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だってもう、2人で決めたんだもん!①
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「へぇ。
じゃあこれで全て解決したんだ。
おめでとう!」
__平日の午前中
お客さんの少ない時間帯を見計らって、私は昨日までの経緯を和泉さんに話した。
というか、和泉さんの方が「どうなったの!?」って訊いてきたんだもんね。
「全て解決ってわけじゃないですよぉっ
まだ最大の難関が残ってるんだもの…」
最大の難関ってのは、もちろんお母さんの事。
あれだけ着信が残っていた毎日だったけど、今では全くかけてこなくなった。
私に呆れかえって、放置してるんだろうな。
このまま私、お母さんから絶交されたままになるのかなぁ…。
「ま、そういうのは時間が解決してくれる問題だからね。
わたしの時もそうだったけど、いざ孫の顔を見たらコロッと態度が変わるものよ」
今の私と同じ経験をしている和泉さんは、そう言ってパチンとウインクをした。
コロッと態度がねぇ…。
うちもそうなったら、どんなにいいか。
「だけど…本で見たんですけど、お産ってお金いっぱいかかっちゃうんですね。
今の生活で結構いっぱいいっぱいなのに、どうしようかと思って…」
例えば親と同居している場合なんかだと、出産や育児にかかるお金とか援助してもらえそう。
だけどうちの場合、恐らくお母さんからの援助はほぼ絶対期待できない。
最悪お金が足らなくて産めないとか育てられないとか、そんな事になっちゃったらどうしたらいいんだろうっ
「あぁ、妊婦検診は実費だからね。
だけど出産費用は殆ど返ってくるから大丈夫だよ」
「あ、そうなんですか」
「他にも、相川さん仕事してるから出産手当金とか出るし、ベビー服とかうちのおさがりで良かったら相川さんにあげるよ」
「わぁ!
ホントに?」
お金が返ってくるとかもらえるとか。
知らないと損しそうな話があるんだ!
しかも和泉さんとこのおさがりがもらえちゃうなんて。
それなら…何とかなるのかもしれないね!
うん、頑張ろう!
__17時
仕事が終わると、私は自分のお店に入って出産育児の本を買った。
辞書ほどじゃないけど分厚い本だったから、多分いろんな事もコレ1冊でわかるんだと思う。
帰ったら早速じっくり読んでみよう。
それからスーパーで買い物を済ませると、アパートに向かう。
今日はロールキャベツのグラタンを作るんだぁ。
お肉もお野菜もとれて、牛乳も使うから栄養バッチリだよね。
いつも完食してくれる勇さんの為に、美味しいご飯を作ってあげるの。
好きな人に美味しく食べてもらうのって、幸せだなぁ。
ルンルンとローファーを弾ませて1本道を歩くと、ようやくアパートに着く。
スーパーで買った食材の入った袋を持ち替えると、私はショルダーバッグからアパートのカギを取り出して鍵穴に差した。
クルリと半回転させると、カチリと錠が外れた音がする。
そしてカギを抜いてノブに手をかけようとした、その時だった。
「…優!」
後ろから私の名前を呼ぶ声がして、ドキリとした。
この声…っ
おそるおそる振り返って見ると、案の定そこには思った通りの人物が私を睨みつけながら立っていたのだ。
「お、お、お母さん…っ!」
まるで私が帰って来るのを待ち伏せていたかのように、お母さんはそこに立っていた。
これといった大きな荷物も持っていない様子から、ホント私に会う為だけに来た!…て感じなんだろうな…。
「お母さん、どうして…」
「どうしてじゃないわよ!
電話してもいっそ出ない上に、かけ直してもこない。
優!あんたお母さんと縁を切るつもりなの!?」
電話じゃなくても相変わらずの大きな声に、誰かに聞かれやしないかヒヤヒヤしながら回りを見た。
幸い誰も通りかかっている人はいなかったものの、こんな所で立ち話なんかしたら、他のアパートの住人には絶対聞こえちゃうよぉっ
「お、お母さんっ
とりあえず中に入ってから話をしよっ」
「話をしよじゃないわよ!
これまで散々話をする態度を取らなかった癖にっ」
「いいから、早く中に…っ」
他人の目や耳を全く気にしない様子のお母さんには、羞恥心なんてないのかしらって思う。
私はお母さんの腕を引っ張るようにして、アパートに入ってもらった。
じゃあこれで全て解決したんだ。
おめでとう!」
__平日の午前中
お客さんの少ない時間帯を見計らって、私は昨日までの経緯を和泉さんに話した。
というか、和泉さんの方が「どうなったの!?」って訊いてきたんだもんね。
「全て解決ってわけじゃないですよぉっ
まだ最大の難関が残ってるんだもの…」
最大の難関ってのは、もちろんお母さんの事。
あれだけ着信が残っていた毎日だったけど、今では全くかけてこなくなった。
私に呆れかえって、放置してるんだろうな。
このまま私、お母さんから絶交されたままになるのかなぁ…。
「ま、そういうのは時間が解決してくれる問題だからね。
わたしの時もそうだったけど、いざ孫の顔を見たらコロッと態度が変わるものよ」
今の私と同じ経験をしている和泉さんは、そう言ってパチンとウインクをした。
コロッと態度がねぇ…。
うちもそうなったら、どんなにいいか。
「だけど…本で見たんですけど、お産ってお金いっぱいかかっちゃうんですね。
今の生活で結構いっぱいいっぱいなのに、どうしようかと思って…」
例えば親と同居している場合なんかだと、出産や育児にかかるお金とか援助してもらえそう。
だけどうちの場合、恐らくお母さんからの援助はほぼ絶対期待できない。
最悪お金が足らなくて産めないとか育てられないとか、そんな事になっちゃったらどうしたらいいんだろうっ
「あぁ、妊婦検診は実費だからね。
だけど出産費用は殆ど返ってくるから大丈夫だよ」
「あ、そうなんですか」
「他にも、相川さん仕事してるから出産手当金とか出るし、ベビー服とかうちのおさがりで良かったら相川さんにあげるよ」
「わぁ!
ホントに?」
お金が返ってくるとかもらえるとか。
知らないと損しそうな話があるんだ!
しかも和泉さんとこのおさがりがもらえちゃうなんて。
それなら…何とかなるのかもしれないね!
うん、頑張ろう!
__17時
仕事が終わると、私は自分のお店に入って出産育児の本を買った。
辞書ほどじゃないけど分厚い本だったから、多分いろんな事もコレ1冊でわかるんだと思う。
帰ったら早速じっくり読んでみよう。
それからスーパーで買い物を済ませると、アパートに向かう。
今日はロールキャベツのグラタンを作るんだぁ。
お肉もお野菜もとれて、牛乳も使うから栄養バッチリだよね。
いつも完食してくれる勇さんの為に、美味しいご飯を作ってあげるの。
好きな人に美味しく食べてもらうのって、幸せだなぁ。
ルンルンとローファーを弾ませて1本道を歩くと、ようやくアパートに着く。
スーパーで買った食材の入った袋を持ち替えると、私はショルダーバッグからアパートのカギを取り出して鍵穴に差した。
クルリと半回転させると、カチリと錠が外れた音がする。
そしてカギを抜いてノブに手をかけようとした、その時だった。
「…優!」
後ろから私の名前を呼ぶ声がして、ドキリとした。
この声…っ
おそるおそる振り返って見ると、案の定そこには思った通りの人物が私を睨みつけながら立っていたのだ。
「お、お、お母さん…っ!」
まるで私が帰って来るのを待ち伏せていたかのように、お母さんはそこに立っていた。
これといった大きな荷物も持っていない様子から、ホント私に会う為だけに来た!…て感じなんだろうな…。
「お母さん、どうして…」
「どうしてじゃないわよ!
電話してもいっそ出ない上に、かけ直してもこない。
優!あんたお母さんと縁を切るつもりなの!?」
電話じゃなくても相変わらずの大きな声に、誰かに聞かれやしないかヒヤヒヤしながら回りを見た。
幸い誰も通りかかっている人はいなかったものの、こんな所で立ち話なんかしたら、他のアパートの住人には絶対聞こえちゃうよぉっ
「お、お母さんっ
とりあえず中に入ってから話をしよっ」
「話をしよじゃないわよ!
これまで散々話をする態度を取らなかった癖にっ」
「いいから、早く中に…っ」
他人の目や耳を全く気にしない様子のお母さんには、羞恥心なんてないのかしらって思う。
私はお母さんの腕を引っ張るようにして、アパートに入ってもらった。
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