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「………」
「どうしたの?固まって。
もしかして…おれとじゃ楽しくない?」
よっぽど固い表情で考え事してたのかな。
ちょっぴり不安げな顔で煌があたしを覗き込んだ。
「そんな事…っ
楽しく飲んでるわよ」
そう言って、殆ど減ってないブランデーのグラスを持って口に付ける。
美味しく楽しく気持ちよく が、紫苑の理想とするお客だもんね。
「さぁーって、アタシはそろそろ帰ろうかなー」
そんな時、グラスに入ってた残りのお酒を飲み干した凛がそう言って立ち上がった。
「えっ、もう?
まだ9時にもなってないわよ?」
待ち合わせが20時だったのに対して、今はまだ30分くらいしか経っていない。
もしかして、あたしが来るずっと前から凛は先に来てたのかしら。
「ん?
だって愛さん、今日はもうアタシはやる事やったもの」
「やる事って?」
「良いお酒にパァーっとお金使って、サッと帰るの。
これが粋な客だよ」
粋な客…!
「それに、ホントに遊ぶのは今からだし。
あ、愛さんもその子と遊んだら?
じゃあまた明日、仕事で会いましょ」
ソファに置いたバッグを手に取った凛は、隣の水輝と一緒に会計の方へと行ってしまった。
本当に遊ぶってのは、クロウとの事だ。
慣れてるみたいだし、きっと行きつけのホテルか何かあるんだろうな。
…て言うかっ
「あ、あたしは煌とそこまで…っ」
なんて言った頃には凛はもう声の届かない所にいた。
会計を済ませ、出入り口の方へ水輝に送られて出て行ってる。
…身体を寄せ腰に手を当てられ、随分親密な送られ方だ。
凛と水輝が行ってしまってから、ソファにはあたしと煌が残った。
「え…と、ならあたしも帰った方がいいのかな」
「ええっ、愛さんまで?
まだ来たばかりじゃないか」
煌が驚いて言うように、それはあたしだってわかってる。
ここに来てあたしは、安いブランデー1つしか頼んでいない。
多分、凛の「パァーっとお金使って」には程遠い額だろう。
「だって凛、帰っちゃったし…」
__『愛さんもその子と遊んだら?』
っ!!
煌の顔を見た途端、急に凛の言った言葉を思い出した。
いやいやいや。
あたしの目的は煌じゃないから。
そりゃ紫苑とだったら、喜んで出張もお願いするけどさっ
「…ねぇ?
ここのホストって、みんな出張もやってるの?」
あくまでも紫苑の事を知る為に、あたしは出張ホストの事を煌に訊いてみた。
「え、出張?
出張って…どこに?」
「は?」
ところが、煌から返ってきた言葉は、てんで予想外な返事だった。
どこに出張って!
そんな事あたしに言わせるつもり?
…何の冗談なのかと思ったけど、むしろその逆、大真面目に訊いてるんだろうな。
「そっか…煌はまだ半月の新人君だもんね」
「……っ!」
あれ、煌の表情が固くなっちゃった。
もしかして新人君なんて言ったのに、傷ついちゃったかな。
「…………………」
な 何だか急に会話が途切れちゃった。
どうしようかな。
凛も帰っちゃったし…。
「ごめん、今日はやっぱり帰る」
「…わかりました。
外まで送ります」
あたしは煌に付いて行って会計を済ませると、出入り口まで送ってもらった。
「またのご来店、お待ちしています」
きっとそれがここのマニュアルなんだろう。
そう言った煌はあたしがお店を出てしばらく行くまで、頭を下げていた。
もしかして怒らせちゃったかなぁ。
ま…いっか。
あたしはお客なんだしね…。
「どうしたの?固まって。
もしかして…おれとじゃ楽しくない?」
よっぽど固い表情で考え事してたのかな。
ちょっぴり不安げな顔で煌があたしを覗き込んだ。
「そんな事…っ
楽しく飲んでるわよ」
そう言って、殆ど減ってないブランデーのグラスを持って口に付ける。
美味しく楽しく気持ちよく が、紫苑の理想とするお客だもんね。
「さぁーって、アタシはそろそろ帰ろうかなー」
そんな時、グラスに入ってた残りのお酒を飲み干した凛がそう言って立ち上がった。
「えっ、もう?
まだ9時にもなってないわよ?」
待ち合わせが20時だったのに対して、今はまだ30分くらいしか経っていない。
もしかして、あたしが来るずっと前から凛は先に来てたのかしら。
「ん?
だって愛さん、今日はもうアタシはやる事やったもの」
「やる事って?」
「良いお酒にパァーっとお金使って、サッと帰るの。
これが粋な客だよ」
粋な客…!
「それに、ホントに遊ぶのは今からだし。
あ、愛さんもその子と遊んだら?
じゃあまた明日、仕事で会いましょ」
ソファに置いたバッグを手に取った凛は、隣の水輝と一緒に会計の方へと行ってしまった。
本当に遊ぶってのは、クロウとの事だ。
慣れてるみたいだし、きっと行きつけのホテルか何かあるんだろうな。
…て言うかっ
「あ、あたしは煌とそこまで…っ」
なんて言った頃には凛はもう声の届かない所にいた。
会計を済ませ、出入り口の方へ水輝に送られて出て行ってる。
…身体を寄せ腰に手を当てられ、随分親密な送られ方だ。
凛と水輝が行ってしまってから、ソファにはあたしと煌が残った。
「え…と、ならあたしも帰った方がいいのかな」
「ええっ、愛さんまで?
まだ来たばかりじゃないか」
煌が驚いて言うように、それはあたしだってわかってる。
ここに来てあたしは、安いブランデー1つしか頼んでいない。
多分、凛の「パァーっとお金使って」には程遠い額だろう。
「だって凛、帰っちゃったし…」
__『愛さんもその子と遊んだら?』
っ!!
煌の顔を見た途端、急に凛の言った言葉を思い出した。
いやいやいや。
あたしの目的は煌じゃないから。
そりゃ紫苑とだったら、喜んで出張もお願いするけどさっ
「…ねぇ?
ここのホストって、みんな出張もやってるの?」
あくまでも紫苑の事を知る為に、あたしは出張ホストの事を煌に訊いてみた。
「え、出張?
出張って…どこに?」
「は?」
ところが、煌から返ってきた言葉は、てんで予想外な返事だった。
どこに出張って!
そんな事あたしに言わせるつもり?
…何の冗談なのかと思ったけど、むしろその逆、大真面目に訊いてるんだろうな。
「そっか…煌はまだ半月の新人君だもんね」
「……っ!」
あれ、煌の表情が固くなっちゃった。
もしかして新人君なんて言ったのに、傷ついちゃったかな。
「…………………」
な 何だか急に会話が途切れちゃった。
どうしようかな。
凛も帰っちゃったし…。
「ごめん、今日はやっぱり帰る」
「…わかりました。
外まで送ります」
あたしは煌に付いて行って会計を済ませると、出入り口まで送ってもらった。
「またのご来店、お待ちしています」
きっとそれがここのマニュアルなんだろう。
そう言った煌はあたしがお店を出てしばらく行くまで、頭を下げていた。
もしかして怒らせちゃったかなぁ。
ま…いっか。
あたしはお客なんだしね…。
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