失格冒険者の傭兵戦記

Wolf cap

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第9話 冒険者、あの日の記憶を

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「ギイギギギギギギィイイイィ!」

その鳴き声は村人達を戦慄させた。
来た、バンディットだ!
村から少し離れた畑だ!
俺は鳴き声の源へ急いだ。


畑に着くとそこは血の海になっていた。
全長2メートルほどの黒い怪物が村人を噛みちぎっている。
デバイスを起動して敵を調べる。
『人型のバンディット』長い腕を使って攻撃してくるのか。
数は5……これは俺一人では厳しいな……
俺はカバンの中をあさった。
なにか、なにか使えるものは!
すると小さな瓶が出てきた。これはダレンから貰った魔術獲得薬!
なんでもいい!俺に力をくれ!
俺は瓶の蓋を抜き、一気に飲み干した。すると視界に『付加魔術』が開放されたと表示される。弾丸にさまざまな効果を付与できるようになった。
よし、モタモタしていられない、これ以上の被害を防ぐんだ!
ライフルを構え魔術を発動する。

「弾頭付加魔術・ストライクジャケット!」

強力な反動ど同時に青い光を帯びた弾丸はバンディットの頭部を消し飛ばした。
すごい威力だ!

「ギィイィィィィ」

他のバンディット達は何が起こったのか理解出来ないようだ。村人を喰べるのを止めて辺りを見回している。
今度はこれだ。

「弾頭付加魔術・バーストジャケット!」

被弾したバンディットの胴体が膨れ上がり、破裂する。

「ギッギイギイイィイイイィ」

どうやらこっちに気がついたようだ。残り3体が走ってくる。

コッキング、次弾装填。

「もう一度だ!弾頭付加魔術・バーストジャケット!」

1体に命中し、爆散する。
よし!あと2体!

あれ?1匹しか居なくなってる。
しまった!

バチンッ!

すぐ耳の横で歯が噛み合う音がした。
とっさに右に避けてて良かった!
もう少しで噛み殺されるところだった。


「ゼロ距離でくらいな!ストライクジャケット!」

バンディットの頭部が消し飛ぶ。

「次!」

最後のバンディットはすぐそこまで来ていた。
ライフルを置き、腰の鞘からナイフを抜く。
ベク・ハイエナを相手にしてから覚えた近接戦闘を見せてやるよ!

「刀身付加魔術・カルマナイフ」

手の中のナイフが青い光を帯びていく。

「いくぞッ!」

右足で地面を蹴り飛ばし、バンディットに突っ込む。

「ギギギギギギアアアアアァアッァァァ!」

バンディットは咆哮を上げ、右手で攻撃してきた。
おもいっきり体制を低くして回避、バンディットの手が風を切りながら頭上を通過する。
そのまま前進し、距離を詰める。

「くらえぇぇぇぇぇッッッ!」

カルマナイフ、最大出力!
ナイフから溢れ出す魔力が煌々と青く輝く。
次の一撃が来る前に刺突、腹部を穿つ。
ナイフを引き抜くとそこには大きな風穴が空いていた。
まったく……強すぎだろ魔術……、ダレンに感謝しないとな。

村に戻ろう、被害を確認しに行かなくちゃ。
俺は急いだ。







「た……頼む……カーラとリーゼを助け出してくれ……」

村に戻るとボロボロになった村長が倒れていた。
上半身を起こすと声を振り絞るようにすがってくる。

「2人に何があったんだ!」

「あの兵達が連れ去ったんだ……」
「バンディットが現れたのにも関わらず奴らは酒を出せと要求してきて……それを断った2人は……あの山の中へ」

「……分かった……もう……喋らなくていい」

元の世界にいる時に1度だけ……たった1度だけ覚えたあの黒い感情がふつふつと蘇ってくる。
ああ……二度とこんな思いはしないと誓ったはずだったが……
村長を地面に優しく寝かせ、拳銃とナイフだけを持って村を出た。

「……冒険者は……失格だな」



デバイスによると軍の廃棄された小さな前線基地が山の中にある。
多分そこだ。そこに奴らは居る。

山の斜面を登っていると、草むらの中に人影があった。

「カーラ?」

「この……声は……アキ……ラさん?」

服ははだけ、半裸状態のカーラに昼間手当をしてくれた時の華麗な面影は無く、肌は傷だらけ。
切り傷、打ち傷、内出血。
傷口からは鮮やかな鮮血が流れ出していた。

「……誰にやられた」

「あの……兵士達……に」

「……わかった」

俺が治療をしようと、鞄から「応急処置キット」を取り出すと彼女は俺の手を掴んで止めた。

「私じゃなくて……娘をお願いします」
「娘を……助けてあげて下さい」

俺は応急処置キットをカーラの傍にに置いて立ち上がる。
ただ沸き上がる感情を増幅させながら旧前線基地を目指した。
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