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九話
しおりを挟む「えっ、やっ、あぁっ!」
「…ここか、お前の良いところ」
腹の奥から何かが迫り上がってくる。怯えるローゼリアをギルバートは欲情した雄の目で視姦するように舐め回す。肌がザワザワと泡立つ。やだ、なに、わからない、こわい。怖いのに、この先を知りたがる自分が確かにいた。グチュングチュンと脚の間から聞こえる淫らな水音が部屋に響く。ソファーも、くっついているギルバートの服も汚れてしまっている。座学の知識なんて頭からほぼ抜けていたし、気にする余裕が無い。身体の中に蓄積された何かが、今にも弾けようとしていた。遂にグリリ、と粒を強く押された瞬間目の前が真っ白になり背中が弓形にしなる。
「あぁっ…!」
全身がビクビクと痙攣して、埋め込まれた指をギリギリと締め付ける。ドプ…と股から蜜が垂れてくる。初めての経験にパニックになり、何かに縋りたくなったローゼリアは咄嗟にギルバートにキスをしていた。無我夢中だった。舌を捩じ込んで彼の舌を吸う。高みに昇った直後でおかしくなっていたのだ。素面ならば絶対にしない、大胆とも痴女と謗られる行為を進んでやった。上顎、頬の内側、下顎、ローゼリアはギルバートの口腔内を舐めて唾液を啜る。ジュルジュルと下品な音が立つ。他人の唾液なんて気持ち悪いとすら思ってたのに、ギルバートのものは甘く感じた。
ギルバートはローゼリアの奇行を黙って受け入れていた。寧ろ積極的に応えるので、ローゼリアを正気に戻すために止めることもしない。多分彼もおかしくなっていたのだ。カチャカチャ、と金属の擦れる音がする。間を置かずにヌチュ、ヌチュとローゼリアの股から聞こえたものとは違う粘着質な水音が下から聞こえる。心なしか、合わさった唇から溢れるギルバートの息が徐々に荒くなっていく。目元も赤く、比例して音が酷くなった。ローゼリアは怖いもの見たさで唇を離すと下を見た。ギルバートは見られたくないのか、嫌そうに眉を顰めたけど止めなかった。
視線を落とすと前を寛げ、赤黒く勃ち上がった逸物をギルバートが左手で扱いていた。ボコボコと血管が浮き出てグロテスクな見た目をして、臍に付きそうなほど反り返っている。ローゼリアは初めて見る男の象徴から目を離せない。
「おい…見るなよ」
息を荒くしながらギルバートは眉間に皺を寄せて告げる。恥ずかしがっているのか、見られて興奮しているのか。どっちもなのか。ローゼリアは碌な知識はないが、凡そこれが一般的な行為ではないと何となく感じていた。本来ならばこれにローゼリアは貫かれて純潔を散らしていたところをギルバートは正式に婚約する前だから、と良しとしなかった。しかし散々(一方的に)触れ合ってここまで勃ち上がってしまえば苦しいのだろう。苦肉の策で、ローゼリアを見ながら自らを慰めている。見るなと言いながら、目を逸らすことは許さないと彼の瞳が命じていた。
ローゼリアは興味本位と興奮と、女としてはしたないという感情の間で葛藤しつつも、とろりと蕩けた緑の瞳でギルバートの瞳と彼の逸物を恥ずかしそうに装いながら、交互にガッツリ見ていた。ふわふわと何処か夢見心地だ。ブルーグレーの瞳に映るローゼリアは頬を紅潮させ、唾液で濡れた唇は口付けのしすぎでぽってりとして、妖艶と称される色香を纏っていた。癒しだとか、小動物と言われていた面影は皆無だ。そんなローゼリアを前にギルバートの左手に力が入り、一際強く扱く。
やがて悩まし気な表情のギルバートがうっ、と低い唸り声を上げると勢いよくビュルルル、と白いドロリとした精液を吐き出した。ローゼリアの顔やワンピース、ギルバートの服も汚していった。興味津々な眼差しで、顔についた精液を指で掬う。つい出来心で舐めてしまうと、ハッとギルバートが我に返り焦ったように声をかける。
「な、何舐めてんだよ」
「…変な味します…」
「当たり前だろ、口に入れるものじゃないんだから」
すぐさまギルバートが呪文を唱え、浄化の魔術をかけてくれた。色んなもので汚れていた服や顔、ソファー、変な味が残っていた口の中がすっかり綺麗になっている。浄化は結構高難易度なはずでローゼリアは取得出来ていない。絶対こんな用途で使うべきものではないと思う、と居た堪れなくなった。
ふー、っと深く息を吐いて天井を見上げる。一線を超えていないはずなのに、超えたと錯覚するくらい濃密な時間だった。そしてここで我に返ったローゼリアは恥ずかしさのあまり、本気で泣いた。またギルバートの胸に顔を埋めてえーん!と。
「積極的なローゼリア、可愛かった」
とギルバートがこめかみにキスしながら慰めても
「可愛くないです完全なる痴女です忘れてください」
ローゼリアに慰めの言葉は中々届かず、死にたくなるほどの羞恥心に襲われていた。ラブレターを書いたことなんて可愛いものだった。もっと恐ろしいことをやってしまった自分が信じられない。ドン引きされたのでは、とローゼリアの心は不安で押しつぶされそうだった。しかし、ローゼリアを見つめるギルバートの目が蜂蜜を大量にかけたパンケーキのように甘かったので、杞憂だったと安心出来た。
それでもローゼリアの精神が落ち着きを取り戻すまでたっぷり30分はかかってしまった。
正気を取り戻した2人だったが、恥ずかしがったり余所余所しくなることはなく完全に恋人、寧ろ一線を超えた者同士特有の雰囲気が流れている。身体をくっつけ合ってソファーに座っていると、徐に眉を下げたギルバートが切り出した。
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