名のゴミでしかないわ。……そんなものより、今の私には『静寂』の方が百万倍価値があるの」
リセットは、オリハルコンの塊を小脇に抱え(重いはずなのに、彼女の魔力制御で羽のように軽くなっている)、さっさと寝室へと戻ろうとした。
「……待て、リセット。……君がその『支配の証』を手に入れたということは、名実ともに君はこの大陸の……いや、私の心の支配者になったということだ」
エドワルドが背後から彼女の肩を掴み、その耳元で深く囁く。
「……オリハルコンは変色しない。私の君への執着も、この金属以上に永遠だ。……今夜は、その『金印』で私の愛を君の肌に刻ませてくれないか? ……逃がさないぞ、わが妻よ」
(((……鑑定結果:大失敗。……歴史の不純物を消したせいで、陛下の『私に対する支配欲』が純化して、出力が五倍になっちゃったじゃない。……私の安眠、オリハルコンの重さでも、この皇帝の情熱は抑えられないみたいね……!)))
伝説の沈没船を「掃除」し、歴史の金印を「日用品」へと変えたリセット。 彼女の非常識な行動は、知らず知らずのうちに大陸のパワーバランスを帝国へと完全に傾け、彼女を狙う他国の王族たちを、恐怖と絶望のどん底へと突き落とすのであった。
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エドワルドが興味深そうに海を覗き込む。だが、リセットは毛布にくるまったまま、冷めた紅茶を口にして鼻で笑った。
「金印? 陛下、あなたの脳細胞は鑑定するまでもなく『お花畑』ね。……いい? 歴史なんていうのは、勝者が書いた不純物だらけのファンタジーよ。真実を見なさいな。……鑑定開始」
リセットの瞳が、黄金色のレーザーのように海底をスキャンする。砂に埋もれた船体の組成、内部の腐食具合、そして「伝説」の正体を分子レベルで暴いていく。
【鑑定対象:古代沈没船の残骸】 【状態:構造材はすでに炭化。付着しているのは珊瑚ではなく、魔力を餌にする『寄生岩』。】 【真実:『黄金の金印』の正体は、ただの『高純度オリハルコンの文鎮』。……ただし、これに含まれる不純物を取り除けば。】 【評価:歴史的価値ゼロ。……ただし、私の寝室の扉を固定する『最高級のドアストッパー』としては合格点。】
「……はぁ。やっぱりね。陛下、あの船の中にある『金印』とやら、あれはただのオリハルコンの塊よ。しかも、管理が悪かったせいで周囲の魔力毒(不純物)を吸い込んで、今や触れるだけで呪われる『不潔な金属塊』に成り下がっているわ」
「呪いか。……それは厄介だな。放置しておけば、この海域の生態系が汚染されるのではないか?」
「……正解よ。だからこそ、お掃除が必要なの。……おじいちゃん、騎士団に命じて、私の魔導糸を海底まで垂らしなさい。……今からあの船ごと、地上へ引き揚げて『解体・洗浄』してあげるわ」
数時間後。リセットの精密な指揮のもと、巨大な沈没船が海面へと引き揚げられた。 甲板に置かれたその残骸からは、不快な腐敗臭と、どす黒い魔力の霧が立ち上っている。周囲の騎士たちが「これが呪いの力か……」と怯える中、リセットは優雅に日傘を差し、その中心部へと歩み寄った。
「どきなさい。……不純な歴史の重みに耐えきれずに腐っているだけの癖に、大層な威圧感を出さないでくれる?」
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「――研磨(カット):呪詛剥離・超高圧洗浄(デッド・クリーン)!!」
リセットが指先を弾くと、空間から「純粋な魔力の水圧」が噴き出した。 どす黒い粘液は一瞬で弾け飛び、沈没船全体を覆っていた『寄生岩』も、彼女の鑑定眼が捉えた「結合の弱点」を突かれて粉々に砕け散る。
光が収まったあと、そこにあったのは、もはや呪いの欠片もない、眩いばかりの輝きを放つ青金(オリハルコン)の塊だった。
「……ふぅ。お掃除完了。……はい陛下、これがあなたが欲しがっていた『歴史の遺物』よ。……鑑定結果:ただの『重いだけの金属』。……これ、私の部屋のドアが風でバタバタしないように、重石(おもし)として使わせてもらうわね」
「……リセット。君は、他国が戦争を仕掛けてまで奪い合う『大陸の支配権の証』を、ただのドアストッパーにするというのか?」
エドワルドは呆れ果てて、しかしそれ以上に、目の前の「価値観の破壊者」を愛おしそうに見つめた。
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リセットは、オリハルコンの塊を小脇に抱え(重いはずなのに、彼女の魔力制御で羽のように軽くなっている)、さっさと寝室へと戻ろうとした。
「……待て、リセット。……君がその『支配の証』を手に入れたということは、名実ともに君はこの大陸の……いや、私の心の支配者になったということだ」
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「……オリハルコンは変色しない。私の君への執着も、この金属以上に永遠だ。……今夜は、その『金印』で私の愛を君の肌に刻ませてくれないか? ……逃がさないぞ、わが妻よ」
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恋愛要素は弱め。
設定はかなりゆるめに作っています。
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