侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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お茶会です!(ジャド伯爵令嬢)

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「ジャド伯爵令嬢、今日は急にわたくしも来てしまって申し訳ございませんでした」

 せっかく殿下と二人きりのお茶会なのに邪魔をしてしまったわ……ここはジャド伯爵令嬢の良いところを殿下に見せつけて、私の良くないところを……ふふふっ完璧ね!


「いいえ。サレット侯爵令嬢とご一緒できるなんて嬉しいですわ!」


 思ってもいないことを、健気な方なのね! 歳は同じだと聞くし仲良くなれるかも!


「それに殿下と二人だけだと、わたくしのような者は会話が続きませんもの」


「そんな事なくってよ! 殿下は、」


「待たせたね、盛り上がっているようだね」


 すっと立ち上がり淑女の礼をする。ジャド伯爵令嬢も私に倣って淑女の礼をしたようだった。綺麗な礼だった。


 それから三人でお茶をする事になった。

「ジャド嬢、何の話で盛り上がっていたんだ?」

「あ、はい。わたくしが面白味のない人間ですので、殿下と二人きりだと話すことがないと話をしていましたの」

 恥ずかしそうに答えるジャド嬢。

「そんな事はございませんわよ! 実はわたくしジャド嬢の話を伺いましたのよ。学園の成績はとても良くて品行方正だと伺いました。見習わなくてはいけませんわね」



「……恥ずかしながら、自己流です。教師についていたわけでもありませんので……」

 さらに恥ずかしそうに答えたけれど、自己流で学園の成績が良いだなんて凄いじゃないの!


「それは凄いね。私は小さい頃から教師を付けてもらっていたし留学もしていたけれどなんとかトップクラスに齧り付いていたくらいなのに」

「そんな……わたくしと殿下を比べないでくださいませ」

 おぉー。話しが盛り上がっているわね! ここは大人しくお茶でも飲んで静かに見守りましょう。


「あら、お茶が冷めてしまいましたわね。わたくしがお淹れしてもよろしいでしょうか?」


「頼むよ」

「はい」


 せっかくお茶を飲んでのんびりしようと思っていたのに、お茶が温いなんて! メイドに淹れてもらっても良いのだけれど、二人にさせないとね!


「侯爵令嬢であるサレット嬢に淹れていただけるなんて申し訳ないですわ。本来ならわたくしが淹れるべきですわね」


 うーん。そうねぇ。この場ならメイドに淹れて貰うのが良いのかも知れないわね。わたくしのお茶会では無いし。


 お茶は相変わらずメイドが配ってくれた。

「美味しいですわ」

 ジャド嬢が言った。

「ありがとうございます」

 褒められて悪い気はしないわ。


「子爵令嬢のお茶が不味いと怒っていたサレット嬢ですもの。流石にお上手ですわ。わたくしごときが淹れなくて正解でしたわ」


 ん? たしかに美味しくはなかったけれど、そんなに怒っていたように感じたのかしら……それならなぜあの時失敗に終わったのかしら?


「お茶が不味いと怒ったの?」

 フレデリック殿下はこの話に興味があるの? 続ける気?

「まぁたしかに美味しくはなかったですわね」


「子爵令嬢がお茶を淹れていれたのに、サレット嬢が不味いと言って、淹れ直してくださったのですよ」


 そう捉えることも出来るのね! うん。私悪そうじゃない! うんうんと頷いた。

 この話は続くこともなく別の話題へ




「ジャド嬢は本を読むのが趣味だったね。最近は何を読んだんだい? 私も息抜きに本を読むから是非おすすめを聞かせて欲しい」

「……ナタリー・トトゥ先生のミステリーを読んでいます」


「シリーズになっていて面白いよね。私も読んでいる。そういえば最新刊が出たね。もう読んだ?」

「いえ、まだです。図書館で貸し出しをされる頃に読みたいと思います」


 ミステリーを読むんだ。おとなしそうなのに意外だわ。私は読んだことはないけれどナタリー・トトゥ先生は死者が~悪霊が~っていうストーリーもあるわよね。怖いわ……眠れなくなっちゃう!

 新刊をお持ちなら貸して差し上げれば、次のチャンスに繋がるのに! 


「舞台などは観に行かないの?」

「行ったことはありません。興味はあるんですけれど……」

 そう言われたら殿下は誘うしかないわね! ほら誘って! と殿下に目で訴えるが、にこりと笑われた。


 なんで!


「あれ、リ、じゃない、サレット嬢の胸元で光っているのはブルーダイヤ?」

 あ! やはり気がつきましたか! お目が高い。って舞台の話は!?


「えぇ、父が殿下に会うのなら好きなものを買っても良いと言ったので、遠慮なく購入しました。高価なものはいらないと断ったら経済を回すには私たち貴族がお金を使って回すんだと言われましたので、お言葉に甘えましたわ。それにこのブルーダイヤは将来的にもっと価値が上がると踏みました。何かあった時にお金に換えることも出来ますもの」


 首元のダイヤを触った。


「そうだね、きっと価値が上がるだろうね。侯爵の言う通り使う時には使わないと経済は回らない。サレット侯爵の領地経営の賜物でもあるよね。賑わっていると聞く」


 父の領地経営は上手く行っているようで、我が領土は平和そのものだ。父も領民の話に耳を傾けている。


「サレット侯爵は豪快な方ですのね。そんなお金の使い方で将来にお金を残すことを考えていらっしゃいますよね……」


 どう言う意味かしら? 反論しなきゃ肯定の意味に取られてしまうわ! うちのお父様のことを良い風に思っていない?


「父は領民や使用人のためにもお金を使っていますし、自分のことは二の次と言うところはありますわね。兄がいずれ爵位を継ぐ時のために父が教育にお金を費やするのも領民や、使用人の為でもありますし兄も父の姿を見て学ぶことが多いようです。ジャド伯爵はどういう方ですか?」


「わたくしの家の話なんて面白くもございませんわ。サレット嬢が羨ましいですわ」


 たしかに家のことをペラペラ話すのは好ましくないけれど聞かれて困る内容じゃない場合は家族の話もする。


 結果ジャド嬢は謎の人だと思った。そうこうしているうちにお開きとなったのだ。

 よくわからないお茶会だったわ。次回誘われても行かなくても良いかな。


******


「ジャド嬢は今日も辞退してこなかったな」

「そのようですね」

「私がリリアンを好んでいると言うことは賢い彼女のことだ、理解しているだろう?」

「そのようです」


「ジャド伯爵経由で辞退をしてもらうように頼んでくれ。ある子爵家がジャド嬢に興味を示している。将来性のある家だからと言っておいてくれ」

「畏まりました」

「何か不思議じゃないか? 彼女からは私に好かれたいと言う気持ちも感じられないのに……彼女が辞退してこない限りこのお茶会は続く」


「その前にサレット嬢が辞退をしてきたり、し、て」

 鬼のような形相のフレデリックを見て従者はやばいと言う顔をした。


「させるか! 侯爵にも時間の問題だと言ってある。リリアンの心を射止めないと! キリアンが横から掻っ攫ってしまうかもしれん! 父上も楽しみやがって!」

 ドンっと机を叩くフレデリック。


「ジャド嬢に関しては伯爵ではなくジャド嬢の兄に聞くのがいいかと」


 そうか! ジャド嬢の婚姻について相談をしてきたのはジャド嬢の兄だった! 失念していたではないか!




















   
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