君がいないと、息が出来ない

遥彼方

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君への切ない片想いはこれで終わりなのでしょうか

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 君とはずっと幼馴染という立場で、友達以上でもそれ以下でもなかった。
 息をするみたいに隣にいるのが当たり前の存在。
 それだけだったのに。

 卒業式が終わっての帰り道。私はとぼとぼと通い慣れた道を歩く。
 もう、この道を歩くのも最後。ううん、歩くかもしれないけれど、制服で高校生という私が歩くのはこれで最後。

 そして、君とこの道を歩くことはもうない。

 私の横を制服の男子が追い抜いて行った。少し先には三人、塊になった女子がじゃれあいながら歩いてる。楽しそうだったり、別れを惜しんでいたりしながら、みんな私を追い越していく。

 私だけが、取り残されているみたい。
 違うね。取り残されていたいんだ。

 君との高校生活という夢の中で、まだまどろんでいたい。浸っていたかった。

 けれど夢は泡みたいにぱちんと弾けた。
 卒業式の後、告白されていた君の姿を見た時に。

 夢が弾けて、初めて気が付いた。私、君のことが好きだったんだ。
 隣にいる時間が好きだった。気兼ねなく笑いあえる空気が好きだった。
 呼吸のように当たり前のものがなくなってしまったら、こんなに息苦しくなってしまうんだ。

 ぽろりと滴が落ちた。周りに見られたくなくて、うつむく。

 どうしよう。
 喉の奥にこみ上げてきたものが詰まる。
 苦しい。

 君への好きは、家族へ向ける好きと、違う。
 友達のことを好きなのとは、違う。

 私はずっと同じものだと思ってた。私の君への好きは、恋する女の子みたいにほほを染めて語るようなものじゃないって。
 もっと軽く、ああ好き好きって笑いながら言えるようなものだって思ってたんだよ。本当に。

 馬鹿だね、今より前の私。

 こんなに私の中の大事な部分を、ぎゅっと掴まれてしまうなんて。
 思ってもみなかったから、少し笑ってしまう。

 仲良く遊んだり、喧嘩したり、嫌いなものをこっそり食べ合いっこしたり。妙に戦友みたいな絆があったり、大人に内緒の二人だけの秘密を持っていたり。

 君との時間は気がつけばそこにあるものだった。

 なければ窒息死してしまうほど、私にはなくてはならないものだったの。

 でも今より前の私は、そんなに切羽詰まったものだなんて思わなかった。
 あるのが当たり前で、有り難みもくそもない。そこかしこにある空気と同じ。

 息を吸って、吐く。無意識にやってること。
 それくらい、普通のことで。日常の一部だったんだよ。君との時間は。

 苦しいね。空気がないと苦しい。
 君がいないと、息が出来ないよ。
 苦しくて、苦しくて、涙があふれてしまいそう。

 一体いつから、そんな風になってしまったんだろうね。私にも分からないよ。

 だから自分の心の中を探してみよう。
 これから少し、記憶を掘り起こしてみようと思う。
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