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5人の令嬢(子爵令嬢)
しおりを挟む「リリアン! またそんなドレスを……」
殿下とのお茶会の日。紫色のドレスを着た。今度は腰まで伸びた髪はそのまま。赤いリップは付けていないわ。
垂れ目はメイクをしてもキツくならないんだもの!
大体悪役令嬢役の出てくる本のヒロインは大きな瞳の垂れ目が多い。(偽ヒロインも含めて)それでもって性格は悪い。
愛らしさで性格の悪さがカバーできるのだそう。
だからマデリーンは、垂れ目の私にそのままの方がきついことを言っただけでも、相手に大きなダメージを受けさせることができると、アドバイスをくれたのだった。
「せっかくお父様が買ってくださったのにお披露目しないと勿体無いもの」
胸にはピンクダイヤモンドの首飾り。ハートのカッティングが可愛いの!
金額は……プライスレス?
請求書を見て怒られなかったところを見るとセーフなんでしょう? 私は金のかかる女なのですわよ。
オホホホホっーー!
「リリアンのクローゼットにある似合わない先日のドレスやこう言った類のものは全て没収!」
私付きのメイドにお父様が言った!
えっ! 勿体無いわ!
「「「かしこまりました」」」
え! みんなも同調!
「着替えてこいっ!!」
メイド達にに半ば無理やり部屋まで連れて行かれた。
結局蘭の刺繍の入った先日購入したドレスに着替えさせられた。
「まぁ、リリアン素敵じゃない! 随分と垢抜けて大人っぽく見えるわよ!」
「うむ。断然似合っている」
え! 紫より?
「……行ってきます」
このシンプルなドレスの方が垢抜けて見えるの? そして大人っぽくみえるとな!
私はまだまだ人としての修行が足りないようだ……
髪はハーフアップに纏められ、そんなに紫が好きならとアメジストで出来ているバラの髪飾りをお母様が出してきてくれて(お母様の私物)ハーフアップの三つ編み部分にぶっ刺してくれたのだ。
華やかさがアップしたわ!
でも怒っていたのか【ぶすっ!】っと刺す音が聞こえたの……あの勢いで角度を間違えたら、頭に刺さって出血多量であの世行きもあり得ると思うの!
それでなくても傷物令嬢よ! そうなったら殿下の婚約者候補からは外れる!!
そんな事を考えていたら王宮に着いてしまったわ。案内された部屋に入ると私が最後だったみたい! まだ余裕のある時間帯なのに。マデリーンが私に気が付いて手を振ってくれたわ。
「私、時間を間違えたのかしら!」
もし遅刻をしたとするなら理由は両親に着替えろと言われたからよね!
「いいえ。今日は道が空いていたから思っていたよりも早く着いたのよ。それにしても今日のドレスすごく素敵よ! やめたの? 例の……」
「何を言っていますの! 決行ですわよ」
「そうですの。それは失礼いたしました」
マデリーンの座っている長椅子の隣に腰を降ろした。すると殿下の遣いという方が入ってきて
「少し会議が長引いています。もう少しお待ちくださいませ。こちらにある器具はご自由に使っていただいて構いません」
深々と頭を下げて立ち去っていった。
周りを見ると他の候補者の方と目があった。こういう場合は爵位が高いものから低いものに声をかけるべきよね。と思ってマデリーンを見たら同じことを考えていたようで、頷いたから声をかけようとしたら。
「あ、私お茶を淹れますね!」
子爵令嬢が第一声をあげたのだ。そして
「私はアデル子爵の娘でゲランです」
彼女が噂の美しすぎる子爵令嬢ね。ちょっと露出が……と言うかダイナマイトなバディだから溢れてくるのかしら?
それにしても肩の露出だけであんなに文句を言う私の両親のことを考えると、このドレスは……子爵に怒られないのかしら?
その後コホンと咳払いをしてマデリーンが自己紹介をそして私も、その後は伯爵家の令嬢達が自己紹介をした。
みんな美しい令嬢だわ。
「私が一番下の爵位だからこういう時は私がお茶を淹れなくてはなりませんね」
子爵令嬢。やる気に満ち溢れている。
「ありがとう。お手を煩わせましたわね」
悪役っぽい台詞を返したわ! 上の爵位のものが下の爵位の人をアゴで使う感じね。(親のおかげよ! 私は何者でもないのに)
「いいえ、お口に合うと良いのですが」
せっかく淹れていただいたのだし、一口……なにこれ! 一言で言って不味いわよ!
「どうですか?」
皆さんにお聞きしているのだけどマデリーンも眉を顰めたわ! 伯爵令嬢二人は……飲んでいる!
「申し訳ないのだけど正直言って美味しくないわ。どうしたらこんなお茶が淹れられるのか不思議だわ……」
悪役っぽいわ! でも真実!
「どこが悪いか教えてください! そうじゃないと分かりませんわ!」
言うじゃないの! この娘! って言おうと思ったけれど私の方が歳下だったわ。
娘って……社交界デビューもまだの私に言う権利ないわね。
「失礼ながら、温度が低すぎるの。それにより茶葉が開ききっていないから香りも良くないわ。お貸しなさい! わたくしが手本をお見せいたしますわっ」
そう言ってお茶の美味しい淹れ方をレクチャーした。お母様はマナー講師をしているしお茶を淹れるのも上手で私も自ずと身についた。
蓋をして蒸らす。砂時計を見て、良い頃合いで
「これで良いわ」
そう言って5人分のお茶を入れ直した。
「美味しいっ!」
子爵令嬢、伯爵令嬢達も驚いたわ!
もちろんマデリーンは通常営業ね。優雅に口に運んでいるわ!
「練習してみますわ。口で言われてもわからないけれど実際に目にしたら何が良くなかったか分かりました」
あれ? 怒らないの? 小娘にバカにされたのよ! って何その目……嫌な予感っ!
「そう? それは良かったわ。殿方に紅茶を淹れて差し上げればきっと株が上がりましてよ。ホホホホホっ」
扇子を取り出し高笑いよ!
尊敬の眼差しを見せる子爵令嬢! ってだめよ! 私はあなたを陥れたの! でも美味しいお茶を殿下に淹れて差し上げて!
さっきのお茶では相手にされませんわ! それにしても……
「……ゲラン嬢、先ほどから気になって……少し胸元が空きすぎではないかしら? それでは身体で殿下を陥落しようとしているように思えて、」
恥ずかしいことを言わせないでよ。でも言わなきゃ! それでこそ悪役令嬢よ。顔が美しいのに露出しすぎだと勿体無いわ! 自分を安売りしているように思えるじゃないの。ってお節介ぃ!
悪役令嬢ってもしかしてお節介で自分から悪い方向へ向かっているんじゃないの! 廊下を走らない。とか、語尾を伸ばさない。とか注意しているもの。小言を言うお母様よ! お節介で煙たがられているのよ!
「アドバイス頂きありがとうございます。私もそう思います。父に言われるままドレスを着ているのです。父は私の容姿で高位貴族を捕まえてくるようにとこのようなドレスを用意するのです。でも声をかけてくるのは下劣な男ばかりで。サレット侯爵令嬢の姿を見ていたらそうではないと思い知らされましたわ」
がしっと手を掴まれた。
えっ!
「応援しますわ!」
なんのことっ!
「良かったわねリリー」
「なんのこと、ですのっ?」
「この件が落ち着いたら一度相談に乗ってくださいませ。サレット侯爵令嬢」
ウィンクをされてしまったわ。それにしてもゲラン嬢香水が少しきついわ……お茶の香りが楽しめないじゃない!
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