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その後
スーパーで食材の買い物を済ませると、無意識に足早になってアパートに帰ってきた。
いや、無意識じゃないかな。
早く結果が知りたいもの。
買ってきたお野菜やらお肉やらをキッチンに置いたまま、私はすぐにトイレに駆け込んだ。
箱から中身を取り出して説明書を読む。
「キャップを外して…検査薬の先に尿をかけて…」
難しい方法ではなかったので、私はとりあえず指示通りにやってみた。
結果には少し時間がかかるらしい。
「エンドラインまで到達する間に、陽性反応があれば妊娠…かぁ」
結果が出るまで、私はトイレにこもったままドアを背にして目を閉じた。
「…はぁ…」
ケータイにはお母さんからの着信が何件も残っていた。
あれだけの事をしたんだもの。
きっとお小言…ううん、相当お説教されるに違いないわ。
ましてや妊娠までしてたなんて事になったら!
……怖くてお母さんに言えないよぉ。
「……」
何となく、お腹をさすってみた。
ここに、いるのかな。
もしいるのなら、今どのくらいの大きさなんだろう。
赤ちゃん、男の子か女の子か決まってんのかな。
だとすれば、もう命として生まれてるって事だよね。
「…………………」
なんて思ってるうちに、恐らく1分ぐらい経ったと思う。
置いておいた検査薬を手に取って見る。
赤ちゃんはいつか欲しいけど、せめて結婚してからがいい。
結婚前にできちゃうなんて、そんなの架空ドラマのシナリオみたいだよぉっ
「…ぁ………」
だけど
表示された検査薬の結果は、見間違いようもなく陽性反応が出ていた。
これで、私の妊娠は確定しちゃったんだ…!!
キッチンに戻り、買ってきた食材を整理しながら晩ご飯の支度を始めた。
仕掛けたお米が炊飯され、湯気が立っている。
「……………っ」
ご飯が炊けるニオイなんて今まで不快に思わなかったのに。
まるで胃の中が絞られているように気持ち悪い。
「何かあっさりしたものじゃないと…食べれそうにないかも…」
検査薬で陽性を確認しちゃったのもあるけど、身体にこうやって反応があると妊娠した事に重みを感じる。
高梨さんは、秘密にしてなかった事にしてあげるって言ってたけど…
勇さんは、赤ちゃんができちゃった事をどう思うかな。
私と結婚してくれる気があるのかどうかもよくわかんない。
もし結婚はする気ないなら…この赤ちゃんだって欲しくないって思うかもしれないね…。
吐き気と戦いながら、勇さんが仕事から帰った時に食べるご飯を作る。
私の赤ちゃんを必要としてくれる人なんていないかもしれない。
まずお母さんには絶対反対される。
勇さんだってきっと困ると思う。
だったら…高梨さんにお願いして、みんなには秘密にしてもらってお腹の赤ちゃんを……?
――『優は目をつむっていれば済むんだ。
その後は、改めて僕と結婚しよう』
結婚…。
高梨さんと結婚…。
「…ぅっ…く」
ぽろぽろと、涙が溢れてきた。
どうしていいか、わからない。
一番大好きな勇さんにも、怖くて言えない。
実際に妊娠した私が一番悪いのはわかってる。
だけど、だけど…!
できちゃった命は今更どうにもできないじゃない!
「…優…
…優!」
「…………ぁっ」
身体を揺さぶられた刺激で浅い眠りから目が覚めた。
目の前には、まだ視界が定まらなくてぼやけているけど勇さんがいた。
「あ…お帰りなさい…っ」
まだお日さまも地球の裏側にいる深夜。
勇さんが仕事から帰ってきたんだ。
「どうしたんだ?
よく寝てるのかと思って見たら、顔や枕が濡れてるじゃないか」
「ぁ…」
ロクに食べられなかった晩ご飯に、1人きりの夜。
誰にも言えない秘密を抱えてしまって、不安で不安でベッドの中でしばらく泣いていたんだ。
「何かあったのか?」
そんな私を心配してくれる勇さん。
あのね。
私のお腹の中に、勇さんの赤ちゃんができちゃったんだよ。
なんて…言えないよぉ…。
「…あは。
ひとりぼっちでいると、寂しくなっちゃって」
なんて言いながら苦笑いを浮かべると、勇さんはベッドで寝てる私の身体を起こしてギュウっと抱きしめてくれた。
「バカだな。
そんな事でガキみたいにビービー泣いてんのかよ」
「…もぉ、子どもじゃないったら」
私がそう言うと、勇さんはまだ少し濡れてる私の頬にキスをしてくれた。
「バカ、わかってるよ」
勇さんが私をスゴく大事にして、スゴく愛してくれてるのがわかるの。
それはとっても嬉しいし、とっても幸せ。
だけど、お腹の赤ちゃんにも同じように愛してくれる?
「優…」
抱きしめてくれた勇さんの手が、私の身体を撫で始めた。
「……………」
ん…。
今は…そういう気分じゃないかも。
生理は終わったって言ったばかりだし、いやなんて言い方もしたくはないな…。
「ね、もうご飯食べた?」
「あぁ、美味かったよ」
「お茶、入れてあげるよ。
一緒に飲も」
「ん、あぁ」
勇さんの腕からすり抜けると、私は半ば逃げるようにキッチンに向かった。
スーパーで食材の買い物を済ませると、無意識に足早になってアパートに帰ってきた。
いや、無意識じゃないかな。
早く結果が知りたいもの。
買ってきたお野菜やらお肉やらをキッチンに置いたまま、私はすぐにトイレに駆け込んだ。
箱から中身を取り出して説明書を読む。
「キャップを外して…検査薬の先に尿をかけて…」
難しい方法ではなかったので、私はとりあえず指示通りにやってみた。
結果には少し時間がかかるらしい。
「エンドラインまで到達する間に、陽性反応があれば妊娠…かぁ」
結果が出るまで、私はトイレにこもったままドアを背にして目を閉じた。
「…はぁ…」
ケータイにはお母さんからの着信が何件も残っていた。
あれだけの事をしたんだもの。
きっとお小言…ううん、相当お説教されるに違いないわ。
ましてや妊娠までしてたなんて事になったら!
……怖くてお母さんに言えないよぉ。
「……」
何となく、お腹をさすってみた。
ここに、いるのかな。
もしいるのなら、今どのくらいの大きさなんだろう。
赤ちゃん、男の子か女の子か決まってんのかな。
だとすれば、もう命として生まれてるって事だよね。
「…………………」
なんて思ってるうちに、恐らく1分ぐらい経ったと思う。
置いておいた検査薬を手に取って見る。
赤ちゃんはいつか欲しいけど、せめて結婚してからがいい。
結婚前にできちゃうなんて、そんなの架空ドラマのシナリオみたいだよぉっ
「…ぁ………」
だけど
表示された検査薬の結果は、見間違いようもなく陽性反応が出ていた。
これで、私の妊娠は確定しちゃったんだ…!!
キッチンに戻り、買ってきた食材を整理しながら晩ご飯の支度を始めた。
仕掛けたお米が炊飯され、湯気が立っている。
「……………っ」
ご飯が炊けるニオイなんて今まで不快に思わなかったのに。
まるで胃の中が絞られているように気持ち悪い。
「何かあっさりしたものじゃないと…食べれそうにないかも…」
検査薬で陽性を確認しちゃったのもあるけど、身体にこうやって反応があると妊娠した事に重みを感じる。
高梨さんは、秘密にしてなかった事にしてあげるって言ってたけど…
勇さんは、赤ちゃんができちゃった事をどう思うかな。
私と結婚してくれる気があるのかどうかもよくわかんない。
もし結婚はする気ないなら…この赤ちゃんだって欲しくないって思うかもしれないね…。
吐き気と戦いながら、勇さんが仕事から帰った時に食べるご飯を作る。
私の赤ちゃんを必要としてくれる人なんていないかもしれない。
まずお母さんには絶対反対される。
勇さんだってきっと困ると思う。
だったら…高梨さんにお願いして、みんなには秘密にしてもらってお腹の赤ちゃんを……?
――『優は目をつむっていれば済むんだ。
その後は、改めて僕と結婚しよう』
結婚…。
高梨さんと結婚…。
「…ぅっ…く」
ぽろぽろと、涙が溢れてきた。
どうしていいか、わからない。
一番大好きな勇さんにも、怖くて言えない。
実際に妊娠した私が一番悪いのはわかってる。
だけど、だけど…!
できちゃった命は今更どうにもできないじゃない!
「…優…
…優!」
「…………ぁっ」
身体を揺さぶられた刺激で浅い眠りから目が覚めた。
目の前には、まだ視界が定まらなくてぼやけているけど勇さんがいた。
「あ…お帰りなさい…っ」
まだお日さまも地球の裏側にいる深夜。
勇さんが仕事から帰ってきたんだ。
「どうしたんだ?
よく寝てるのかと思って見たら、顔や枕が濡れてるじゃないか」
「ぁ…」
ロクに食べられなかった晩ご飯に、1人きりの夜。
誰にも言えない秘密を抱えてしまって、不安で不安でベッドの中でしばらく泣いていたんだ。
「何かあったのか?」
そんな私を心配してくれる勇さん。
あのね。
私のお腹の中に、勇さんの赤ちゃんができちゃったんだよ。
なんて…言えないよぉ…。
「…あは。
ひとりぼっちでいると、寂しくなっちゃって」
なんて言いながら苦笑いを浮かべると、勇さんはベッドで寝てる私の身体を起こしてギュウっと抱きしめてくれた。
「バカだな。
そんな事でガキみたいにビービー泣いてんのかよ」
「…もぉ、子どもじゃないったら」
私がそう言うと、勇さんはまだ少し濡れてる私の頬にキスをしてくれた。
「バカ、わかってるよ」
勇さんが私をスゴく大事にして、スゴく愛してくれてるのがわかるの。
それはとっても嬉しいし、とっても幸せ。
だけど、お腹の赤ちゃんにも同じように愛してくれる?
「優…」
抱きしめてくれた勇さんの手が、私の身体を撫で始めた。
「……………」
ん…。
今は…そういう気分じゃないかも。
生理は終わったって言ったばかりだし、いやなんて言い方もしたくはないな…。
「ね、もうご飯食べた?」
「あぁ、美味かったよ」
「お茶、入れてあげるよ。
一緒に飲も」
「ん、あぁ」
勇さんの腕からすり抜けると、私は半ば逃げるようにキッチンに向かった。
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