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ソラマメ
ソラマメと七海
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暫くついて歩くと、ソラマメは一軒の古びた軒下に入っていった。短く鳴くと、扉が古めかしい音を立ててゆっくりと開く。
「いらっしゃい」
ソラマメは甘えたような声を出し、その家主の足元に擦り寄る。長身で、細身。見た感じ20代前半だろう。整ったその顔は現代によくいそうな、甘くて優しい顔をしていた。しかしその顔に似つかわしく、グレーの着物をさらりと着こなしている姿は今時の子には見えなかった。
「おいで、ソラマメ。お前の目は本当に茹でたてのそら豆みたいに綺麗だね」
「えっ」
「ん?ソラマメ。誰か連れてきたの?」
私と同じ。同じように感じて、同じ名前を呼ぶ人がこんなところにいたなんて。思わず私は声を出してしまい、家主が不思議そうのこちらを見ながらソラマメを抱き上げた。
「お客様でしょうか?」
「え?あ、あのっ私は、その」
「どうぞお入りください。うちのお茶は美味しいですよ」
「...おちゃ...?」
建物に目をやると、そこには【空茶屋】と書いてあった。あ、ここ、お茶屋さんなんだ。やっと思考が追い付いた頃には、家主とソラマメはもう中に入っており、1人残されていた。お茶が飲みたいとか、ソラマメの行く先だとか、そんなのはもう関係なく、私は私と同じ思いの彼と話したいと言う思いが先行し、空茶屋の暖簾をくぐっていた。
「いらっしゃい」
ソラマメは甘えたような声を出し、その家主の足元に擦り寄る。長身で、細身。見た感じ20代前半だろう。整ったその顔は現代によくいそうな、甘くて優しい顔をしていた。しかしその顔に似つかわしく、グレーの着物をさらりと着こなしている姿は今時の子には見えなかった。
「おいで、ソラマメ。お前の目は本当に茹でたてのそら豆みたいに綺麗だね」
「えっ」
「ん?ソラマメ。誰か連れてきたの?」
私と同じ。同じように感じて、同じ名前を呼ぶ人がこんなところにいたなんて。思わず私は声を出してしまい、家主が不思議そうのこちらを見ながらソラマメを抱き上げた。
「お客様でしょうか?」
「え?あ、あのっ私は、その」
「どうぞお入りください。うちのお茶は美味しいですよ」
「...おちゃ...?」
建物に目をやると、そこには【空茶屋】と書いてあった。あ、ここ、お茶屋さんなんだ。やっと思考が追い付いた頃には、家主とソラマメはもう中に入っており、1人残されていた。お茶が飲みたいとか、ソラマメの行く先だとか、そんなのはもう関係なく、私は私と同じ思いの彼と話したいと言う思いが先行し、空茶屋の暖簾をくぐっていた。
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