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第1章 再会と言う名の奇跡
人を好きになるということ
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寿司屋を出たら、藤越は神妙な顔をして言った。
「悪いけど、今日一日だけ付き合ってくれない?」と。
俺は返答に困る。一人だと寝れそうにないと言う藤越が、俺にはわからない。
「そんなに思い詰めるほど人を好きになるのってどんな感じ?」と聞いてみると、逆に聞き返された。
「高橋はいないの? そういう人」
「付き合ってた奴はいたけど、一ヶ月で別れたし、別に好きじゃなかった」
中学の卒業前にクラスの女子に告白されたのだ。だからなんとなく付き合ったのだけど、俺がこまめに連絡しなかったり、デートでラブホに行こうとしたら「そんな人だと思わなかった」と言われて振られた。別にどうでも良かったけど、結局やれなかったし時間の無駄だった。
そんな話をすると藤越には最低だと言われたけど、男なんてそんなもんだろと思った。
「じゃあ童貞君?」と聞かれたが、否定する。
十四の時にクラスの女子に誘われて学校でやったことを思い出す。藤越には「学校なんかでできるの?」と聞かれた。使われていないような教室でやったと説明するが、興味はなさそうだ。
藤越はおかまと初めてやったというので、若干ひいたら、「喧嘩売ってる?」とすごまれた。
慌てて謝るが、藤越の態度が怖い。本当に本気だったんだなと思う。
もう一度好きになった理由を聞いてみると、「わかるわけないじゃん」とのこと。一層わけがわからない。
藤越が言うには、「理由なんてのは全部後付けなの」という話だった。
やっぱりよくわからない。
「ぼたんさんに言わせると男は成長が遅いんだって。だから高橋だってこれからあるんじゃない?」
とかなんとか言う。俺は自分がそんな風に人を好きになることなんて全く想像できなかった。
その後一緒にビジネスホテルに泊まった。
藤越はきっと一人になりたくなかったんだろう。誰でも良かったのだ。俺じゃなくても、誰でも。
たまたま振られた時に俺が居合わせたから俺を誘っただけで。
そう思うと気に入らなかった。どうしてそれが気に入らないのか、自分でもよくわからなかった。
次の朝、チェックアウトしてマックで朝食を食べながら、俺は藤越に家に帰ると告げる。
俺は藤越みたいに一人でやっていくなんて到底無理だし、母親との喧嘩は結局ささいなことだ。
一週間とか家出してそれで帰るなんて馬鹿みたいだと自分では思っていたけど、藤越は笑わなかった。
夕方になると藤越はおかまバーのアルバイトに戻っていった。
帰っていいと電車賃をくれたが、俺は仕事が終わるまで待つことにする。
藤越の仕事は深夜も過ぎて明け方近くになったけど、俺は待っていたかった。
ただ単にここで終わりにしたくなかったのだ。
「悪いけど、今日一日だけ付き合ってくれない?」と。
俺は返答に困る。一人だと寝れそうにないと言う藤越が、俺にはわからない。
「そんなに思い詰めるほど人を好きになるのってどんな感じ?」と聞いてみると、逆に聞き返された。
「高橋はいないの? そういう人」
「付き合ってた奴はいたけど、一ヶ月で別れたし、別に好きじゃなかった」
中学の卒業前にクラスの女子に告白されたのだ。だからなんとなく付き合ったのだけど、俺がこまめに連絡しなかったり、デートでラブホに行こうとしたら「そんな人だと思わなかった」と言われて振られた。別にどうでも良かったけど、結局やれなかったし時間の無駄だった。
そんな話をすると藤越には最低だと言われたけど、男なんてそんなもんだろと思った。
「じゃあ童貞君?」と聞かれたが、否定する。
十四の時にクラスの女子に誘われて学校でやったことを思い出す。藤越には「学校なんかでできるの?」と聞かれた。使われていないような教室でやったと説明するが、興味はなさそうだ。
藤越はおかまと初めてやったというので、若干ひいたら、「喧嘩売ってる?」とすごまれた。
慌てて謝るが、藤越の態度が怖い。本当に本気だったんだなと思う。
もう一度好きになった理由を聞いてみると、「わかるわけないじゃん」とのこと。一層わけがわからない。
藤越が言うには、「理由なんてのは全部後付けなの」という話だった。
やっぱりよくわからない。
「ぼたんさんに言わせると男は成長が遅いんだって。だから高橋だってこれからあるんじゃない?」
とかなんとか言う。俺は自分がそんな風に人を好きになることなんて全く想像できなかった。
その後一緒にビジネスホテルに泊まった。
藤越はきっと一人になりたくなかったんだろう。誰でも良かったのだ。俺じゃなくても、誰でも。
たまたま振られた時に俺が居合わせたから俺を誘っただけで。
そう思うと気に入らなかった。どうしてそれが気に入らないのか、自分でもよくわからなかった。
次の朝、チェックアウトしてマックで朝食を食べながら、俺は藤越に家に帰ると告げる。
俺は藤越みたいに一人でやっていくなんて到底無理だし、母親との喧嘩は結局ささいなことだ。
一週間とか家出してそれで帰るなんて馬鹿みたいだと自分では思っていたけど、藤越は笑わなかった。
夕方になると藤越はおかまバーのアルバイトに戻っていった。
帰っていいと電車賃をくれたが、俺は仕事が終わるまで待つことにする。
藤越の仕事は深夜も過ぎて明け方近くになったけど、俺は待っていたかった。
ただ単にここで終わりにしたくなかったのだ。
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