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お披露目会です!

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「美しいわよリリー!」


 ピンクベージュのシルクオーガンジーを何枚にも重ねたロマンチックなドレスはお母様一推しのデザイン。スカートには花びらモチーフの同じくシルクオーガンジーを使った物が縫い付けてある。
 後ろ姿もスカート部分はふりふり! 座れないわ……


 お母様と兄様は褒めてくれたし、珍しくお父様も褒めてくれた! なんだか最近はバカ娘としか言われてなかったから嬉しいわ!


「今日はシェフが腕によりをかけて作った渾身の料理が並ぶんだが、お前は口にするな! お披露目が終わった後で好きなだけ食わせてやる」

「えぇ……残念だわ。作りたての温かいものに勝るものは無いのに」

 
 でもお披露目会でばくばくと食べる主役なんて側から見たら嫌よね。ここは素直にハイと答えた! ドレスにソースがこぼれてしまうことを考えたら……その後は地獄が待っている! 余計なことを言ってしまった……また怒っているわねお父様! 

 血圧が高いと最近言っていたわ。仕事のストレスでも溜まっているのかしら? 



「わたくしと旦那様は先に会場で挨拶をしています。シルヴァンとリリーは皆さんが集まってから登場よ! 主役はリリーですからね! 無様な姿を見せたら後でキツいお仕置きです!」


 お母様……無様な姿って? 転んだり、食べすぎたり、騒いだりってことかしら? 

 ヒールは低いものにしたし、食べ物を口にするなと言われたし、大丈夫よ! 緊張しすぎてすでに足が震えているのは問題だけど、兄様と腕を組んでいれば問題ないはず!

 デビューでドジをしたら、この先ずぅーーっと語り継がれることになる。



 会場に人が集まってきているようで、ザワザワとしていた。

 それから間も無く登場の時間だ。あまり待たせるものではないらしいわ!
 扉が開かれて兄様のエスコートで会場入りした。

 マデリーンの姿や、最近文通友達と化したゲラン子爵令嬢・セリーヌ伯爵令嬢も!


 お父様とお母様と兄様と私、4人で並んでからお父様が私を紹介してくれた! 念願のお披露目は無事に終わり、パーティーを楽しむことになる。

 もちろんダンスの披露もあり、兄様とファーストダンスを踊った。


 会場の皆さんから拍手をもらい、ダンスホールから少し外れた所でドリンクを口にした。アルコール以外の飲み物はオッケーとお母様に言われたもの!


「リリー! 本日はおめでとうございます」

「あ! マデリーン。忙しいのに来てくれてありがとう」

 今日のマデリーンは大人っぽいドレスを着てきた。シルバーグレーのオフショルダー! とっても美しいわ。


 兄様は挨拶をすると少しばかり離れたところにいる人に声をかけていた。マデリーンとお話をしたいから気を遣ってくれたのね! さすが兄様!


「リリーに紹介したい人がいるから紹介するわね、私の婚約者」


 紹介された彼は長身の銀髪イケメン! 切長のグレーの瞳で、パッと目は冷たそうなイメージだけれど、愛おしそうにマデリーンを見ている。

 それにマデリーンと並ぶととてもお似合いだった。幸せそうだわマデリーン! 


「ご婚約おめでとうございます」

「ありがとうございます。マデリーンとは今後も仲良くしてやってください」

「勿論です! 親友ですもの」


 と言うとにこりと笑った。優しい顔で笑う人なのね。きっとマデリーンを幸せにしてくれる人だって思った。

「彼を紹介できてよかったわ」

 親友が幸せそうだと私も嬉しいわ!


 その後はお父様とお母様に連れられて、挨拶回りだ!

 招待客の中にはなんとモントール公爵様もいて、キリアン様といたわ。



「いつも息子が世話になっているようで感謝する」

 え! お世話になっているのは私です! 挨拶をしなきゃ!!


「公爵閣下、初めてお目にかかります。わたくしはサレット侯爵が娘リリアンと申します」

 淑女の礼をする。頭を上げて良いと許可を得てから顔を上げた。

「公子様とは学園が同じでお世話になっております。先日も足を怪我した際に助けていただきとても感謝しています」


「怪我した女性を助けるのは紳士として当然のことをしたまで。侯爵家からお礼の品まで頂戴してしまった。リリアン嬢、デビューおめでとう。どうだ? 息子とダンスを一曲踊ってやってくれないか? キリアンぼさっとしてないで誘わんか!」

 キリアン様は今日もとっても素敵ね! 周りにいる令嬢がチラチラとキリアン様を見ているもの。


「今日のリリアン嬢を見て美しくて言葉にならなかった。こんな不甲斐ない私だけど一曲付き合ってくれませんか?」


 そっと出された手に正直躊躇してしまう。まだフレデリック殿下の婚約者候補の一人だもの。友達とは言え、良いのだろうか……


「リリーお誘い頂いたのだから、お答えしなさいな」

 お母様に言われたのでそっと手を取ると、キリアン様はほっとした顔をした。

「……良かった。断られるかと思ったよ」 



 少し顔を赤く染めてはにかむように笑うなんて、反則だわ! ドキッとしてしまった。友達相手にこの感情はだめだわ! 失礼だわ!




 
 





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