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わたくしの親友が素敵ですが、心臓バクバクしています-2
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「リィリィ……っ」
ロゼッタは、叫んだ。
第二に射られた矢は、さきほどまで王子たちが立っていた場所に射られた。
だが、誰にも当たらなかった。
けれどすぐに、第三の矢が射かけられる。
その矢はまっすぐに、王子をかばって床に伏せたままのリィリィを狙っていた。
「逃げて……っ!」
ロゼッタは叫び、リィリィのほうへ走りだそうとする。
その腕を、セーゲルがつかんで止めた。
リィリィを狙った矢は、リィリィの肩をかすり、床へと突き刺さった。
「……っ」
床にふせたままのリィリィの唇から、小さな悲鳴が漏れた。
ミルク色の華奢な肩に、一筋の傷がつき、血がにじむのが見える。
「セーゲル、手を離してっ」
リィリィの傷は大したことはなさそうに見える。
けれど、リィリィは床に伏せたまま動かない。
痛みか、射られたことへの恐怖から動けなくなっているのか。
それとも……。
おそろしい想像が、瞬時にロゼッタの頭をめぐる。
射手は、まだガラス天井の上にいる。
その弓が、リィリィを狙っているかもしれない。
「きみが行ってどうする!」
セーゲルは、厳しい表情で言う。
「離して……! リィリィが危ないの……!」
「落ち着くんだ。よく見て見ろ、ロゼッタ。射手は、もういない」
セーゲルは、頭上のガラス天井を指さした。
そこには、誰もいなかった。
ロゼッタが目を離した数分の間に、天井の上の射手は、姿を消していた。
騒然とするホールの中、ロゼッタは天井を見たまま繰り返す。
「射手は、もういない……」
「あぁ。ガストン男爵令嬢の傷も、かすり傷だ。すぐ王宮医師もかけつける。もうだいじょうぶだ……」
ガラス天井をじっと見ながらロゼッタが言うと、セーゲルがリィリィの無事を教えてくれた。
ロゼッタも横目でリィリィの様子をうかがう。
ずいぶん遅れてではあるが、会場の警備にあたっていた兵たちが、ようやく王子とリィリィのところまで来ていた。
さすがにこの至近距離に警備の人間がいれば、高い天井から打たれた矢に、むざむざと王子や彼をかばった令嬢を再度危険な目にさらすとは思えなかった。
天井にひそんでいた射手は、ロゼッタがじっと見ていても、もう姿がなくなっている。
射手を捕まえなければ完全に安全とはいえないが、とりあえずの安全は確保できただろう。
ほぅっと、ロゼッタは息を吐く。
自分でも意外なほど、ロゼッタはリィリィが射かけられたことに恐怖を感じていた。
前世でも、大切な人はいた。
それでも、彼らを自らの手で、文字通り切り捨てたこともあった。
それなのに、いま、リィリィが矢を射かけられただけで、こんなにも怖い。
リィリィが、特別に大切だから。
そして前世のロゼッタとは異なり、今世のロゼッタにとっては、人が矢を射かけられるところを見たのは初めてだったから。
なにより、前世のロゼッタと今世のロゼッタは、違う人間だから……。
「ロゼッタ」
ロゼッタの名を呼びながら、セーゲルが手を重ねてくる。
「もうだいじょうぶだ。きみが心配することは、なにもない」
優しくロゼッタをみつめる灰褐色の瞳。
ロゼッタは、ぎこちなく笑い返した。
ロゼッタは、叫んだ。
第二に射られた矢は、さきほどまで王子たちが立っていた場所に射られた。
だが、誰にも当たらなかった。
けれどすぐに、第三の矢が射かけられる。
その矢はまっすぐに、王子をかばって床に伏せたままのリィリィを狙っていた。
「逃げて……っ!」
ロゼッタは叫び、リィリィのほうへ走りだそうとする。
その腕を、セーゲルがつかんで止めた。
リィリィを狙った矢は、リィリィの肩をかすり、床へと突き刺さった。
「……っ」
床にふせたままのリィリィの唇から、小さな悲鳴が漏れた。
ミルク色の華奢な肩に、一筋の傷がつき、血がにじむのが見える。
「セーゲル、手を離してっ」
リィリィの傷は大したことはなさそうに見える。
けれど、リィリィは床に伏せたまま動かない。
痛みか、射られたことへの恐怖から動けなくなっているのか。
それとも……。
おそろしい想像が、瞬時にロゼッタの頭をめぐる。
射手は、まだガラス天井の上にいる。
その弓が、リィリィを狙っているかもしれない。
「きみが行ってどうする!」
セーゲルは、厳しい表情で言う。
「離して……! リィリィが危ないの……!」
「落ち着くんだ。よく見て見ろ、ロゼッタ。射手は、もういない」
セーゲルは、頭上のガラス天井を指さした。
そこには、誰もいなかった。
ロゼッタが目を離した数分の間に、天井の上の射手は、姿を消していた。
騒然とするホールの中、ロゼッタは天井を見たまま繰り返す。
「射手は、もういない……」
「あぁ。ガストン男爵令嬢の傷も、かすり傷だ。すぐ王宮医師もかけつける。もうだいじょうぶだ……」
ガラス天井をじっと見ながらロゼッタが言うと、セーゲルがリィリィの無事を教えてくれた。
ロゼッタも横目でリィリィの様子をうかがう。
ずいぶん遅れてではあるが、会場の警備にあたっていた兵たちが、ようやく王子とリィリィのところまで来ていた。
さすがにこの至近距離に警備の人間がいれば、高い天井から打たれた矢に、むざむざと王子や彼をかばった令嬢を再度危険な目にさらすとは思えなかった。
天井にひそんでいた射手は、ロゼッタがじっと見ていても、もう姿がなくなっている。
射手を捕まえなければ完全に安全とはいえないが、とりあえずの安全は確保できただろう。
ほぅっと、ロゼッタは息を吐く。
自分でも意外なほど、ロゼッタはリィリィが射かけられたことに恐怖を感じていた。
前世でも、大切な人はいた。
それでも、彼らを自らの手で、文字通り切り捨てたこともあった。
それなのに、いま、リィリィが矢を射かけられただけで、こんなにも怖い。
リィリィが、特別に大切だから。
そして前世のロゼッタとは異なり、今世のロゼッタにとっては、人が矢を射かけられるところを見たのは初めてだったから。
なにより、前世のロゼッタと今世のロゼッタは、違う人間だから……。
「ロゼッタ」
ロゼッタの名を呼びながら、セーゲルが手を重ねてくる。
「もうだいじょうぶだ。きみが心配することは、なにもない」
優しくロゼッタをみつめる灰褐色の瞳。
ロゼッタは、ぎこちなく笑い返した。
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