侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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ドレスの選定!

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「ごめんなさい! お待たせしてしまったかしら?」

 今日はお待たせしてばかりね! 申し訳ないわ……

「いいえ。時間通りでございます。様々な種類のドレスをご用意致しました。気に入ってくださるものがあると良いのですけど……お嬢様の金糸の様に艶やかな髪には、若々しいパステルカラーがお似合いですわ!」


 トルソーに着せてあるドレスを見る。



 ブルー・イエロー・ピンク・グリーン




 たしかに若い令嬢が好んできそうな色合い。フリルにたっぷり使われたレースにスパンコールまで付いたものもある。


「目がチカチカするわ……」



 苦笑いしながらそういうと、

「若い時にしか着られないドレスですわ! ご令嬢達の特権です」


 確かにそうね。パステルカラーのドレスを着た令嬢は花に例えられることがあるもの。色とりどりの花達がーってね。

 その中で選ばれる一輪の令嬢って言うのに憧れていたのよ。


「……他の色は無いのかしら? パステルカラーももちろん素敵だと思うけれど、大人っぽい色合いのものはない? 私も16歳になったから大人のドレスに憧れているの」

「お嬢様もお年頃ですものね! それでしたら……」

 付き人の様な人に目配せすると奥の方からトルソーに着せてあるものとは異なる色合いのものを出してきてくれた。



 紫・紺・黒・ワインレッド……

 おぉー! すごい大人っぽいわ! 紫色とかってなんだか悪そうなイメージ! 目線を横に流しておホホホホ……って扇子で口を隠して! ってこれよ! これ!
 
 マデリーンに借りた【悪役令嬢】が出てくる本で主人公に嫌がらせをする悪女っぽい!
 【悪役】って言われるけれど芯が強くてかっこいいのよね! 


 婚約破棄されたりするけれどその後は自立して暮らしたり、スローライフを満喫したり! まぁ時には死んでしまう事もあったりするんだっけ? でも壮絶ないじめさえしなければ、大丈夫よね? 


 悪役令嬢に私がなって、他の婚約者候補の方に殿下の婚約者になって貰えば良いじゃない! 私って天才かも!!

 まぁ選ばれるとも思わないのだけど、念には念を……


「お嬢様、こちらのドレスはやはりお気に召さなかったようですね、片付けて、
「気に入ったわ! 素敵じゃない? この紫のドレスの肩のラインも流れる様なデザインで素敵よ!」


「まぁ! ありがとうございます。こちらのドレスには大きめのペンダントがお似合いですわ! 鎖骨がより美しく見えますわ」

「そうね。宝石商に注文するわね! あとこの紺色のドレスも良いわね」


 星を散りばめた様にパールが縫ってある! これは明らかに高価なものだ! 金のかかる女だと思わせるには十分なドレスよ!


「ありがとうございます。お嬢様でしたら何を着てもお似合いになると思います! こちらのワインレッドのドレスはいかがですか?」

 赤ワインの様な深い赤色と黒いドレスはフレデリック殿下を思い出す色味だからやめておきましょう!


「素敵だけど着こなす自信がないわ……。あら、このベージュイエローに金色の刺繍が施してあるドレスは? 刺繍が浮き出る様で素敵ね! これは蘭ですか?」



「さすがお嬢様です。お目が高いですわ! 職人が丹精込めて一針一針縫い上げています! 蘭の花言葉は美しい淑女という意味を持ちます。まるでお嬢様の様です!」



 ……褒め上手ね! 上品だけど華美。このドレスも購入決定ね! 
 こういうドレスも入れておかないと後からお父様に何かと言われそうだもの。

 フレデリック殿下の前で着るか着ないかは置いといて、水色のシンプルなAラインのドレスが気に入ってそれも購入した。やっぱりシンプルなドレスの方が動きやすいし、色合い的にも軽やかな感じがするわ!

 水色は好きな色だし、私の瞳の色も青系だし勧められる色でもある。



「この素材も素敵ね。光の加減によって色合いが違って見えるわ」


 シルク素材のドレス。シンプルに見えて高いわね~。ドレスを買って経済を回すとお父様が言ったのだから気に入ったものは購入よね!


 普段着用のちょっと良いワンピースも新調した。今まで好んでいた可愛い系の色合いではなく落ち着いた色合いのものを選んだ。

 ボートネックの藍色ベロアワンピースや白襟のついた紺色のワンピース。

 今までのイメージを払拭する様なデザイン!


「たくさんご購入いただきましてありがとうございました。お嬢様の体型に合う様に直してからお届けしますわ!」


 さぁ、次は宝石商ね!


「お嬢様、本日はこちらの品をお持ちいたしました」

 この夫婦相変わらず買わせる気満々ね! でも今日は買うわよ! 机の上にこれでもか! と言う感じで並べられた目がくらむ宝石類


「あ! これ可愛い」

 星のチャームが付いたシンプルなネックレス。

「シンプルですが、ブルーダイヤモンドを使用しています。今後価値が上がりますよ」

 これは買いね!

「そうだわ! パールはあるかしら?」

 紺色のドレスに合わせたい。

「もちろん最高級をご用意しております」

 パールのアクセサリーを並べ始める、宝石商の夫婦



「あら、可愛いわ!」

 最高級のパールを使っていると言う。レースの様に編んであるデザインだ。


「こちらは首元をより美しくお見せするための工夫がーー」

 とパール蘊蓄を聞かされたところで、ネックレスとブレスレットとイヤリングをセットで買った。


 宝石商の持ってきた宝石類は16歳の私向けのものかと思いきや大人顔向けの物も多いようだ。

 お父様は好きに買って良いと言っていたわね!

 アクセサリーは可愛いものでも良いでしょう。リボン型に加工されているパールやサファイア、アクアマリン、ピンクサファイア、ダイヤモンド……

 ドレスに合いそうなものを購入した。

「こんなに! ありがとうございました。第一王子の婚約者候補に選ばれたとお聞きしました。お妃様になられても我が宝石商をご贔屓に!」


 ほくほく顔で夫妻は帰って行った。


 これでヨシ! 今日の仕事は終わりね。


 マリーにお茶を頼んで自室に戻ると


「お嬢様、お手紙です」



 トレーに乗せて執事が持ってきた一通の手紙。マデリーンからの返事だった。






 
 













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