柳生二蓋笠(やぎゅうにがいがさ) ~柳生宗矩と坂崎直盛、二十五年を越えた友誼(ゆうぎ)の証(あかし)~
一六一六年、津和野藩主・坂崎出羽守直盛は、将軍徳川秀忠の娘・千姫強奪を企む。事前にそれを知った秀忠は、兵を出して坂崎家の屋敷を包囲、将軍家兵法指南役・柳生宗矩を使いとして派した。宗矩は直盛の親友でもあった。
この騒ぎを知った英国商館長リチャード・コックスは、英国人で幕府の侍となった三浦按針に、このような騒動が起こるのは、野蛮人の証拠だと断じた。また、野蛮人とは徳(virtus)がない人で、徳(virtus)の無い人の国とは、通商する価値はないと断言した。
これを憂慮した按針は、宗矩を訪れ、直盛のことを知りたいと願った。宗矩もまた、コックスが、直盛は徳(virtus)が無いと英国に伝えるのを忍びず、直盛との出会いから語り出す。
一五九〇年、小田原征伐で出会った時の直盛(当時は宇喜多知家)は傲慢であったが、その傲慢のゆえに宗矩の肘打ちを食らった。このことで、直盛は変わり出す。
数年後、徳川家康の兵法指南役となった宗矩が再会した時、直盛は知り合いの娘を救うため、禁教令の中、キリシタンに入信してみせた。直盛は、そういう潔さを持っていた。
関ヶ原前夜、宇喜多家でお家騒動が勃発した時は、直盛は家中の動揺を抑え、宗矩と連携し、なるべく人死の出ないように動き、それに成功する。
関ヶ原の戦いが終わり、宗矩との縁で東軍に属していた直盛は、津和野を与えられる。新領地の藩主として、治政に取り組む直盛。その公正さと賢さは定評を得る。
その直盛を訪ねた宗矩は、家康からの密命を伝える。大坂に嫁した、孫の千姫を連れ出せ、と。直盛は大坂城、京と渡り歩き、元・宇喜多家の家老にして、キリシタン同門の親友、明石掃部の協力も得て、千姫を連れ出すための網を形成する。
宗矩と直盛が出会ってから二十五年後の一六一五年、ついに大坂の陣が勃発、その夏の陣で直盛は宗矩と共に大坂城に潜入、千姫を救い出す。
千姫救出の褒美として直盛が何を望んだのか知れずじまいのまま、宗矩は江戸に帰還する。
そして宗矩と直盛が出会って二十五年を越えた、一六一六年のこと――家康が死に、秀忠に悔やみを述べるために江戸に下向した直盛は、千姫救出の褒美が与えられなかった、話がちがうと激昂する。直後、千姫強奪未遂事件が露見する。
坂崎屋敷を訪ねる宗矩。彼は直盛がなぜ千姫強奪を目論んだかを看破し、直盛から家紋の二蓋笠を貰い受ける。
その真相を宗矩から聞いた按針は、コックスにその旨を報告すると、コックスはこれに徳(virtus)を認め、坂崎事件を本国に伝えず、通商相手として推すことにした。
以後も宗矩は二蓋笠を用いつづけ、今日――それは柳生二蓋笠と言われている。
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これを憂慮した按針は、宗矩を訪れ、直盛のことを知りたいと願った。宗矩もまた、コックスが、直盛は徳(virtus)が無いと英国に伝えるのを忍びず、直盛との出会いから語り出す。
一五九〇年、小田原征伐で出会った時の直盛(当時は宇喜多知家)は傲慢であったが、その傲慢のゆえに宗矩の肘打ちを食らった。このことで、直盛は変わり出す。
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その直盛を訪ねた宗矩は、家康からの密命を伝える。大坂に嫁した、孫の千姫を連れ出せ、と。直盛は大坂城、京と渡り歩き、元・宇喜多家の家老にして、キリシタン同門の親友、明石掃部の協力も得て、千姫を連れ出すための網を形成する。
宗矩と直盛が出会ってから二十五年後の一六一五年、ついに大坂の陣が勃発、その夏の陣で直盛は宗矩と共に大坂城に潜入、千姫を救い出す。
千姫救出の褒美として直盛が何を望んだのか知れずじまいのまま、宗矩は江戸に帰還する。
そして宗矩と直盛が出会って二十五年を越えた、一六一六年のこと――家康が死に、秀忠に悔やみを述べるために江戸に下向した直盛は、千姫救出の褒美が与えられなかった、話がちがうと激昂する。直後、千姫強奪未遂事件が露見する。
坂崎屋敷を訪ねる宗矩。彼は直盛がなぜ千姫強奪を目論んだかを看破し、直盛から家紋の二蓋笠を貰い受ける。
その真相を宗矩から聞いた按針は、コックスにその旨を報告すると、コックスはこれに徳(virtus)を認め、坂崎事件を本国に伝えず、通商相手として推すことにした。
以後も宗矩は二蓋笠を用いつづけ、今日――それは柳生二蓋笠と言われている。
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カクヨムとはちがって、確かに「?」ってなるところありますよね^^;
さて、おかげさまで完結いたしました。
坂崎直盛って、おっしゃるとおり、千姫事件で暴走して終了した武将、という認識をいだいておりました。
でもWikipediaなどで調べているうちに、賢君としての一面もあったと知り、じゃあ何で暴走したのか、というところを考えたところ、ひとつの想像を得ました。
今回、その想像を基に書かせていただきました^^;
また、あの柳生宗矩が、暴走した謀叛人の紋所を使うのだろうか、友誼を忘れないでいるのだろうか、というところが大いに助けになりました。
いつもは冷静な惣目付が、何だか熱い男に見えて来まして(笑)、こりゃあ書くしかないなと、筆を執った次第です^^;
BET全振りしていただき、嬉しい限りです。
こちらこそ、ありがとうございました!
完結お疲れ様でした!ちょっとバタバタしてしまいましたので読み返した時に改めて!😭
86位はスゴい!ワクワクですね✨️
おかげさまで完結しました!
お忙しい中、注目していただき、恐縮です^^;
また余裕のある時にでも、お読みいただけたら幸いです。
何とかこの順位ですが……果たしてどうなんでしょう^^;
ありがとうございました!
3BETしました。
微力ながら応援していますね。
恐縮です!
せっかくの記念のコンテストなので、参加させていただきました^^;
ありがとうございました!
ではではノシ
セミナリヨのくだりは、直盛さんが単なる猪武者じゃない、というところを描きたかったのです。
宗矩さんは宗矩さんで、単なる武芸者じゃいられない、というキッカケにしたくて……^^;
おりんさんについては、秀吉にとって特別な人の……まあ特別な人なんです^^;
お兄さんは、ちょっと切支丹にのめり込んでます。
だから秀吉が嫌になって家出したのですが……^^;
ありがとうございました。
設定濃いなぁ……キャラ息づいてるなぁ……読んでて楽しいです✨️
柳生宗矩が主人公なので、他のキャラクターたちも設定を濃くしました^^;
お楽しみいただけて幸いです。
ありがとうございました。
こちらにお越しいただきありがとうございます!
25周年記念ということで、こういう機会はまたとありませんので、参加させていただきました。
BETについては、実はよくわかりませんが、BETとお気に入り、ありがとうございます^^;
坂崎さんは、けっこう濃いキャラクターで、千姫にからんで事件を起こした、とされています。
この事件を調べていて、ちょっと思いついたことがあるので、書いてみたお話です。
お楽しみいただければ幸いです。
ありがとうございました!
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