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マデリーンから話があるそうです!
しおりを挟む「殿下の婚約者候補を辞退したの」
1週間後学園に行くと開口一番マデリーンがそう告げてきた。
「え! ズルい!」
「それで来月、殿下の口添えもあって彼がうちの屋敷に挨拶に来てくれる事になったの!」
展開が早い!
「ゲラン子爵令嬢も辞退して、その代わり殿下の知り合いの伯爵家の子息との縁談が上がっているんですって!」
「え! ズルい!!」
だから展開が早いんだって! 1週間で何があったのよーー!
「ゲラン嬢はリリーに感謝していたわよ!」
「え! 私何かした?」
「リリーの思っている悪役令嬢って素晴らしいわね! 関係ないところで活躍しちゃって! それと……リリーに聞きたいことがあるの!」
「なに? 私何かした?」
「リリーの本命はどっちなの?」
「……本命? 何のこと?」
マデリーンはなんの事を言っているのだろうか? 休んでいた1週間と言う時の流れについていけない。
「フレデリック殿下と公子様に決まってるでしょ!」
「なにそれ!」
巷の噂はこうだ!
リリアン嬢を射止めるのは誰だ!
幼馴染のフレデリック殿下vs同じ学園に通うモントール公爵家の子息キリアンか?
「へ?」
「お茶会の後に公子様に抱き抱えられているリリーを見て殿下が怒り狂ったって、見ていた人が噂をしていて広まったらしいの!」
「ないないない! そんなのないってば!」
怒り狂う? だれが!
「あ! 噂をしたら」
ちょいちょいと腕でマデリーンに突かれたわ。すると教室の前で居心地悪そうに立っているキリアン様がいた。目が合うと頭を下げてきたので席を立つ。もちろんマデリーンにもついてきてもらう。
「キリアン様、どうかされましたか?」
女性しかいないクラスだ。居心地が悪いだろうし、キリアン様の様な方が近くにいることによりクラスの生徒は、ちらちらとキリアン様を見ていた。
「この度はすまなかった。変な噂がたってしまって申し訳ない」
頭を下げ出した。綺麗なお辞儀だわ……って違うわ!
「頭を上げてくださいませ! 謝るのはわたくしですわ! わたくしと友達になったばかりにキリアン様に大変ご迷惑をおかけしてしまいましたことお詫び申しますわ」
深々と頭を下げた。そして頭を上げる様に言われて
「キリアン様、もうわたくしには関わらない方がよろしいです。キリアン様の評判に関わりますわ」
「評判? それは良いんだけど、もしこの件でフレデリックの婚約者候補から外れることがあったら私が責任を取る」
責任? なんの? はて? と顎に手をやり首を傾げた。
「「「「「きゃぁぁっ」」」」」
へ? なんの騒ぎ? 周りの生徒から黄色い悲鳴が上がった。何かあった?!
きょろきょろと周りを見渡しても、楽しそうな顔をしたマデリーンの顔、そして……
「私がリリアン嬢をもらう」
へ? だめでしょ! 友達なのに。 何を言ってるの?
「……キリアン様と私は友達ですよ。友達は結婚出来ませんわ」
「なにを言って、」
「発言を失礼します。公子様。この子そういうところは結構頑固ですので友達は友達としてしか見れないというか……免疫がないんですよ! 分からないんです、男女間の恋愛について」
マデリーンこそ何を言っているの!
「……そういう事か。出直すことにする。悪いが今の事は世間に広めないでくれるかい? もし広めたら必ず犯人を見つけて君たちの家に抗議する事になる。そんなことを私はしたくないんだ」
にこっと笑うキリアンにクラス中の生徒は頭を上下に振るしか無い。
公爵家を敵に回してはいけない! 学園にもいられなくなる。どっちを取るかと問われたら、口にチャックをすることが賢明。
一致団結したクラスの生徒達だった。
「モテるわねぇ。リリー」
モテる? 違うでしょ!
「なんで男の人ってすぐに責任を取りたがるのかしら? たかが足を捻ったくらいでしょう。キリアン様って大袈裟よ! それに殿下も1日おきにお見舞いにくるから、早く学園に来たくて仕方がなかったわ……」
「モテ期ね! あ、そうだ。リリアン来月でしょう? お披露目会!」
「えぇ。マデリーン来てくれるわよね?」
「婚約者と行くわね」
「うん! やっと紹介してくれるのね!」
どんな人なのかしら? マデリーンの相手だからきっと良い人ね!
「えっと、リリーのエスコート役って、」
「もちろん兄様よ!」
「あ、そうなのね。お兄様も大変……」
「兄様がエスコート役をかってくれたのよ! これで夜会にも出られる様になるし出会いもあるかもしれないし、」
「無いわよ、そんな出会い! 国内の男はリリーに声をかけて来ないわよ!」
「え! 変な噂のせいで変な令嬢だと思われたのね」
「ちーがーう! もういいわ!」
この話はマデリーンによってスパッと切られてしまった!
説明してくれても良いのにっ!
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