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若干ピークが遅い時間になった、土曜日の“デリカ popo”
花の金曜日と言われるだけあって、次いで花の土曜日でもある今日は明日が休日だからご飯も遅めって事なんだろうな。
そんな私も、明日は仕事がお休みだ。
だからと言って特別何をするってわけでもないし、夜更かしだってする予定もない。
そういえば今夜は、高校の同窓会だったな。
今頃みんなは明日が日曜日だからって、羽目外して楽しんでるんだろうなぁ。
「こんばんは」
「あ、こんばんは。
いらっしゃいませ…!」
すっかりがら空きになっている陳列棚から1つほど惣菜を持ってきたお客さんに、私はドキッと胸を踊らせた。
「今日も遅くまで、お疲れさまでしたね。
…イチゴバラ さん!」
別に彼の為だけに化粧してるわけではないんだけど、キレイに見られてるかと思うと逆にすっぴんに戻れないし、つい姿勢を正してしまうの。
でもそれが、女ってものでしょ?
仕事が落ち着いたと言ってたあれ以来、毎日閉店間際になると来てくれるイチゴバラさん。
だけど気になるのは、以前はいくつも買ってくれていた惣菜が、最近はずっと1つだけだという事。
いや、売り上げとかそんな事はいいんだけどね。
ただどうしてそうなったのかなぁってのが気になるのだ。
私もすっかり、小山さんを筆頭とした他人の詮索大好きおばちゃんの予備軍だよぉ。
「今日は、筑前煮1つ…ですね?」
「えぇ、1000円からでお願いします」
「ぁ、はい」
何事もなかったかのように1000円札を出してくれたイチゴバラさんだけど。
…仮に、イチゴバラさん1人が食べるにしても、筑前煮だけをおかずにご飯ってあり得るかしら。
特に男の人だもの。
仕事で疲れて帰って来るんなら、ご飯もしっかり食べたいよね?
「はい、こちらお釣りですね。
ありがとうございます」
「うん、ありがとう」
筑前煮の入ったレジ袋を、イチゴバラさんは優しい笑みを見せながら受け取った。
…特別痩せてるわけでもなく、拒食症って感じにも見えない。いわゆる中肉中背。
まさか「今日の晩ご飯はそれだけですか?」なんて、訊けるわけ…ないよね。
うーん…
でもやっぱり、スゴく気になるなぁ。
「あー…あのっ」
「はい?」
レジ袋を持ったイチゴバラさんが、私の呼び止めに耳を向けて応じてくれた。
しばらく顔を見せなかった時は、イチゴバラさんの子どもさんが代わりにお使いに来ていたって聞いた。
だとするならば最低でも2人暮らしだよね?
でも今こうしてイチゴバラさん本人が買いに来てくれているならば、子どもさんは来てないわけだ。
なのに、今日買った惣菜は筑前煮1つだけ。
「…イチゴバラさんの晩ご飯って…」
他人の事なんだから別に気にする必要ないのは十分わかってるんだけど。でも…
「今日は筑前煮1つだけしか食べないん…ですか?」
でもやっぱり、ムズムズ気になって仕方ないのよぉ!!
余計なお世話かもしれないけど、別に誰にも言わないからこっそり教えてくれないかなぁ?なぁんて。
「え?あははっ
そりゃ、そう思っちゃいますよね」
だけど何だか私が変な心配をしていたと勘違いしたイチゴバラさんは、笑いながら顔の前で手を振った。
「最近は、子どもがご飯のおかずを用意してくれてるんです。
だから、これしか食べないわけじゃないんですよ」
「あ、なるほどー!」
まぁ、おかずが筑前煮1つだけなんておかしいのはわかってた話だけどね。
だけど…だったら1つ、また気になる事がある。
「じゃあどうして、毎日ここで1つ買ってくれるんですか…?」
「…………………っ」
「……………………」
…あれ?
何だか変な空気になっちゃった。
人の晩ご飯事情に他人が首を突っ込むなんて、失礼だなとは思ってたけど。
でもイチゴバラさんが笑って答えてくれたから、つい調子に乗ってズケズケと問い詰める真似をしてしまったかも。
もしかしたら、触れてほしくない部分に私は触れてしまったのかもしれないな。
やっぱり余計な事なんて訊かないで、内輪で勝手に詮索するだけに留めとくべきだったのかも───
「────あ」
そうしているうちに閉店時間である夜の9時になってしまったようで、デパ地下内の照明が1つ落ちた。
と同時に、閉館案内のアナウンスも聞こえてきた。
「す すみませんっ、変な事を訊いて足を止めちゃって!
あの、気にしないで下さいね。どうぞまた、お越し下さ……」
「会いたかったんです。
…その、妹尾さんに」
「ぇ………?」
“会いたかったんです”
まっすぐに私の顔を見据えながら放たれたその言葉に、私は全身に響くぐらい胸がドキンとした。
会いたかった…?
え、私 に…………?
「……………………」
「…………………っ」
イチゴバラさんのその意味深な言葉にまた変な空気が流れ、沈黙してしまった。
だってだって、惣菜1つを買いに来てる理由を訊いたのに、会いたかっただなんて。
それって、どういう……
「ひな坊ーっ
いつまでも突っ立って何しとるんかー!
早く清算しないと先に帰るぞー!!」
「わわっ
はいっ、久保店長!」
閉店時間になり、まだお客さんがここに1人いるとは思っていないだろう久保店長が、厨房から私に大声をあげてきた。
「あぁ、仕事の邪魔してすみませんでした」
「い いえっ
あの、でもイチゴバラさんっ
さっきの言葉…」
閉店時間にはなっても、今はまだ勤務中だもの。
決してゆっくり話をしてもいいわけじゃあないんだけど、でも…っ
「…よかったら、今夜また途中まで送らせてもらえませんか。
今度は、個人的な理由かもしれませんが…」
花の金曜日と言われるだけあって、次いで花の土曜日でもある今日は明日が休日だからご飯も遅めって事なんだろうな。
そんな私も、明日は仕事がお休みだ。
だからと言って特別何をするってわけでもないし、夜更かしだってする予定もない。
そういえば今夜は、高校の同窓会だったな。
今頃みんなは明日が日曜日だからって、羽目外して楽しんでるんだろうなぁ。
「こんばんは」
「あ、こんばんは。
いらっしゃいませ…!」
すっかりがら空きになっている陳列棚から1つほど惣菜を持ってきたお客さんに、私はドキッと胸を踊らせた。
「今日も遅くまで、お疲れさまでしたね。
…イチゴバラ さん!」
別に彼の為だけに化粧してるわけではないんだけど、キレイに見られてるかと思うと逆にすっぴんに戻れないし、つい姿勢を正してしまうの。
でもそれが、女ってものでしょ?
仕事が落ち着いたと言ってたあれ以来、毎日閉店間際になると来てくれるイチゴバラさん。
だけど気になるのは、以前はいくつも買ってくれていた惣菜が、最近はずっと1つだけだという事。
いや、売り上げとかそんな事はいいんだけどね。
ただどうしてそうなったのかなぁってのが気になるのだ。
私もすっかり、小山さんを筆頭とした他人の詮索大好きおばちゃんの予備軍だよぉ。
「今日は、筑前煮1つ…ですね?」
「えぇ、1000円からでお願いします」
「ぁ、はい」
何事もなかったかのように1000円札を出してくれたイチゴバラさんだけど。
…仮に、イチゴバラさん1人が食べるにしても、筑前煮だけをおかずにご飯ってあり得るかしら。
特に男の人だもの。
仕事で疲れて帰って来るんなら、ご飯もしっかり食べたいよね?
「はい、こちらお釣りですね。
ありがとうございます」
「うん、ありがとう」
筑前煮の入ったレジ袋を、イチゴバラさんは優しい笑みを見せながら受け取った。
…特別痩せてるわけでもなく、拒食症って感じにも見えない。いわゆる中肉中背。
まさか「今日の晩ご飯はそれだけですか?」なんて、訊けるわけ…ないよね。
うーん…
でもやっぱり、スゴく気になるなぁ。
「あー…あのっ」
「はい?」
レジ袋を持ったイチゴバラさんが、私の呼び止めに耳を向けて応じてくれた。
しばらく顔を見せなかった時は、イチゴバラさんの子どもさんが代わりにお使いに来ていたって聞いた。
だとするならば最低でも2人暮らしだよね?
でも今こうしてイチゴバラさん本人が買いに来てくれているならば、子どもさんは来てないわけだ。
なのに、今日買った惣菜は筑前煮1つだけ。
「…イチゴバラさんの晩ご飯って…」
他人の事なんだから別に気にする必要ないのは十分わかってるんだけど。でも…
「今日は筑前煮1つだけしか食べないん…ですか?」
でもやっぱり、ムズムズ気になって仕方ないのよぉ!!
余計なお世話かもしれないけど、別に誰にも言わないからこっそり教えてくれないかなぁ?なぁんて。
「え?あははっ
そりゃ、そう思っちゃいますよね」
だけど何だか私が変な心配をしていたと勘違いしたイチゴバラさんは、笑いながら顔の前で手を振った。
「最近は、子どもがご飯のおかずを用意してくれてるんです。
だから、これしか食べないわけじゃないんですよ」
「あ、なるほどー!」
まぁ、おかずが筑前煮1つだけなんておかしいのはわかってた話だけどね。
だけど…だったら1つ、また気になる事がある。
「じゃあどうして、毎日ここで1つ買ってくれるんですか…?」
「…………………っ」
「……………………」
…あれ?
何だか変な空気になっちゃった。
人の晩ご飯事情に他人が首を突っ込むなんて、失礼だなとは思ってたけど。
でもイチゴバラさんが笑って答えてくれたから、つい調子に乗ってズケズケと問い詰める真似をしてしまったかも。
もしかしたら、触れてほしくない部分に私は触れてしまったのかもしれないな。
やっぱり余計な事なんて訊かないで、内輪で勝手に詮索するだけに留めとくべきだったのかも───
「────あ」
そうしているうちに閉店時間である夜の9時になってしまったようで、デパ地下内の照明が1つ落ちた。
と同時に、閉館案内のアナウンスも聞こえてきた。
「す すみませんっ、変な事を訊いて足を止めちゃって!
あの、気にしないで下さいね。どうぞまた、お越し下さ……」
「会いたかったんです。
…その、妹尾さんに」
「ぇ………?」
“会いたかったんです”
まっすぐに私の顔を見据えながら放たれたその言葉に、私は全身に響くぐらい胸がドキンとした。
会いたかった…?
え、私 に…………?
「……………………」
「…………………っ」
イチゴバラさんのその意味深な言葉にまた変な空気が流れ、沈黙してしまった。
だってだって、惣菜1つを買いに来てる理由を訊いたのに、会いたかっただなんて。
それって、どういう……
「ひな坊ーっ
いつまでも突っ立って何しとるんかー!
早く清算しないと先に帰るぞー!!」
「わわっ
はいっ、久保店長!」
閉店時間になり、まだお客さんがここに1人いるとは思っていないだろう久保店長が、厨房から私に大声をあげてきた。
「あぁ、仕事の邪魔してすみませんでした」
「い いえっ
あの、でもイチゴバラさんっ
さっきの言葉…」
閉店時間にはなっても、今はまだ勤務中だもの。
決してゆっくり話をしてもいいわけじゃあないんだけど、でも…っ
「…よかったら、今夜また途中まで送らせてもらえませんか。
今度は、個人的な理由かもしれませんが…」
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