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コンロでお湯を沸かして、2人分の湯呑みにお茶を注ぐ。
「はい、どうぞ。
お疲れさま」
「サンキュな」
2人テーブルを囲って、真夜中にお茶をすすった。
「………………」
あー…何だかソワソワする。
言いたいのに言えない。
ううん、知られたくないから言えない。
だけど…いつまでもこのままではいられない。
どうしよう…
「なぁ、優?」
「え、な 何?」
「あの話…どうなった?」
あの話?
急に言われてもピンと来ない。
何の事を言ってるんだろう。
「お前のお袋さんと、俺の事を話してたんだろ?」
「あぁ…」
お母さんから電話がかかってきた時に、ユウさんとは上手くいってるから、今度一緒にあいさつしに行くって言った時の話だ。
「再々お前に見合い写真を送ってきてるもんな。
きっと俺なんか気に入られてないんだろうと思ってるさ」
勇さんは、お母さんからのお見合い写真の事は一応知っている。
だけど勇さん的にはやっぱり嫌な気持ちになるだろうと思って、なるべく目のつかない所にしまってるつもり。
でも知ってるって事は、見たりしたんだね…。
「別に…そんな事…」
「嘘ついてんじゃねぇよ。
お前は嘘ついてもすぐに顔に出るからバレバレだっての!」
「ん………」
まだそんな男と付き合ってんのって言われたばかりだ。
気に入られてないどころか、むしろ嫌われてるって言っても過言じゃないかも。
だけどそれは、お母さんが勇さんの事をよく知らないからだよ!
時間はかかっても、絶対説得して認めさせちゃうんだから!
…なんて思ってたんだけど、妊娠したなんて話をしたら、余計に印象悪くなるばかりだ…。
「あのな、優。
俺、仕事増やそうかと思うんだ」
「えっ」
唐突な話に、私は湯呑みを持つ手が止まった。
何で急にそんな事を言うんだろう。
「昼間に短時間だけでももう一つ仕事を入れたら、もう少し生活が楽になるだろ?」
「勇さん…。
楽だなんて、別に今家計が苦しいってわけでもないよ?」
もちろん、決してゆとりもないんだけど。
貯金だって、毎月ほんの少しずつしか貯めれてないもんね。
「だけど、いずれ……ん、まぁいいや。
ふぁぁ…身体があったまったら眠くなってきたな。
そろそろ寝るか」
「あ、うん…」
いずれ、何だろう。
気になったけど、今は敢えて訊かなかった。
私にだって、言えない話があるもんね…。
「20円のお返しです。ありがとうございまーす。
はい、いらっしゃいませー」
ニコニコいつもの営業スマイルでお客さんを見送る。
土曜日は開店してすぐからでもお客さんが来るから、本屋さんも平日より忙しい!
なので、いつもなら10時までは1人でお店番してる私なんだけど、土曜日の今日は9時からパートの和泉さんと店長さんが入る。
「おはようございます」
「あ、おはようございまーす。
…あれ?」
店長さんの側には、見覚えのない女性がついて来ていた。
「おはよう、相川さん。
早速だけど、紹介するよ。
昨日話したと思うけど、今日からうちに勤める事になった常盤さんだ」
「常盤です。
宜しくお願いします」
まだ高校を出たばかりのような若い女の子だ。
新しい従業員さんは、こんな若い女の子なんだ。
「初めまして、相川です」
常盤さんという女の子に続いて、私も同じように会釈しながらあいさつをした。
「相川さん。
常盤さんは今はパートさんなんだけど、慣れたらフルタイムで出られるそうだから相川さんと同じように正社員になる予定だよ。
そのうち朝の店開けも出来るようにさせたいから、指導してやってくれないかい?」
一応スタッフの人数はギリギリのお店だから、長く勤められる人が増えるのはありがたいよね。
常盤さんが入ってくれれば、私の休みも2日に増えるかもしれないな。
「はい、わかりました」
「うん。
じゃあまずはレジ周りを一緒に教えてあげてね。
他の事は、僕と和泉さんでやるから。
頼んだよ、相川さん」
「はい」
…うーん。
新人さんの指導なら仕方ないけど、本当なら和泉さんと話したい事があったんだけどなぁ。
「レジ打ちは基本的に商品のバーコードを読み取って、後はこのボタンを押して合計額を出して…」
本屋さんのお仕事としてまず出来なきゃ困るレジ操作を常盤さんに教える。
今日はお客さんの入りが多いから、教えるって言うより見せてるって感じなんだけどね。
そんな事をしていたら、あっという間にお昼休みの時間になった。
「相川さん、常盤さんと一緒にお昼休み入っておいでよ」
ずっとレジ周りにいた私と常盤さんに、和泉さんがレジを代わってくれた。
「店長は今、発注でパソコンに向かってるのよ。
休憩室の使い方とかも、教えなきゃでしょ」
「あぁ、そうですね」
確か和泉さんは授かり婚だっていう話を聞いた。
結婚する前に赤ちゃんができちゃったんだ。
私も同じ事になっちゃったから、和泉さんに相談してみたいんだけどな…。
「はい、どうぞ。
お疲れさま」
「サンキュな」
2人テーブルを囲って、真夜中にお茶をすすった。
「………………」
あー…何だかソワソワする。
言いたいのに言えない。
ううん、知られたくないから言えない。
だけど…いつまでもこのままではいられない。
どうしよう…
「なぁ、優?」
「え、な 何?」
「あの話…どうなった?」
あの話?
急に言われてもピンと来ない。
何の事を言ってるんだろう。
「お前のお袋さんと、俺の事を話してたんだろ?」
「あぁ…」
お母さんから電話がかかってきた時に、ユウさんとは上手くいってるから、今度一緒にあいさつしに行くって言った時の話だ。
「再々お前に見合い写真を送ってきてるもんな。
きっと俺なんか気に入られてないんだろうと思ってるさ」
勇さんは、お母さんからのお見合い写真の事は一応知っている。
だけど勇さん的にはやっぱり嫌な気持ちになるだろうと思って、なるべく目のつかない所にしまってるつもり。
でも知ってるって事は、見たりしたんだね…。
「別に…そんな事…」
「嘘ついてんじゃねぇよ。
お前は嘘ついてもすぐに顔に出るからバレバレだっての!」
「ん………」
まだそんな男と付き合ってんのって言われたばかりだ。
気に入られてないどころか、むしろ嫌われてるって言っても過言じゃないかも。
だけどそれは、お母さんが勇さんの事をよく知らないからだよ!
時間はかかっても、絶対説得して認めさせちゃうんだから!
…なんて思ってたんだけど、妊娠したなんて話をしたら、余計に印象悪くなるばかりだ…。
「あのな、優。
俺、仕事増やそうかと思うんだ」
「えっ」
唐突な話に、私は湯呑みを持つ手が止まった。
何で急にそんな事を言うんだろう。
「昼間に短時間だけでももう一つ仕事を入れたら、もう少し生活が楽になるだろ?」
「勇さん…。
楽だなんて、別に今家計が苦しいってわけでもないよ?」
もちろん、決してゆとりもないんだけど。
貯金だって、毎月ほんの少しずつしか貯めれてないもんね。
「だけど、いずれ……ん、まぁいいや。
ふぁぁ…身体があったまったら眠くなってきたな。
そろそろ寝るか」
「あ、うん…」
いずれ、何だろう。
気になったけど、今は敢えて訊かなかった。
私にだって、言えない話があるもんね…。
「20円のお返しです。ありがとうございまーす。
はい、いらっしゃいませー」
ニコニコいつもの営業スマイルでお客さんを見送る。
土曜日は開店してすぐからでもお客さんが来るから、本屋さんも平日より忙しい!
なので、いつもなら10時までは1人でお店番してる私なんだけど、土曜日の今日は9時からパートの和泉さんと店長さんが入る。
「おはようございます」
「あ、おはようございまーす。
…あれ?」
店長さんの側には、見覚えのない女性がついて来ていた。
「おはよう、相川さん。
早速だけど、紹介するよ。
昨日話したと思うけど、今日からうちに勤める事になった常盤さんだ」
「常盤です。
宜しくお願いします」
まだ高校を出たばかりのような若い女の子だ。
新しい従業員さんは、こんな若い女の子なんだ。
「初めまして、相川です」
常盤さんという女の子に続いて、私も同じように会釈しながらあいさつをした。
「相川さん。
常盤さんは今はパートさんなんだけど、慣れたらフルタイムで出られるそうだから相川さんと同じように正社員になる予定だよ。
そのうち朝の店開けも出来るようにさせたいから、指導してやってくれないかい?」
一応スタッフの人数はギリギリのお店だから、長く勤められる人が増えるのはありがたいよね。
常盤さんが入ってくれれば、私の休みも2日に増えるかもしれないな。
「はい、わかりました」
「うん。
じゃあまずはレジ周りを一緒に教えてあげてね。
他の事は、僕と和泉さんでやるから。
頼んだよ、相川さん」
「はい」
…うーん。
新人さんの指導なら仕方ないけど、本当なら和泉さんと話したい事があったんだけどなぁ。
「レジ打ちは基本的に商品のバーコードを読み取って、後はこのボタンを押して合計額を出して…」
本屋さんのお仕事としてまず出来なきゃ困るレジ操作を常盤さんに教える。
今日はお客さんの入りが多いから、教えるって言うより見せてるって感じなんだけどね。
そんな事をしていたら、あっという間にお昼休みの時間になった。
「相川さん、常盤さんと一緒にお昼休み入っておいでよ」
ずっとレジ周りにいた私と常盤さんに、和泉さんがレジを代わってくれた。
「店長は今、発注でパソコンに向かってるのよ。
休憩室の使い方とかも、教えなきゃでしょ」
「あぁ、そうですね」
確か和泉さんは授かり婚だっていう話を聞いた。
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私も同じ事になっちゃったから、和泉さんに相談してみたいんだけどな…。
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