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紳士だそうです!
しおりを挟む「フレデリック殿下は素敵な方ね! 私に想い人が居なかったら惚れてたわ!」
ふふっと笑うマデリーン。婚約者候補としてフレデリック殿下にお会いしたようだ。
「へーー」
フレデリック殿下は素敵な方だそうです! 私には分かりませんわ。
「リリーの話も出たわよ。久しぶりに会うのを楽しみにしているって」
「へーー。社交辞令だわね」
「もうっ! どうしてリリーは私の話をまじめに聞いてくれないの!」
「ごめんなさい。そう言うつもりではなかったの。私ももうすぐ順番が回ってくると思ったら、ちょっと」
これは反省すべき点ね。せっかくマデリーンが話をしてくれているのに、失礼よね。
「わかってくれたなら良いわ。リリーとは親友ですって言ってあるからね。ふふっ。するとね、フレデリック殿下はリリーの事ばかり聞いてくるのよ」
「……弱みでも握ろうとしているのかしら。それでまた嫌がらせを、」
「バカっ! フレデリック殿下はそんな方ではないわよ。最初から最後まで紳士だったわ」
「紳士だったらマデリーンといるのに私の話にならないでしょう? マデリーンに失礼じゃないの」
「そこは私が不快に思わなかったから良いわよ。殿下が留学に行くきっかけになったのはリリーなんですって」
「へ? わたし? なんの事?」
「知りたかったら直接殿下にお聞きすると良いわ。それとリリーが思っている殿下との思い出と殿下が思っているリリーとの思い出の内容が少し食い違っているようなのよね……」
「よく分からないわね」
「まぁ良いわ。私が殿下に対して思った感想は一途って事!」
******
「ねぇ兄様、フレデリック殿下の婚約者候補の方ってマデリーン以外にどう言う方なの? 違う学園の方?」
子爵令嬢は年齢的にも学園を卒業している歳だろうし残り二人の伯爵令嬢の噂を聞かないわ。
「そうらしいよ。剣術大会を合同で開いている学園があるだろう? その学園に通っているようだよ。東の領地を持つ伯爵家の令嬢と、西の領地を持つ伯爵家の令嬢らしい。東の領地を持つミロー伯爵は最近事業がうまく行っているみたいだね。西の領地を持つジャド伯爵は質実剛健ってとこかな」
「王都からは少し離れた領地なのね。子爵家の令嬢はどう言う方?」
「リリーはそんなにフレデリック殿下の婚約者候補が気になるのかい?」
「そんなんじゃないってば!」
「まぁリリーも数年ぶりに会うんだから、楽しみにしていると良いよ」
「……兄様はお会いしたの?」
「あぁ、実は今日お会いしたんだ」
そんな話聞いてなかったのに! 内緒にされていた気分だわ! 少しむくれた顔をすると
「偶然会ったんだ! そんな顔するな。その時に少し話をしたんだよ」
「本当? なんか隠し事してない?」
「してないって! 殿下は明日、二人の伯爵令嬢とお会いするようだ。その次は子爵令嬢、最後はリリーだ。久しぶりに会って話をすると良いよ。なんか誤解があるかもしれないと私は思った」
「兄様? マデリーンと同じ事を言うのね」
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