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子息の方とお喋りしました!
しおりを挟む※後半からリリアン視点です
「何か用?」
俺がそういうと
「……はい、もしかしてここにハンカチがないかなと思って」
美しい声だと思った。会話をするのも目があったのも初めてだった。少し驚いている様子が窺える。もっと優しく声をかけた方がよかったのかもしれない!
「もしかしてこれかな? ここに落ちていたんだ。誰の持ち物か分からなかったから、落とし物として届けるつもりでいたんだ」
ベンチから立ち、ハンカチを差し出した。
「あ……わたくしのものです。ありがとうございます」
彼女はハンカチを受け取りぺこりと頭を下げ礼をした。
上目遣いで、感謝の意を伝えるサレット侯爵令嬢……反則だろ!
可愛いじゃないか!
「い、いや、見つかって、良かった。リリーとは君の事?」
やばい。顔が赤くなってはいないだろうか……
「はい。わたくしはリリアン・サレットと申します。1年です」
うん。知っているよ、この学園で君のことを知らない男はいないからね……
「1年生だったのか。どうりで見ない顔だと思った。あ、すまない私はキリアン・モントール。2年だ」
「モントール……公爵家の」
「知っているの?」
「4大公爵家の……失礼致しました」
そう言って淑女の礼をするリリアン。確かサレット夫人はマナーの講師を務めている聞いた。完璧な淑女の礼だ。
「ここは学園だから、仰々しい挨拶は必要ない。頭を上げて、サレット嬢は侯爵家だよね? 君の兄のシルヴァン殿とは顔見知りなんだ」
「まぁ! 兄がお世話になっております」
素直に頭を上げて返事をするリリアン。
「同じ学生なんだから畏まらないでくれ。私も学園では肩の力を抜きたいんだ」
学園にいる間は皆と同じく学生だ。学園にいる間は身分も問われない(はず)
「ハンカチを拾ってくださってありがとうございました。何かお礼をしなくてはいけませんね」
顔をピンクに染めるリリアン。可愛いな。絶対男慣れしていない! これが演技なら大したものだけど……
「お礼だなんて良いよ。ただ拾って少しの間保管していただけだ。このハンカチの刺繍はサレット嬢がしたのか?」
「はい。まだまだ下手っぴなんですけど」
下手っぴ? ぴってなんだ! 可愛すぎだろ!
「とても丁寧な刺繍だと思った。下手とかそう言うのは残念ながら私には分からないけれど、すごいと思うよ」
下手ではないことは分かるし丁寧だと思った。几帳面と言うか、ハンカチを見てそう思うくらいだから性格もそんな感じなのかな?
「ありがとうございます。褒められ慣れていないので嬉しいです」
「君の周りは皆目が曇っているんだろうね」
と言って笑ったら、リリアンも照れ臭そうに笑った。
「公子様は褒め上手ですね。そしてお話も上手です」
「ん? 私の話になったの?」
「恥ずかしながら、年頃の子息とお話しするのは公子様が初めてで……緊張しているんですが公子様はお話上手なのでつい長く話し過ぎてしまいました」
……おいおい、なんて? 年頃の子息と面識がないどころか話すのが初めてって……
「そうか。それなら私と友達になる?」
友達から始めたら楽しくなるかな?
「え! 公子様と? それは困りますっ! 公子様とわたくしでは身分が、」
頭を振り手も振る。忙しそうだなぁ。体全体で拒否らなくても良いのに……
「友達なんだから公子様はやめてもらおうか。キリアンでいいよ」
早く呼んでくれ! 名前で呼ばれたいと思って何が悪い!
「キッ、キリアン様っ!」
「お、いいね。私もリリアン嬢と呼ばせてもらって良い?」
「ハッ、ハイ!」
「よし、ちょっと強引だけど今日から友達としてよろしくね。リリアン嬢」
「はい、キリアン様」
にこっと笑うリリアン。可愛いじゃないか!
「もう下校の時刻だけどこんなところで油を売っていて良いのか?」
「あ! 迎えが来てる頃です」
「遅くなると家族が心配されるよ。早く行きな」
「はい。ありがとうございました。失礼しました」
ペコリと頭を下げて足速に去って行った。ハハッ。なんとかお近づきになれた!
放課後ここに来て正解だったな! こんな事を知られると気持ち悪がられるだろうから言わないでおこう……。
二度と待ち伏せはしない!
******
【異性の友達が出来た!】
16年生きてきて初めての出来事だった。ちょっと緊張したけれど、子息と話が出来て良かった! 家に帰りちくちくと刺繍の続きを始めた。
「それにしても良い人そうだったなぁー」
ふんふん♪ と鼻歌を歌いながらちくちくと刺繍のスピードが上がっていた。
「誰が良い人だって?」
「え? 新しい友達が、ってきゃぁっっ!!」
後ろを振り向くとシルヴァン兄様が私の座るソファの後ろに立っていた!
私の悲鳴で耳がキーンとしたみたいで、耳を押さえている。申し訳ないと思うけど急に声をかけてきた方が悪いわよね?
「針で指を刺したらどうするんですか!」
「随分なご挨拶だね? リリー!」
テーブルを挟んだ向かいのソファに腰掛ける兄様。
「だって驚いて、ごめんなさい」
「いや、急に声をかけて悪かったね。指を刺さなくて良かったよ。ところで誰が良い人そうだって?
「お友達が出来ました!」
「へー。良かったな。マデリーン嬢とばかり連んでいるお前に友達とは! どこの令嬢だい?」
侍女のマリーが兄様にもお茶を出してくれて、カップを持ちお茶を飲もうとした時
「令嬢? ではなさそうです」
「はっ?」
兄様の手が止まった。
「……まさか! 男?」
「はい、今日お友達になりました。良い人そうでしたよ」
「どこのどいつだ! 名前は!」
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