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第四章 坂崎事件
24 友誼(ゆうぎ)の証(あかし)
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坂崎直盛は明石掃部という友の死に絶望し自責し、もうひとりの友であり最高の剣士である柳生宗矩による死を望んだ。
だが、生半可のことでは、この兵法家はキリシタンである事情を察したとしても、おのれを殺さないであろう。
であるならば。
「千姫強奪ならば、秀忠公はお怒りになる。台命(将軍の命令)が出る。わたしを、殺せと」
君命、もだしがたし。
宗矩はかならずや直盛を討ちに現れるだろう。
実際、そうなった。
「だというのに」
直盛は激昂した。
この会見において、始めて、激昂した。
「なぜに刀を置くのか。そなた、それでも将軍家兵法指南役かッ」
対するや宗矩はあくまで冷静に、静かに返した。
「坂崎出羽守直盛」
「…………」
「そなた、自害せよ」
「何だとッ」
こいつは。
よりによって、何ということを言うのだ。
ここまで。
ここまでやったというのに。
「そこまで台命が大事かッ……いや、台命はまず殺せであろう。あの陰険奸譎な秀忠のこと、そう申したに相違ないッ」
「そうでないと取り潰されるぞ」
直盛が硬直した。
その隙を。
宗矩はたたみかける。
「自害ならばそれはないと言質は取った。直盛、そなたの意地は見た。しかと見た。であるなら……あとは、立つ鳥跡を濁さずだ。息子や家臣たちに……咎を残すな」
無刀取りは柳生の真骨頂。
今こそ、無刀で取る時が来たと言わんばかりの、宗矩の言葉の刃だった。
「……が、わたしはすでに叛した身。兵を集めた。坂崎の兵を。つまり、坂崎の家として叛した。今さら自害したところで、あの秀忠公が、取り潰しから宥免するか」
それは至当な推察だった。
秀忠には、そうした酷薄なところがある。
父・家康の生前は、まだ遠慮があった。
だがその家康はもういない。
だとすると、いったい誰が。
「む」
そこまで考えて気が付いた。
そうか、柳生の剣は――そこで思考を中断する。
今は、直盛だ。
「いいか、坂崎どの。たしかに取り潰しは免れないかもしれない。されど……されど、ここでそなたが拙者に討たれ、坂崎藩もその党与ということで、取り潰されたら、それこそ何も残らぬぞ」
「何も、とは」
自害しようが討たれようが、その差はないではないか。
いったい、何が言いたいのか。
直盛の目が、そう語っている。
「聞け。坂崎出羽守直盛、汝はそもそも、なぜゆえに千姫を強奪しようとした」
「それは」
「待て。さらに言う。では、何のゆえをもって、大坂の城から千姫を連れ出そうとした」
「それは……」
何を今さら。
直盛はそういう表情をした。
ほかならぬ、宗矩がそれを言って来たではないか。
「わたしは……掃部を救いたかった。そのために」
「今ここで拙者に……公儀に討たれてみろ、それすらもなかったことになるぞ」
「何」
宗矩は言う。
ここで直盛が討ち果たされてしまえば、坂崎はその瞬間、家ごと滅ぶ。討滅される。
誰も、生き残れはしない。
されど、ここで自害すれば。取り潰されたとしても、それは藩という組織の終焉であって、藩の人々までは、終わりはしない。
「坂崎直盛がただ討たれた。そのついでで坂崎の家の者たちも死ぬ。それはあまりといえばあまりではないか……あれほど、大坂で奔走したというのに。あれほど、鯉を養殖したり、楮を育てたり、紙を作り売り、藩の者たちも頑張っていたというのに」
「…………」
直盛はうなだれた。
立藩以来、これまで藩を盛り立てて来た直盛だからこそ、付き従ってきた者たちの不幸はつらい。
しかし。
「かれらは、臣だ。あるじたるわたしが死ねというのなら」
「驕るなッ」
宗矩の剣が直盛を撃つ。
言葉の剣が。
「掃部をあれほど生かしたいといったおのれはどこへ行ったッ! そのおのれが、おのが臣を、死ねと言うかッ」
直盛は床に手を突いた。
完敗だ。
そう思った。
たしかに、驕りだ。
一方を救いたいと言いながら、それができないからと死ぬ。だけでなく、臣を――人を巻き込む。
「たしかに驕り。驕ったわ、宗矩……」
直盛の目から涙がひとすじ、ふたすじと流れ、ついにはわっと泣き出した。
室外に気配がする。
おそらく、直盛の臣たちも、泣いているのであろう。
「直盛」
宗矩はにじり寄り、泣きわめく直盛を掻き抱いた。
「おのれの家紋をくれ」
「何と」
直盛が泣きやむ。
坂崎家の家紋、二蓋笠。
かつては徳川家康によりまわった、栄誉ある家紋だったが、今となっては叛逆者の烙印ともいうべき家紋だ。
「なぜ」
「この宗矩、おぬしをただで死なせはせぬ。おぬしの子は守る。家臣たちも、できるだけ召し抱える。そして何よりおぬしが、おぬしが、顔を焼いてまでも女性を守り、莫逆の友、掃部のためにこうして戦ったことを残したい」
それに、と宗矩は思った。
秀忠が坂崎家を取り潰そうとした時、取り潰した時、この二蓋笠こそが秀忠を撃つ剣となろう。
それは直盛も思った。だから「いいのか」と聞いた。
宗矩は答えた。
「かまわない」
と。
*
長い長い語りが終わり、宗矩はふうと息をついた。
夜明けに尋ねた柳生屋敷は、今ではすっかり上がった太陽に照らされている。
もうすぐ、登城の時間だ。
「あの」
宗矩の語りを聞いていた按針は、言いたいことが幾つかあったが、まず何より聞きたいことがあった。
「ほんとうにその、二蓋笠の家紋をお使いになるのですか」
「むろん」
「ですが今の大君、秀忠さまは、さような真似をされたら、さぞかしご不快に思いましょう」
そして、宗矩もまた処分される。
按針は、それを危惧した。
「覚悟の上」
ああ、と按針は思った。
きっと、直盛という友は、そこまでの男だったのだ、と悟った。
ちょうどそこへ、宗矩の内儀・おりんが肩衣をもってあらわれた。
「できました」
「ありがたい」
按針が見ると、たしかに二蓋笠が縫い付けられていた。
宗矩は早速その肩衣を身につけ、おりんが家紋のあたりをよく見て確かめる。
「ちゃんとできているようです」
「でかした」
宗矩は微笑んだ。
まるで春風のような微笑みだった。
だが、生半可のことでは、この兵法家はキリシタンである事情を察したとしても、おのれを殺さないであろう。
であるならば。
「千姫強奪ならば、秀忠公はお怒りになる。台命(将軍の命令)が出る。わたしを、殺せと」
君命、もだしがたし。
宗矩はかならずや直盛を討ちに現れるだろう。
実際、そうなった。
「だというのに」
直盛は激昂した。
この会見において、始めて、激昂した。
「なぜに刀を置くのか。そなた、それでも将軍家兵法指南役かッ」
対するや宗矩はあくまで冷静に、静かに返した。
「坂崎出羽守直盛」
「…………」
「そなた、自害せよ」
「何だとッ」
こいつは。
よりによって、何ということを言うのだ。
ここまで。
ここまでやったというのに。
「そこまで台命が大事かッ……いや、台命はまず殺せであろう。あの陰険奸譎な秀忠のこと、そう申したに相違ないッ」
「そうでないと取り潰されるぞ」
直盛が硬直した。
その隙を。
宗矩はたたみかける。
「自害ならばそれはないと言質は取った。直盛、そなたの意地は見た。しかと見た。であるなら……あとは、立つ鳥跡を濁さずだ。息子や家臣たちに……咎を残すな」
無刀取りは柳生の真骨頂。
今こそ、無刀で取る時が来たと言わんばかりの、宗矩の言葉の刃だった。
「……が、わたしはすでに叛した身。兵を集めた。坂崎の兵を。つまり、坂崎の家として叛した。今さら自害したところで、あの秀忠公が、取り潰しから宥免するか」
それは至当な推察だった。
秀忠には、そうした酷薄なところがある。
父・家康の生前は、まだ遠慮があった。
だがその家康はもういない。
だとすると、いったい誰が。
「む」
そこまで考えて気が付いた。
そうか、柳生の剣は――そこで思考を中断する。
今は、直盛だ。
「いいか、坂崎どの。たしかに取り潰しは免れないかもしれない。されど……されど、ここでそなたが拙者に討たれ、坂崎藩もその党与ということで、取り潰されたら、それこそ何も残らぬぞ」
「何も、とは」
自害しようが討たれようが、その差はないではないか。
いったい、何が言いたいのか。
直盛の目が、そう語っている。
「聞け。坂崎出羽守直盛、汝はそもそも、なぜゆえに千姫を強奪しようとした」
「それは」
「待て。さらに言う。では、何のゆえをもって、大坂の城から千姫を連れ出そうとした」
「それは……」
何を今さら。
直盛はそういう表情をした。
ほかならぬ、宗矩がそれを言って来たではないか。
「わたしは……掃部を救いたかった。そのために」
「今ここで拙者に……公儀に討たれてみろ、それすらもなかったことになるぞ」
「何」
宗矩は言う。
ここで直盛が討ち果たされてしまえば、坂崎はその瞬間、家ごと滅ぶ。討滅される。
誰も、生き残れはしない。
されど、ここで自害すれば。取り潰されたとしても、それは藩という組織の終焉であって、藩の人々までは、終わりはしない。
「坂崎直盛がただ討たれた。そのついでで坂崎の家の者たちも死ぬ。それはあまりといえばあまりではないか……あれほど、大坂で奔走したというのに。あれほど、鯉を養殖したり、楮を育てたり、紙を作り売り、藩の者たちも頑張っていたというのに」
「…………」
直盛はうなだれた。
立藩以来、これまで藩を盛り立てて来た直盛だからこそ、付き従ってきた者たちの不幸はつらい。
しかし。
「かれらは、臣だ。あるじたるわたしが死ねというのなら」
「驕るなッ」
宗矩の剣が直盛を撃つ。
言葉の剣が。
「掃部をあれほど生かしたいといったおのれはどこへ行ったッ! そのおのれが、おのが臣を、死ねと言うかッ」
直盛は床に手を突いた。
完敗だ。
そう思った。
たしかに、驕りだ。
一方を救いたいと言いながら、それができないからと死ぬ。だけでなく、臣を――人を巻き込む。
「たしかに驕り。驕ったわ、宗矩……」
直盛の目から涙がひとすじ、ふたすじと流れ、ついにはわっと泣き出した。
室外に気配がする。
おそらく、直盛の臣たちも、泣いているのであろう。
「直盛」
宗矩はにじり寄り、泣きわめく直盛を掻き抱いた。
「おのれの家紋をくれ」
「何と」
直盛が泣きやむ。
坂崎家の家紋、二蓋笠。
かつては徳川家康によりまわった、栄誉ある家紋だったが、今となっては叛逆者の烙印ともいうべき家紋だ。
「なぜ」
「この宗矩、おぬしをただで死なせはせぬ。おぬしの子は守る。家臣たちも、できるだけ召し抱える。そして何よりおぬしが、おぬしが、顔を焼いてまでも女性を守り、莫逆の友、掃部のためにこうして戦ったことを残したい」
それに、と宗矩は思った。
秀忠が坂崎家を取り潰そうとした時、取り潰した時、この二蓋笠こそが秀忠を撃つ剣となろう。
それは直盛も思った。だから「いいのか」と聞いた。
宗矩は答えた。
「かまわない」
と。
*
長い長い語りが終わり、宗矩はふうと息をついた。
夜明けに尋ねた柳生屋敷は、今ではすっかり上がった太陽に照らされている。
もうすぐ、登城の時間だ。
「あの」
宗矩の語りを聞いていた按針は、言いたいことが幾つかあったが、まず何より聞きたいことがあった。
「ほんとうにその、二蓋笠の家紋をお使いになるのですか」
「むろん」
「ですが今の大君、秀忠さまは、さような真似をされたら、さぞかしご不快に思いましょう」
そして、宗矩もまた処分される。
按針は、それを危惧した。
「覚悟の上」
ああ、と按針は思った。
きっと、直盛という友は、そこまでの男だったのだ、と悟った。
ちょうどそこへ、宗矩の内儀・おりんが肩衣をもってあらわれた。
「できました」
「ありがたい」
按針が見ると、たしかに二蓋笠が縫い付けられていた。
宗矩は早速その肩衣を身につけ、おりんが家紋のあたりをよく見て確かめる。
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