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第三章 大坂の陣
20 密命の正体
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抜け道を出ると、半刻は経っていなかったらしく、坂崎家の将兵はちゃんと残っていた。
「殿」
家老が心配して直盛に駆け寄る。
「大事ない」
直盛は家老に感謝しつつ、それでも馬に乗った。
戦場は加速している。
城に向かって。
その奔流は渦巻き、誰もかれをも巻き込む。
この時点で千姫が大坂城を脱したのは、大野治長が秀頼と茶々の助命の引き換えとしてであって、落城する前に逃がした、というわけではない。
だからまだ戦闘は続行している。
阿鼻叫喚が、洩れていた。
人が獣と化して、より弱い者を襲っているのだろう。
この時、ある町人の残した「見しかよの物かたり」には、
「男、女のへだてなく
老ひたるも、みどりごも
目の当たりにて刺し殺し
あるいは親を失ひ子を捕られ
夫婦の中も離ればなれに
なりゆくことの哀れさ
その数を知らず」
と、記されている。
「急ぐぞ。千姫さまを大御所さま、将軍さまのところへ」
このままでは、何が起こるか、わかったものではない。
かつて文禄の役、慶長の役で戦場を疾駆した直盛とその将兵には、その恐ろしさがわかる。
千姫は、直盛のうしろに乗った。
坂崎家の将兵は二人を囲むように陣形を組む。
「行くぞ!」
宗矩と権右衛門は、家老が用意してくれた馬に乗って、先頭に立った。
誰何の声が上がる。
「罷りとおる!」
さすがに将軍家兵法指南役として知られている宗矩が吼えると、誰もが道を開けた。
そうして宗矩と権右衛門、直盛と千姫たちが戦場をしばらく駆けていくと、三つ葉葵の紋が見えた。
「こっちじゃ!」
三つ葉葵の紋の軍勢の戦闘に、見知った顔が。
「立花どの!」
宗茂だ。
かれは、大野治房に襲撃を退け、徳川秀忠を守り切った。
だけでなく、そのまま逆襲に逸る秀忠を抑え、ただし自身は先頭に立って、さらなる敵襲にそなえ、かつ、宗矩らの到着を待っていた。
「やりおったな」
宗茂が肩を叩いた。
直盛にも笑いかける。
一流のいくさ人、立花宗茂。
その宗茂からの褒め言葉が、何よりの褒美に思えた。
「どうか、徳川どのに」
権右衛門がそう言って、その感慨から覚ましてくれた。
そのため、宗矩だけまず、秀忠のいる本陣に復命し、家康の密命と、その結果として千姫を連れて来たことを言上する。
「そう、か」
秀忠は落ち着かなげだった。
かつての関ヶ原での遅参という失態があり、今は大坂方に攻めかかかられるという醜態を演じた。
かれとしては、今すぐにでも大坂城に攻めかかり、これまでの汚名を返上したい、というところだった。
だが、宗矩と直盛の働きは、他ならぬ家康からのもの。
これをおろそかにはできない。
そういう、落ち着かなさだった。
「今、坂崎出羽守が千姫さまを連れて参りますれば、どうかお会い下され」
宗矩が深く頭を下げてから、千姫を呼びに行こうとすると、「ああ待て柳生」と呼び止められた。
「そこもとのこたびの働き、大儀。よって、わが子、竹千代(家光)の兵法指南役に任ずる」
「それは」
家康、秀忠につづき、竹千代まで。
これは、柳生の教えが、徳川の家の「御流儀」となったことを意味する。
つまり、剣士として、これ以上ない栄誉だった。
「ありがとうございまする」
「うむ」
宗矩は退出し、入れ替わりで、千姫と、かのじょに伴って、直盛が幔幕をくぐってきた。
宗矩は権右衛門から話しかけられた。
その背後、幔幕の向こうから。
「わが娘ながら、慮外者め!」
という怒声が響いた。
どうやら、秀忠は、嫁した以上は豊臣家の人間であり、千姫は豊臣家と命運を共にすべきだと言いたいらしい。
その隣から直盛がまあまあと秀忠をなだめる。
「落ち着いて下され、将軍さま」
千姫は火中から逃げて来た。
そういう娘――女性に、その物言いはきついのではないか。
顔に大やけどを負った直盛にそう言われると、秀忠も黙らざるを得ない。
直盛は場をとりなすように、「それがし、言上したき儀がござりまする」と言った。
「何か」
「では申し上げます。この坂崎出羽守直盛、こたびの働きの褒美として……」
そこまで聞こえたが、あとはわからなかった。
この時は。
というのも、権右衛門が、ぜひ秀頼と茶々の助命を、家康さまにもお願いしたいと言って来たからだ。
宗矩は、それは難しかろうと思ったが、千姫を連れ出すのに協力してくれたのは事実。最低限、取り次ぎはしないと、不誠実だ。
宗矩は宗茂に、家康の許へ向かうと告げ、権右衛門と共に馬に乗った。
……あとで思えば、この時、直盛の願いをちゃんと聞いておけばと、宗矩は悔やむことになる。
*
家康は権右衛門に会ったが、助命は難しいと答えた。
宗矩は肩を落とす権右衛門をなだめようとしたが、そこを家康に呼び止められた。
「将軍に伝えよ」
今こそ城を攻めよ、秀頼・茶々を始末せよ、と。
「今こそ、とは」
宗矩の反問に、家康はにたりと笑った。
「これで、人質はいなくなった」
その言葉に、宗矩は、家康の千姫奪還の真の意図を悟った。
豊臣家に人質として差し出した千姫。
これを奪還しないと、徳川家としては、豊臣家に完全に勝利したといえない。
千姫ごと豊臣家を始末してしまっては、徳川家は無謬ではない、という疵になる。
家康は完璧を望んだ。
だから、千姫を取り戻した。
徳川の家のために。
江戸の幕府のために。
そのための奪還で、それは罪滅ぼしでも何でもなかった。
「大御所、さま……」
「安心せい、ちゃんと報いる」
そのために、真の意図を明かしたではないか。
そういう、笑いだった。
大坂城は落城し、秀頼と茶々は自刃した。
治長もまた自刃した。
権右衛門は悄然として、立ち去ることを望んだ。
というのも、治長自身も、秀頼と茶々の助命がうまくいくと思っていなかったらしく、権右衛門に娘の養育を頼んでいた。
権右衛門はそれを果たすために、京へ向かうと言った。
そこに治長の娘が隠れ住んでいたからである。
「行かせてやれ」
家康は、秀頼と茶々と――治長は助けなかったが、その願いはかなえてやることにした。
その後、戦後処理が始まり、宗矩も直盛も千姫も離れ離れになった。
千姫は、家康のとりなしにより、秀忠から許され、ふたたび徳川の姫として遇されることになった。
直盛は一万石の加増となった。
宗矩は祝いに行こうとしたが、すでにやけどの治療のため、津和野に戻っているということで、結局会えずじまいに終わった。
「合わせる顔も無いしな」
江戸に戻った宗矩は、妻女のおりんにそうこぼした。
直盛は少なくとも、人の命を救うためと信じて戦った。
であるのに救ったのは、命ではなく体面だった。
徳川の。
家康の。
「直盛はあんなやけどまで負ったのに」
おりんが目配せする。
これ以上はよせ、という合図だ。
これ以上は幕府に対する不満のあらわれとなる。
三千石の大身の旗本となって柳生家にとっては、それは取り潰しの危機につながる。
「わかっている」
宗矩は歎息した。
こうして、言いたいことも言えず、ひたすら保身に汲々とする。
そんな、つまらない世の中になってしまった気がする。
「こんな世の中に、おのが意志を通すことなど、できるのだろうか」
それは口に出してはいない。
ただその分、それだけ、宗矩の心に残る、自問だった。
「殿」
家老が心配して直盛に駆け寄る。
「大事ない」
直盛は家老に感謝しつつ、それでも馬に乗った。
戦場は加速している。
城に向かって。
その奔流は渦巻き、誰もかれをも巻き込む。
この時点で千姫が大坂城を脱したのは、大野治長が秀頼と茶々の助命の引き換えとしてであって、落城する前に逃がした、というわけではない。
だからまだ戦闘は続行している。
阿鼻叫喚が、洩れていた。
人が獣と化して、より弱い者を襲っているのだろう。
この時、ある町人の残した「見しかよの物かたり」には、
「男、女のへだてなく
老ひたるも、みどりごも
目の当たりにて刺し殺し
あるいは親を失ひ子を捕られ
夫婦の中も離ればなれに
なりゆくことの哀れさ
その数を知らず」
と、記されている。
「急ぐぞ。千姫さまを大御所さま、将軍さまのところへ」
このままでは、何が起こるか、わかったものではない。
かつて文禄の役、慶長の役で戦場を疾駆した直盛とその将兵には、その恐ろしさがわかる。
千姫は、直盛のうしろに乗った。
坂崎家の将兵は二人を囲むように陣形を組む。
「行くぞ!」
宗矩と権右衛門は、家老が用意してくれた馬に乗って、先頭に立った。
誰何の声が上がる。
「罷りとおる!」
さすがに将軍家兵法指南役として知られている宗矩が吼えると、誰もが道を開けた。
そうして宗矩と権右衛門、直盛と千姫たちが戦場をしばらく駆けていくと、三つ葉葵の紋が見えた。
「こっちじゃ!」
三つ葉葵の紋の軍勢の戦闘に、見知った顔が。
「立花どの!」
宗茂だ。
かれは、大野治房に襲撃を退け、徳川秀忠を守り切った。
だけでなく、そのまま逆襲に逸る秀忠を抑え、ただし自身は先頭に立って、さらなる敵襲にそなえ、かつ、宗矩らの到着を待っていた。
「やりおったな」
宗茂が肩を叩いた。
直盛にも笑いかける。
一流のいくさ人、立花宗茂。
その宗茂からの褒め言葉が、何よりの褒美に思えた。
「どうか、徳川どのに」
権右衛門がそう言って、その感慨から覚ましてくれた。
そのため、宗矩だけまず、秀忠のいる本陣に復命し、家康の密命と、その結果として千姫を連れて来たことを言上する。
「そう、か」
秀忠は落ち着かなげだった。
かつての関ヶ原での遅参という失態があり、今は大坂方に攻めかかかられるという醜態を演じた。
かれとしては、今すぐにでも大坂城に攻めかかり、これまでの汚名を返上したい、というところだった。
だが、宗矩と直盛の働きは、他ならぬ家康からのもの。
これをおろそかにはできない。
そういう、落ち着かなさだった。
「今、坂崎出羽守が千姫さまを連れて参りますれば、どうかお会い下され」
宗矩が深く頭を下げてから、千姫を呼びに行こうとすると、「ああ待て柳生」と呼び止められた。
「そこもとのこたびの働き、大儀。よって、わが子、竹千代(家光)の兵法指南役に任ずる」
「それは」
家康、秀忠につづき、竹千代まで。
これは、柳生の教えが、徳川の家の「御流儀」となったことを意味する。
つまり、剣士として、これ以上ない栄誉だった。
「ありがとうございまする」
「うむ」
宗矩は退出し、入れ替わりで、千姫と、かのじょに伴って、直盛が幔幕をくぐってきた。
宗矩は権右衛門から話しかけられた。
その背後、幔幕の向こうから。
「わが娘ながら、慮外者め!」
という怒声が響いた。
どうやら、秀忠は、嫁した以上は豊臣家の人間であり、千姫は豊臣家と命運を共にすべきだと言いたいらしい。
その隣から直盛がまあまあと秀忠をなだめる。
「落ち着いて下され、将軍さま」
千姫は火中から逃げて来た。
そういう娘――女性に、その物言いはきついのではないか。
顔に大やけどを負った直盛にそう言われると、秀忠も黙らざるを得ない。
直盛は場をとりなすように、「それがし、言上したき儀がござりまする」と言った。
「何か」
「では申し上げます。この坂崎出羽守直盛、こたびの働きの褒美として……」
そこまで聞こえたが、あとはわからなかった。
この時は。
というのも、権右衛門が、ぜひ秀頼と茶々の助命を、家康さまにもお願いしたいと言って来たからだ。
宗矩は、それは難しかろうと思ったが、千姫を連れ出すのに協力してくれたのは事実。最低限、取り次ぎはしないと、不誠実だ。
宗矩は宗茂に、家康の許へ向かうと告げ、権右衛門と共に馬に乗った。
……あとで思えば、この時、直盛の願いをちゃんと聞いておけばと、宗矩は悔やむことになる。
*
家康は権右衛門に会ったが、助命は難しいと答えた。
宗矩は肩を落とす権右衛門をなだめようとしたが、そこを家康に呼び止められた。
「将軍に伝えよ」
今こそ城を攻めよ、秀頼・茶々を始末せよ、と。
「今こそ、とは」
宗矩の反問に、家康はにたりと笑った。
「これで、人質はいなくなった」
その言葉に、宗矩は、家康の千姫奪還の真の意図を悟った。
豊臣家に人質として差し出した千姫。
これを奪還しないと、徳川家としては、豊臣家に完全に勝利したといえない。
千姫ごと豊臣家を始末してしまっては、徳川家は無謬ではない、という疵になる。
家康は完璧を望んだ。
だから、千姫を取り戻した。
徳川の家のために。
江戸の幕府のために。
そのための奪還で、それは罪滅ぼしでも何でもなかった。
「大御所、さま……」
「安心せい、ちゃんと報いる」
そのために、真の意図を明かしたではないか。
そういう、笑いだった。
大坂城は落城し、秀頼と茶々は自刃した。
治長もまた自刃した。
権右衛門は悄然として、立ち去ることを望んだ。
というのも、治長自身も、秀頼と茶々の助命がうまくいくと思っていなかったらしく、権右衛門に娘の養育を頼んでいた。
権右衛門はそれを果たすために、京へ向かうと言った。
そこに治長の娘が隠れ住んでいたからである。
「行かせてやれ」
家康は、秀頼と茶々と――治長は助けなかったが、その願いはかなえてやることにした。
その後、戦後処理が始まり、宗矩も直盛も千姫も離れ離れになった。
千姫は、家康のとりなしにより、秀忠から許され、ふたたび徳川の姫として遇されることになった。
直盛は一万石の加増となった。
宗矩は祝いに行こうとしたが、すでにやけどの治療のため、津和野に戻っているということで、結局会えずじまいに終わった。
「合わせる顔も無いしな」
江戸に戻った宗矩は、妻女のおりんにそうこぼした。
直盛は少なくとも、人の命を救うためと信じて戦った。
であるのに救ったのは、命ではなく体面だった。
徳川の。
家康の。
「直盛はあんなやけどまで負ったのに」
おりんが目配せする。
これ以上はよせ、という合図だ。
これ以上は幕府に対する不満のあらわれとなる。
三千石の大身の旗本となって柳生家にとっては、それは取り潰しの危機につながる。
「わかっている」
宗矩は歎息した。
こうして、言いたいことも言えず、ひたすら保身に汲々とする。
そんな、つまらない世の中になってしまった気がする。
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ただその分、それだけ、宗矩の心に残る、自問だった。
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