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使いっぱなしのグラスやお皿なんかの洗い物をし、散らかったゴミをゴミ袋に集めた。
それから買ってきた食材をレジ袋から出しては、片付けて広くなったキッチンテーブルの上に並べる。
今から作るのは、リンゴサラダに唐揚げに焼き肉風野菜炒めと肉じゃが。
まずは私の十八番である、リンゴサラダに使う卵のボイルをしておく。
それからジャガイモも皮を剥いてボイルしやすいようにカットし、リンゴとハムやきゅうりもきざんで下ごしらえ。
「………あはっ」
今日は休みの日なんだけど、まるでやってる事は仕事とおんなじみたいだ。
作る量はもちろん全然違うんだけど、でもその不思議な感覚に何だか楽しくなってきた。
(まさか特定の人だけの為に作る日が来るなんて、思わなかったなぁ。
まるで家族のご飯を作る主婦みたいだ)
何年も毎日やってる作業だから段取りもよく、私のリンゴサラダは手際良くできていく。
作りながら試食もしてみたけど、ちゃんとうまくできてる!
(後は冷蔵庫で冷やせば、出来上がりだね。
さぁ、次の料理に取り掛からなくちゃ)
チラリと向こうのリビングに視線を向けると、ソファにもたれた慎吾くんが楽しそうに何かのテレビゲームをしていた。
私が作る料理をこうして待っているなんて、変な感じ。
でも、スゴく嬉しいや。
肉じゃがの野菜もカットして、お鍋に水を入れてグツグツ煮立てた。
さて─────…
「………………………」
あれ?
えーっと…
お鍋の中のジャガイモたちが、肉じゃが独特の色に染まろうと待っている。
だけど…
マニュアルだと、ここで“業務用 肉じゃがのタレ”を入れるタイミングだ。
だけど、店のものが今ここにあるわけがない。
あの肉じゃがのタレには、初めからダシや醤油 砂糖 みりんなどの調味料が絶妙なバランスで入っているのだ。
うちの店では、それ1つを入れるだけで“デリカpopo”の味になるようになっている。
それが、調理マニュアル。
(醤油とか一応あるけど、どのくらい入れたらいいんだろう。
────────あっ!)
私は買ってきたからあげ用の鶏肉のパックを、手に取って見た。
当たり前だけど、普通の生肉。
うちの店は、すぐ揚げたらいいような漬け込みタレがついてる。
でもあれって、どうやって仕込むもの…?
──『何言ってんの。それが当たり前なのよ。
そんな事言ってたら、結婚してから料理できなくて困るんだから』
──『料理なら店でやってるから、できるもーん』
お母さんの言った事、本当だったんだ!
私、普通の料理ってできないよーっ!!
「あれ~?いいニオイが漂ってきた。
このニオイは…」
ずっとリビングのソファでテレビゲームをしていた慎吾くんが、私の作っている料理に反応したようだ。
お昼を過ぎた頃に来て始めた料理もリンゴサラダを作り終わった頃までは順調だったけど、自分の現実を知ってしまってからはモタモタしてしまって、もう15時半を過ぎている。
「へぇ、カレーかぁ。
カレーなんて久し振りかも」
…そうなのだ。
結局うまく肉じゃがを作る自信がないからと、焦って慎吾くんの家の冷蔵庫やら戸棚やらを漁っていたら(←コラ)カレーのルゥを見つける事ができた。
考えてみたら、カレーも肉じゃがも同じような材料だもんねっ
だもんで、ここは無難な普通のカレーを作ってみたというわけなのだ。
「あ はは…っ
何かちょっと予定が変わっちゃって、カレーとリンゴサラダになっちゃいました…っ」
「あ、出来たんだ、リンゴサラダ」
「はい。
先に作って冷蔵庫に入れてるから、もう冷えてるかな」
私は冷蔵庫の方へと駆けって中からリンゴサラダの入ったお皿を取り出すと、それを慎吾くんに見せてあげた。
私の十八番、これだけは自信作だもんね。
「やったね!ちょっとつまみ食い。
…………………んっ、絶品!」
「わぁ、よかったぁ」
あんなにたくさん食材を買わせといて、結局カレーとサラダだけなんてヒドい話だけど。
でもそう言って喜んでくれた事で、スゴく安心できた。
ホント、よかったよぉ。
それから買ってきた食材をレジ袋から出しては、片付けて広くなったキッチンテーブルの上に並べる。
今から作るのは、リンゴサラダに唐揚げに焼き肉風野菜炒めと肉じゃが。
まずは私の十八番である、リンゴサラダに使う卵のボイルをしておく。
それからジャガイモも皮を剥いてボイルしやすいようにカットし、リンゴとハムやきゅうりもきざんで下ごしらえ。
「………あはっ」
今日は休みの日なんだけど、まるでやってる事は仕事とおんなじみたいだ。
作る量はもちろん全然違うんだけど、でもその不思議な感覚に何だか楽しくなってきた。
(まさか特定の人だけの為に作る日が来るなんて、思わなかったなぁ。
まるで家族のご飯を作る主婦みたいだ)
何年も毎日やってる作業だから段取りもよく、私のリンゴサラダは手際良くできていく。
作りながら試食もしてみたけど、ちゃんとうまくできてる!
(後は冷蔵庫で冷やせば、出来上がりだね。
さぁ、次の料理に取り掛からなくちゃ)
チラリと向こうのリビングに視線を向けると、ソファにもたれた慎吾くんが楽しそうに何かのテレビゲームをしていた。
私が作る料理をこうして待っているなんて、変な感じ。
でも、スゴく嬉しいや。
肉じゃがの野菜もカットして、お鍋に水を入れてグツグツ煮立てた。
さて─────…
「………………………」
あれ?
えーっと…
お鍋の中のジャガイモたちが、肉じゃが独特の色に染まろうと待っている。
だけど…
マニュアルだと、ここで“業務用 肉じゃがのタレ”を入れるタイミングだ。
だけど、店のものが今ここにあるわけがない。
あの肉じゃがのタレには、初めからダシや醤油 砂糖 みりんなどの調味料が絶妙なバランスで入っているのだ。
うちの店では、それ1つを入れるだけで“デリカpopo”の味になるようになっている。
それが、調理マニュアル。
(醤油とか一応あるけど、どのくらい入れたらいいんだろう。
────────あっ!)
私は買ってきたからあげ用の鶏肉のパックを、手に取って見た。
当たり前だけど、普通の生肉。
うちの店は、すぐ揚げたらいいような漬け込みタレがついてる。
でもあれって、どうやって仕込むもの…?
──『何言ってんの。それが当たり前なのよ。
そんな事言ってたら、結婚してから料理できなくて困るんだから』
──『料理なら店でやってるから、できるもーん』
お母さんの言った事、本当だったんだ!
私、普通の料理ってできないよーっ!!
「あれ~?いいニオイが漂ってきた。
このニオイは…」
ずっとリビングのソファでテレビゲームをしていた慎吾くんが、私の作っている料理に反応したようだ。
お昼を過ぎた頃に来て始めた料理もリンゴサラダを作り終わった頃までは順調だったけど、自分の現実を知ってしまってからはモタモタしてしまって、もう15時半を過ぎている。
「へぇ、カレーかぁ。
カレーなんて久し振りかも」
…そうなのだ。
結局うまく肉じゃがを作る自信がないからと、焦って慎吾くんの家の冷蔵庫やら戸棚やらを漁っていたら(←コラ)カレーのルゥを見つける事ができた。
考えてみたら、カレーも肉じゃがも同じような材料だもんねっ
だもんで、ここは無難な普通のカレーを作ってみたというわけなのだ。
「あ はは…っ
何かちょっと予定が変わっちゃって、カレーとリンゴサラダになっちゃいました…っ」
「あ、出来たんだ、リンゴサラダ」
「はい。
先に作って冷蔵庫に入れてるから、もう冷えてるかな」
私は冷蔵庫の方へと駆けって中からリンゴサラダの入ったお皿を取り出すと、それを慎吾くんに見せてあげた。
私の十八番、これだけは自信作だもんね。
「やったね!ちょっとつまみ食い。
…………………んっ、絶品!」
「わぁ、よかったぁ」
あんなにたくさん食材を買わせといて、結局カレーとサラダだけなんてヒドい話だけど。
でもそう言って喜んでくれた事で、スゴく安心できた。
ホント、よかったよぉ。
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