ソラマメ

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空茶屋

ソラマメと拓海

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ここは、俺が生まれる前からずっとここにある。俺の両親で三代目になるらしい。お茶と茶菓子を取り扱っていて、昔ながらの馴染みだけではなく、最近はネットの口コミなんかで若い子もよく来るようになった。

昔ながらのお茶屋さんのくせに、夏はかき氷を出したり、冬はココアを販売したり、とにかく好き勝手な茶屋が、この【空茶屋】である。俺はこの空茶屋の長男として産まれた。と言っても俺、1人だけなんだけど。

空音拓海そらねたくみ、25歳。高校を卒業してから、この実家の茶屋を手伝っている。両親は殆ど茶屋に顔を出さず、今では俺1人に任されている。

若いのに、なんてよく言われるけど、俺はこの街もこの茶屋も、大好きだ。その理由は、そんなに繁盛せず、1日に数人のお客でのらりくらりと営業しているからだ。何にも縛られず、のんびりゆっくり過ごせるのは本当に心地が良い。

店を開けるのは、午後を回ってから。お店を開ける5分前、いつもやってくるお客様がいる。そいつに出会ったのは、丁度3年前。ある日、開店準備をしているとそこから鳴き声が聞こえた。店の外を覗くと、1匹の黒猫がそこに居た。
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