17 / 65
キリアン様にお会いしました!
しおりを挟む「今日はどうして王宮に?」
こうやって横並びでキリアン様と歩くのは初めてだった。お父様や兄様に二人きりはだめだと言われたけれどマリーや他メイドもいるから大丈夫よね! キリアン様の侍従もついている。
「フレデリック殿下とその他婚約者候補の令嬢とお茶会の予定でしたが、急な会議があったようで中止になったのですわ」
「そうか。リリアン嬢はフレデリックと婚約したいの?」
したくない! ってハッキリ言えたら楽になりそうだけれど、ここは王宮! 敵地なの。
「あまり興味がなくて、でもこのことは内緒ですよ! 他の婚約者候補の令嬢に譲りたいなぁって思ったりしてて……あっ! わたくしには勿体なすぎる話というか」
しどろもどろで説明した。
「言わないさ。約束する」
建物から出て馬車乗り場まではもうすぐだ!
「そこ滑るから気をつけて」
「はい、きゃぁぁっっっ」
つるんと足が滑った! ヒールが高すぎたのかも、足に力が入らないわ!
「お嬢様っ!」
ま、マリー!! 目を瞑った。後は地面と仲良くなるだけ……
あれ?
「言ったばかりで……なぜ、こうなる?」
ふぅっ。というため息と共にキリアン様に抱き止められた。近いわ! 距離が! 体を離そうと思って、足に力を入れたらズキンと足首が傷んだ。その瞬間顔を顰めてしまった。
「いたっ」
小さな声だったのにキリアン様は声を拾ってしまわれたのだ。
「どこか痛むのか?!」
「大丈夫ですわ。マリー手を貸してちょうだい」
侍女のマリーに声を掛けた。
「お嬢様! 大丈夫ですか!」
心配そうに屈んで足首を見た。
「お嬢様、腫れていますわ。これでは歩きにくいでしょうから人を呼んできます、少しお待ちください」
マリーが慌てて馬車乗り場へ向かおうとすると
「待って! 馬車まで送ると言っただろう? 失礼するよ」
キリアン様が言った瞬間身体が宙に浮いた。
「きゃっ!」
「大人しく運ばれてくれる? 暴れると落としかねないよ!」
「キリアン様、おろして、」
「公子様、申し訳ございません。あちらがサレット家の馬車でございます」
マリーったら! 運んでもらう気満々じゃないの!
「うん、行こう」
歩き出すキリアン様に
「ご迷惑をおかけします。重いでしょう……」
と言った。こんな事なら朝からお腹いっぱいスープを飲むんじゃなかった! だってシェフの作るクラムチャウダーは最高なんだもの……
「いや、とても軽いよ。もしかして羽根が生えているのか? 重さが全く感じないよ」
口が達者だわ……
「おい! 何をしているんだ? キリアンにリリー!」
どこかに出かける様子のフレデリック殿下がやってきた。
「やぁ。フレデリック、今から視察か?」
「あ、殿下……」
「リリー! 質問の問に答えろ!」
なんで怒っているのかしら? フレデリック殿下に迷惑をかけたわけでもないのに。
「足を捻ってしまって、キリアン様に助けてもらったんです。足に力が入らなくて、」
「大丈夫なのか? 見せてみろ。王宮に戻って医師に見せるか?」
見せてみろって、足なんてこの場で見せられるわけないでしょうが! 嫁入り前なのに! ますます婚期が遅れるわっ!
足を見ようと近づくフレデリック殿下に対してぐるりと向きを変え背中を見せるキリアン様。
「邪魔するな、キリアン!」
「こんな場所で令嬢に足を見せろと言う変態がどこにいる!」
「あ……そうだな、すまない。リリーこっちにこい」
こっちに来いって……どうやってよ! 私投げられちゃうの? キリアン様と殿下を交互に見た。
「すぐそこに侯爵家の馬車がある。冷やすものを持って来させたから早く家に帰らせた方が良い」
そう言って馬車に向かって歩き出すキリアン様。
「早く家に帰って診てもらえ、大したことがないといいけれど」
馬車の座席に座らせてくれた。キリアン様の侍従がマリーに足を冷やすための氷やタオルを渡している。
「キリアン様にはご迷惑をおかけしました。殿下にもご心配をおかけしました」
恥ずかしい! そして早く帰りたい……
「気をつけて。また学園で」
「連絡するよ。リリー」
頭を下げたら扉が閉められ馬車が動き出した。
屋敷に着き、かかりつけの医師に見てもらうと、ただ捻っただけだった。
ヒールが高かったから力が入らなかったのね……筋肉をつけなきゃ。
って、人のこと言えないわね!
帰ってきた家族にこのことを話すと、お父様はキリアン様の屋敷にすぐに遣いを出した。私もお礼の手紙を書いて渡してもらった。
足の腫れがひくまでは、安静ということで部屋に軟禁されてしまった。
翌日にはキリアン様からお見舞いのブーケが届いた。お大事に。と一言だけ書かれたメッセージ付き。
そして更に次の日にはフレデリック殿下がお忍びでお見舞いに来た。
「私の茶会で怪我をしたのだから此度のことは私に責任がある。キリアンの家にもそう伝えてある」
「いえ、わたくしの不注意なので、殿下には関係ありませんわ! キリアン様にも申し訳なく、」
「ところで、キリアンとはどういう関係だ? リリーは私の婚約者候補なのに他の男と仲良くするとはどういう了見だ? 侯爵は知っているのかな?」
どうして責められているのだろうか? 浮気が発覚したかの様な勢いじゃないのよ! その笑顔がおそろしい……
「キリアン様は学園の先輩で、お友達です。お父様も知っています」
公爵家の子息に友達と言われて断れないと言ったのはお父様だし、やましい事も無いもの!
「くそ、キリアンめ……」
ぶつぶつと何かを言うフレデリック殿下
「この花は? 新しい様だが?」
キリアン様から戴いた花を窓辺に飾ってあった。リボンもそのまま。
「昨日、キリアン様からお見舞いに戴いたものです。お父様がお礼の品を公爵家に届けて下さったので、その際にお礼のお手紙を書いたらお見舞いとして届けられました」
「……そうか、リリーは私の婚約者候補なんだから友達とは言えキリアンとは節度のある付き合いを心がけて欲しい。変な噂が立つと困るだろう?」
「噂……」
そっか、お父様も言っていたわね。噂が立つと殿下が困るものね。変な令嬢を婚約者候補にしてしまったって! そうなると家にもキリアン様にも迷惑になるわ!
「そうだよ、これから行動には十分気をつけて欲しい。頼んだよ」
はい。って返事をしようと思ったけれど、
「変な噂が立つ前にわたくしを婚約者候補から外せば、」
「それじゃリリー、私はそろそろ行くよ。また会いにくるから安静に。私のせいで怪我をしてしまったんだから」
なんでフレデリック殿下のせいになってしまったのかしら……
それから一週間学園を休んだ。フレデリック殿下は1日おきに見舞いに来るし、キリアン様からは申し訳ない。とブーケとお菓子が届くし、迷惑ばかり掛けている。
こんな友達ならキリアン様にとっても迷惑なだけだと思う。一度話をしたいと思った。
28
あなたにおすすめの小説
【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります
なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。
忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。
「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」
「白い結婚ですか?」
「実は俺には……他に愛する女性がいる」
それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。
私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた
――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。
ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。
「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」
アロルド、貴方は何を言い出すの?
なにを言っているか、分かっているの?
「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」
私の答えは決まっていた。
受け入れられるはずがない。
自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。
◇◇◇
設定はゆるめです。
とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう
楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。
目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。
「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」
さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。
アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。
「これは、焼却処分が妥当ですわね」
だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?
綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。
相手はとある貴族のご令嬢。
確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。
別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。
何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
婚約破棄された幼い公爵令嬢、目覚めたら絶世の美女でした
鍛高譚
恋愛
『幼すぎる』と婚約破棄された公爵令嬢ですが、意識不明から目覚めたら絶世の美女になっていました
幼すぎる、頼りない――そんな理由で婚約者に見限られた公爵令嬢シルフィーネ。
心ない言葉に傷ついた彼女は、事故に遭い意識不明となってしまう。
しかし一年後、彼女は奇跡的に目を覚ます。
そして目覚めた彼女は――かつての面影を残しつつも、見る者すべてを惹きつける絶世の美女へと変貌を遂げていた!
周囲の反応は一変。婚約破棄を後悔する元婚約者、熱視線を送る他家の令息たち、さらには王太子からの突然の縁談まで舞い込み――?
「もう、誰にも傷つけられたくない。私は私の幸せを手に入れるの」
これは、冷たく突き放された少女が美しく咲き誇り、誇りと自由を手に入れる、ざまぁ&逆転恋愛劇。
隠れ蓑婚約者 ~了解です。貴方が王女殿下に相応しい地位を得るまで、ご協力申し上げます~
夏笆(なつは)
恋愛
ロブレス侯爵家のフィロメナの婚約者は、魔法騎士としてその名を馳せる公爵家の三男ベルトラン・カルビノ。
ふたりの婚約が整ってすぐ、フィロメナは王女マリルーより、自身とベルトランは昔からの恋仲だと打ち明けられる。
『ベルトランはね、あたくしに相応しい爵位を得ようと必死なのよ。でも時間がかかるでしょう?だからその間、隠れ蓑としての婚約者、よろしくね』
可愛い見た目に反するフィロメナを貶める言葉に衝撃を受けるも、フィロメナはベルトランにも確認をしようとして、機先を制するように『マリルー王女の警護があるので、君と夜会に行くことは出来ない。今後についても、マリルー王女の警護を優先する』と言われてしまう。
更に『俺が同行できない夜会には、出席しないでくれ』と言われ、その後に王女マリルーより『ベルトランがごめんなさいね。夜会で貴女と遭遇してしまったら、あたくしの気持ちが落ち着かないだろうって配慮なの』と聞かされ、自由にしようと決意する。
『俺が同行出来ない夜会には、出席しないでくれと言った』
『そんなのいつもじゃない!そんなことしていたら、若さが逃げちゃうわ!』
夜会の出席を巡ってベルトランと口論になるも、フィロメナにはどうしても夜会に行きたい理由があった。
それは、ベルトランと婚約破棄をしてもひとりで生きていけるよう、靴の事業を広めること。
そんな折、フィロメナは、ベルトランから、魔法騎士の特別訓練を受けることになったと聞かされる。
期間は一年。
厳しくはあるが、訓練を修了すればベルトランは伯爵位を得ることが出来、王女との婚姻も可能となる。
つまり、その時に婚約破棄されると理解したフィロメナは、会うことも出来ないと言われた訓練中の一年で、何とか自立しようと努力していくのだが、そもそもすべてがすれ違っていた・・・・・。
この物語は、互いにひと目で恋に落ちた筈のふたりが、言葉足らずや誤解、曲解を繰り返すうちに、とんでもないすれ違いを引き起こす、魔法騎士や魔獣も出て来るファンタジーです。
あらすじの内容と実際のお話では、順序が一致しない場合があります。
小説家になろうでも、掲載しています。
Hotランキング1位、ありがとうございます。
旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう
おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。
本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。
初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。
翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス……
(※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる