ソラマメ

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ソラマメ

ソラマメと七海

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「ソラマメ。私ね。振られちゃった」

昨日、2年付き合っていた彼氏に振られた。理由は「お前は1人でも大丈夫だと思う」なんて、ありきたりな別れ文句。1人で平気な訳があるか。世の中そんなに強い女なんていないよ。そんな最悪な別れでも、思い出すと泣けてくる。涙を堪えている私の事なんて気にもせず、カリカリに貪りつく音だけが響いている。

「ねえ、ソラマメ。私、強くなんてないんだよ」

ソラマメに言ったって仕方のない事だし、ソラマメも気にしている素振りは全くない。1人になりたいけどなりたくない、そんな七海にとって今はそれが、心地良い。カリカリを食べ終わり、毛繕いを始めるソラマメを見てそろそろ帰る頃か。と察し、立ち上がりかけ、ふと思う。ソラマメはいつもこの後何をしているんだろう。今日は、1人になりたくない気持ちの方が数グラム多かったらしく、そんな好奇心が私をくすぐった。幸い、今日はお休みで、予定と言えば洗濯、掃除くらいだ。

短く鳴いた後、ゆっくりと歩いていくいつものソラマメを今日は見送らず、付いて行く。ほんの、好奇心。特に意味はない。

しばらく歩くと、小柄な叔母さんが「あら、みーちゃん、おはよう」と声を掛けていた。気にする素振りもなく、ゆっくりと歩くソラマメと一定の距離を保ちながら、ソラマメには、色んな呼び名と顔があるんだな、と気付く。私にとって、ソラマメでも、この人にはみーちゃんなんだ。何だか面白くなってきた。この先もどんな名前で呼ばれているんだろうか。気になって、そのままソラマメについて行く事に決めた。
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