22 / 65
麗しすぎるリリアン嬢
しおりを挟むリリアンが兄シルヴァンのエスコートで登場してきた。
美しくて可愛くて、言葉にならなかった。この会場にいる子息全員がリリアンに注目して顔を染めている。それくらい麗しいのだ!
「ほぅ、可愛いお嬢さんだな。キリアンのタイプは可愛らしい系なのか?」
父の言い方が気に食わない!
「可愛くて美しいの間違いでしょう……」
うるさいじじいだ! しかしじじいの許可が無いと婚約の申し込みもできない! 改めて婚約を申し込んだがサレット侯爵家は返答に困っているようだ。
しかし断られているわけでは無いので少しは望みがあるのかもしれない。第一王子の婚約者候補なのに婚約はしたく無いと言う。
実際リリアンから聞いた事だし、リリアンの友達であるカサール嬢と話をしているのも聞いた(聞こえた)
友達としてリリアンに近づいたまでは良かったのだが、そこからが大問題だ!
ぽやっとして見えるリリアンだが、どうやら根がまじめというか頑固なところがあるらしい。
友達=恋愛関係にはない(ならない)のだそうだ(カサール嬢談)
友達から恋愛に発展する事だってあるだろう! そんな経験は私にはないが、耳にはする!
父は基本俺のやりたいことには文句をつけない。やりたいことはやれ。そのかわり中途半端なことは許さない! と言い説教くさい少しうるさいじじいだが、信用してくれているようだ。
******
「父上、相談があります」
学園に登校してきたリリアンの教室へと行き、噂になっている事への謝罪に行った。他の生徒もいたが、居ても立っても居られなかった。
俺とフレデリックのどちらがリリアンの心を射止めるかと言う噂が立っていた。
王宮で俺がリリアンを送って行くと言ったのがそもそもの原因だ。
足を怪我したのも俺のせいだ。あんなに注意したのにいとも簡単に足を滑らすなんて……。
それにより抱き止めることができて役得だとは思った。
フレデリックは怒っていたけど、無視した。まだ婚約者候補の一人だ。
「なんだ? フレデリックとの噂のことか?」
父が執務の手を止め頭を上げてニヤニヤしている。
「えぇ。まぁ。サレット侯爵のリリアン嬢に求婚したいのですがよろしいですか?」
結論から言うと父は驚いた。
「わしは構わんが、一応陛下に聞いてみてからだ」
陛下と父は兄弟で俺にとって陛下は伯父にあたる。もっと早くリリアンと出会っていればこんなことにならなかったのに! 俺は同じ学園にいて何をしていたんだよ……
数時間後父に呼び出され執務室に行くと陛下が居た。
「陛下?! どうしてまたこんなところに!」
たまにお忍びでやってくることもある。この兄弟は仲がいい事で有名だ。いくら王宮から近いとはいえ、こんな遅い時間にくるなんて……
「キリアン! 此度の求婚の件だが許可する」
「へ? 良いんですか! ありがとうございます」
陛下から許可がおりるなんて!
「フレデリックは本来なら既にリリアンの心を射止めて婚約をしていなければならない時期じゃった。約束を違えておる」
陛下の話によると、幼い頃にリリアンと婚約をしたいと言っていたが、時期早々だと却下したようだ。
世間を見て学びそれでもリリアンがいいと思えれば婚約を申し込め。と。留学が伸びたのはフレデリックに付き纏っていた留学先の王女を諦めさせるため。
予定ではリリアンの誕生日前に帰国し、婚約を申し込む予定だったと言うのだ。
今の時点で約束が違う。と侯爵にも言われていたようだがフレデリックが帰ってきて侯爵はほっとしたようだ。
フレデリックが侯爵に頼み、リリアンに子息を近づけないようにしていたようだ。
卑怯な男だ。だからリリアンは子息と話したことがないと言ったのか。
リリアンは学園では高嶺の花。近づいてはいけない! とみんなが口を揃えて言っていた。憧れている生徒は多い。
学園に入学するまでも噂は聞いたことがあるし、婚約者もいないリリアンの社交界デビューを男達は心待ちにしていたのだ。
フレデリックは第一王子で近いうちに王太子に任命されることになる。そんなフレデリックと婚約したらリリアンは将来王妃となる。フレデリックと婚約をしてしまったら、もう近寄ることなど出来ない存在になる。
しかしフレデリックの婚約者候補は5人いる。(現在は2人)
理由あってのことらしいが回りくどい! 変に優しいところがあるから、王女に纏わりつかれて帰ってこれなくなったんだろう。
******
「君とのダンスはとても楽しい」
羽のように軽やかで風のように爽やか。ドレスの裾が悪戯に私の足に絡まり距離が近づく。
「兄様以外の男性とダンスをするのは初めでいっぱいいっぱいです」
緊張した面持ちのリリアンを見て
「ほら、笑って。せっかくのお披露目会なんだ。みんな君を見ているよ。それに楽しくないダンスをさせられていると私がみんなに責められてしまうかもしれない」
軽く脅すような台詞を言ってみた。
「それは、困りますわね」
素直にそう言うとコロコロと笑い出した。
「それくらいの余裕がないと楽しめないよ」
「はい」
リリアンは俺が求婚をしていることを知っているのだろうか? 友達とは結婚できないって言っていた。これでリリアンとは友達でも無くなるのだろうか……
一曲目のダンスが終わりお互いに礼をした。あっという間だった。もう一曲踊りたい。そんな気にさせられた。
俺がリリアンとダンスを踊ったことにより他の男共もリリアンをダンスに誘おうとしている。もちろんそんなことはさせない。
こんな可愛いリリアンを他の男どもに触れさせるのは嫌だ!
そのままエスコートしてリリアンを家族の元へ帰そうとしたら、すごい勢いでフレデリックがやってきた。
「リリー社交界デビューおめでとう。遅くなってしまった。キリアン、私の婚約者(候補)の相手をしてくれていたのか」
にこりと笑いリリアンに手を出した。エスコートを変われ! そんな笑顔の圧を感じる。
「リリアン嬢の祝いの場で騒ぎを起こしたくないからね。それと婚約者候補の間違いだから勝手に婚約者と言うのは、他の候補者の方が聞くと傷つくと思うよ」
ニヤリと笑う。
「うるさいぞ、キリアン!」
「リリアン嬢。私の従兄弟が騒がせてしまって悪いね。少しの間でも君をエスコート出来て光栄だよ」
リリアンの手を取り軽くキスを落とした。学園ではそんな事は出来ないけどここは社交の場だ。
すると顔を真っ赤に染め始めるリリアン。恥ずかしがっているのがわかる。心なしか首元まで赤くなっている! 妙に色っぽいと言うか……なんか……
むかっとしているフレデリックを尻目に、リリアンをフレデリックの元へ行くように促した。
「私だけが君を拘束出来れば良いのだが、君はフレデリックの婚約者候補だった。レディ楽しい時間をありがとう」
そう言ってエスコートの手を離すと、こちらを見ていた令嬢達から
『きゃぁぁっー』と言う黄色い悲鳴が上がった。
これで俺はフレデリックの婚約者候補を狙う不届き者だな。
リリアンの言うところの悪役令息ってところか?
18
あなたにおすすめの小説
【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります
なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。
忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。
「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」
「白い結婚ですか?」
「実は俺には……他に愛する女性がいる」
それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。
私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた
――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。
ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。
「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」
アロルド、貴方は何を言い出すの?
なにを言っているか、分かっているの?
「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」
私の答えは決まっていた。
受け入れられるはずがない。
自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。
◇◇◇
設定はゆるめです。
とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう
楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。
目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。
「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」
さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。
アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。
「これは、焼却処分が妥当ですわね」
だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?
綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。
相手はとある貴族のご令嬢。
確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。
別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。
何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?
乙女ゲームのモブに転生していると断罪イベント当日に自覚した者ですが、ようやく再会できた初恋の男の子が悪役令嬢に攻略され済みなんてあんまりだ
弥生 真由
恋愛
『貴女との婚約は今夜を持って破棄させて貰おう!』
学園卒業祝いの夜会の場に、凛と響いた王太子殿下の一声。
その瞬間、私は全てを思い出した。
私が前世ではただの手芸とゲームが好きなインドア派女子大生だったこと。そして、ゲーム世界に転生して尚も趣味は変わらず、ライバルキャラですらないモブになってしまっていたことを。
幼い頃に一度出会ったきりの初恋の彼と学園で再会出来たらなぁ、なんて淡い期待を抱いて通っていたのに、道理で卒業式までなんにも起きなかったわけだ。
ーーなんて、ひとり納得していたら。
何故だが私が悪役令嬢の断罪イベントの目撃者として名指しされ、一気に渦中の人物に!?
更に、王太子以外の男性陣は皆様悪役令嬢に骨抜き。なので自然と私には、彼女の潔白に繋がる証言が求められる。
しかしながら、私は肝心の事件の日の記憶が訳あって曖昧だったので、致し方なく記憶を呼び覚ます治療を受けさせられる羽目に。
タイムリミットは1年間。
その1年間の私への護衛につけられたのは、悪役令嬢に心奪われた初恋の彼でした。
婚約破棄された幼い公爵令嬢、目覚めたら絶世の美女でした
鍛高譚
恋愛
『幼すぎる』と婚約破棄された公爵令嬢ですが、意識不明から目覚めたら絶世の美女になっていました
幼すぎる、頼りない――そんな理由で婚約者に見限られた公爵令嬢シルフィーネ。
心ない言葉に傷ついた彼女は、事故に遭い意識不明となってしまう。
しかし一年後、彼女は奇跡的に目を覚ます。
そして目覚めた彼女は――かつての面影を残しつつも、見る者すべてを惹きつける絶世の美女へと変貌を遂げていた!
周囲の反応は一変。婚約破棄を後悔する元婚約者、熱視線を送る他家の令息たち、さらには王太子からの突然の縁談まで舞い込み――?
「もう、誰にも傷つけられたくない。私は私の幸せを手に入れるの」
これは、冷たく突き放された少女が美しく咲き誇り、誇りと自由を手に入れる、ざまぁ&逆転恋愛劇。
異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい
千晶もーこ
恋愛
あの世に行ったら、番人とうずくまる少女に出会った。少女は辛い人生を歩んできて、魂が疲弊していた。それを知った番人は私に言った。
「あの子が繰り返している人生を、あなたの人生に変えてください。」
「………はぁああああ?辛そうな人生と分かってて生きろと?それも、繰り返すかもしれないのに?」
でも、お願いされたら断れない性分の私…。
異世界で自分が悪役令嬢だと知らずに過ごす私と、それによって変わっていく周りの人達の物語。そして、その物語の後の話。
※この話は、小説家になろう様へも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる