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第4章 藤越の妹「愛良ちゃん」
藤越の自覚
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飲み会のすぐ後に愛良ちゃんと別れたという話を聞いた。それから間を置かずして藤越は母親と愛良ちゃんと一緒に暮らすようになった。二世帯で良和とゆっきーも一緒だという。藤越の家は渋谷からだいぶ離れた場所になったため、飲み会の頻度も少なくなった。
二人は兄妹として一緒にいることを選んだのかもしれない。藤越は長く続けていたラブホのバイトをやめ、就職したようだった。
総合格闘技のジムで働くことになったため、プロになるのかとみんな思ったが、選手のサポートの仕事だという。藤越は護身のために家出する前から独学で鍛錬していたようだが、それはスポーツの領域ではなかった。中島が透馬さんが怖いときがあると言っていたのも、藤越は現実への対処に優れているからで、決して遊びじゃない。あくまでもルールの中のお遊びでは、藤越は本気になれないようだった。
俺は相変わらずだったが、この前のことで藤越に合わす顔がなかったため、ほとんど飲み会は断っていた。
ただ、一緒に暮らしている愛良ちゃんのことが気になっていた。もし藤越が自分の気持ちに自覚したら、そのまま一緒に暮らせるのかと思ったのだ。だから俺は多少気まずくても藤越の様子を見に行かざるを得なかった。いや、俺がそう思っていただけで、藤越は以前と変わらず普通だったし、特筆するべきことは何もなかった。
俺はちょっと待ってと言ったけど、多分ちょっとどころじゃなかった。それまでに二年もかかったのだから、やっぱりちょっととは程遠い。
二十八になる年の秋ごろだった。藤越の髪の色が金髪を戻して黒くなった。そう連絡してきたのはいつもの通り中島だったが、就職先で何か言われたせいだともっぱらの噂だった。
俺は少し違うんじゃないかと思った。やっと愛良ちゃんのことを好きだと自覚したんじゃないだろうか。そもそも金髪に染めていたのはぼたんさんのせいだったのではないか。黒い髪の方がいいのに金髪にしてもったいないみたいなことをぼたんさんから聞いた記憶がある。もしかしてあいつはわざと金髪にしていたんじゃと思ったのだ。
藤越の様子を確認しに、飲み会に行くと、やはり態度がおかしかった。やたらため息をついたり、他の奴が話しかけても上の空だったりする。
俺は心配になった。でも、飲み会で他の奴らの見ている前で話しかけることはできなかった。
二人は兄妹として一緒にいることを選んだのかもしれない。藤越は長く続けていたラブホのバイトをやめ、就職したようだった。
総合格闘技のジムで働くことになったため、プロになるのかとみんな思ったが、選手のサポートの仕事だという。藤越は護身のために家出する前から独学で鍛錬していたようだが、それはスポーツの領域ではなかった。中島が透馬さんが怖いときがあると言っていたのも、藤越は現実への対処に優れているからで、決して遊びじゃない。あくまでもルールの中のお遊びでは、藤越は本気になれないようだった。
俺は相変わらずだったが、この前のことで藤越に合わす顔がなかったため、ほとんど飲み会は断っていた。
ただ、一緒に暮らしている愛良ちゃんのことが気になっていた。もし藤越が自分の気持ちに自覚したら、そのまま一緒に暮らせるのかと思ったのだ。だから俺は多少気まずくても藤越の様子を見に行かざるを得なかった。いや、俺がそう思っていただけで、藤越は以前と変わらず普通だったし、特筆するべきことは何もなかった。
俺はちょっと待ってと言ったけど、多分ちょっとどころじゃなかった。それまでに二年もかかったのだから、やっぱりちょっととは程遠い。
二十八になる年の秋ごろだった。藤越の髪の色が金髪を戻して黒くなった。そう連絡してきたのはいつもの通り中島だったが、就職先で何か言われたせいだともっぱらの噂だった。
俺は少し違うんじゃないかと思った。やっと愛良ちゃんのことを好きだと自覚したんじゃないだろうか。そもそも金髪に染めていたのはぼたんさんのせいだったのではないか。黒い髪の方がいいのに金髪にしてもったいないみたいなことをぼたんさんから聞いた記憶がある。もしかしてあいつはわざと金髪にしていたんじゃと思ったのだ。
藤越の様子を確認しに、飲み会に行くと、やはり態度がおかしかった。やたらため息をついたり、他の奴が話しかけても上の空だったりする。
俺は心配になった。でも、飲み会で他の奴らの見ている前で話しかけることはできなかった。
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