侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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学園へ行きます!

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「リリーおはよう!」

「あ! マデリーンおはよう。この前の手紙の、」

 しーっ! と人差し指を口の前に立てられた。あ。内緒だった。ここは噂好きが多い学園内! 

「ごめんなさい。迂闊だったわ」

「分かればよろしい! ランチの時間にでもお話ししましょう」


 ウィンクされた。マデリーンはどんな仕草でも美しいわね。

「行きましょう!」


 マデリーンに腕を組まれた。周りにいる男子生徒がマデリーンを見ている。少しきつめの顔つきだけどゴージャスな顔立ち! 目立つに決まっているわね。

 シルバーの髪はカールが掛かっていて、グリーンの瞳はどんな宝石を持ってきても敵わないんじゃないかと言うくらいに輝いている。羨ましい……


「なに?」

 マデリーンが不思議そうな顔で聞いてきた。


「みんなマデリーンを見ているわ。あなたは目立つもの」


「ふふっ、ふふふ……まぁそう言うことにしておきましょう」

 楽しそうに笑うマデリーンを見てちょっとムッとしてしまった。

「なぁに? 間違ったこと言った?」


「いいえ。リリーは相変わらずだと思ってね。私たち、ほら、婚約者候補に選ばれたからみんなが見ているのでなくて?」


 あぁ、そうだった! ここ2日間悩んでいたのに学園に着いたら忘れていたわ! そう考えると学園にいる間は楽じゃないの! 学園生活を楽しまなくてはいけないわね。

 授業が始まり、そして待望のランチタイムとなった。


「リリー今日は中庭で食べましょう」


 食堂でランチをする日もあるけれど、日差しが心地よいと中庭で取る時もある。
 人気の場所はすぐ埋まってしまうけれど、今日は内緒話もあるので人気の少ない場所へ行くのだそう。


「この辺りはお花が少ないでしょう? 人が居なくて良いわね」


 ベンチに横並びで座って屋敷のシェフが作ったお弁当を広げた。

 今日のランチはなんとほうれん草とベーコンのキッシュ! 

 保温されたお湯を取り出して紅茶も淹れた。淹れたての紅茶は香りも良いわ!

 お湯は食堂で貰ってきたから淹れたてのお茶が飲める。

 二人分用意された食後のクッキーをマデリーンに渡した。食べきれない場合は持ち帰って貰おうと個別になっている。


「リリーの家のシェフの作るクッキーは美味しいわね。明日はうちのシェフに頼んであるから持ってくるわね」


 食後のデザートタイムは二人の楽しみでもある。お互いにお菓子を持ち寄っていたけれど、毎日は大変だからいつの間にか1日おきに当番制となった。

 シェフに大変でしょう? と伝えたら『お嬢様の友人にも召し上がっていただけるのなら喜んで!』 と言ってくれる。

 それにお弁当は好きなものを作ってくれるので毎日登校の楽しみになっている。

 食堂で注文することも出来るのだけど、人が多いし、量も多い。
 もちろん出されたものは食べるけれど(残すなんてとんでもない!)昼からの授業は眠気との戦い! 

 注文のために並ぶ時間を考えると持って行ったほうが良い。と女生徒は家から持ってくることが多いみたい。


「いつもありがとうと伝えてね!」


 二杯目の紅茶を淹れた時マデリーンがようやく例の話を口にした。


「リリー手紙の事だけどね」

「うん、例の彼のこと教えてくれる?」

 人が居ないとはいえ声は抑えめに答えた。マデリーンが言うには幼い頃に家族で外国で暮らしていた時に、その国の侯爵家のご子息と仲が良かった様で将来は一緒になりたい。と両家も賛成していたんですって! 

 でもその後その国は内乱があって婚約どころではなくなったらしく、今に至る。

 でも手紙のやり取りはしていて(手紙はお互いの家同士の手紙の中に同封してあるそう)気持ちは切れていないんですって! 

 何年も会っていないのにロマンチック!


 内乱も漸く落ち着き、その国の貴族の当主が内乱後を落ち着かせるために、当主交代があった! マデリーンのお相手も若いながら当主になるんですって。
 それでばたばたとしていたら、婚約者候補に選ばれてしまって、まぁ、大変!


「リリーはどうしてフレデリック殿下と婚約したくないの? 名誉な事じゃないの。留学先から戻って来られたばかりなんですってね?」


 もう帰ってきたのか! もうすぐ帰ってくるから来月婚約者候補が順番に会うんじゃなかったのね! 

「幼い頃のフレデリック殿下と面識があるんだけど、良い思い出がなくて苦手なの。あんな意地悪な人と将来を共に……なんて無理なの」


 ここも小声で……いくら学園でマデリーンと二人だけとはいえ不敬罪と問われれば……まだ若いもの死にたくはない!


「幼い頃って……人は成長するものよ。殿下もきっとリリーには心を許していたから、」

「違うの! マデリーンも会ってみると分かるわよ! だから私は今までのイメージを変えるの。婚約者候補の伯爵令嬢と子爵令嬢には頑張ってもらって、私がサポートするのよ!」

 ふん! と胸を張る

「サポートって……何をする気よ?」

「ふふっ私には秘策があるの! 聞きたい? 私は悪役令嬢になるの!」




「悪役令嬢? リリーが?」

 ぷっくっくっく……と笑うマデリーン

「なによ!」

「はぁ。笑ったわ。リリーが悪役令嬢にねぇ……」







 目頭に溜まった涙を指で抑えるマデリーン。失礼ね!






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