侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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麗しすぎるリリアン嬢

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 リリアンが兄シルヴァンのエスコートで登場してきた。

 美しくて可愛くて、言葉にならなかった。この会場にいる子息全員がリリアンに注目して顔を染めている。それくらい麗しいのだ!


「ほぅ、可愛いお嬢さんだな。キリアンのタイプは可愛らしい系なのか?」

 じじいの言い方が気に食わない!

「可愛くて美しいの間違いでしょう……」

 うるさいじじいだ! しかしじじいの許可が無いと婚約の申し込みもできない! 改めて婚約を申し込んだがサレット侯爵家は返答に困っているようだ。
 しかし断られているわけでは無いので少しは望みがあるのかもしれない。第一王子の婚約者候補なのに婚約はしたく無いと言う。

 実際リリアンから聞いた事だし、リリアンの友達であるカサール嬢と話をしているのも聞いた(聞こえた)

 友達としてリリアンに近づいたまでは良かったのだが、そこからが大問題だ!

 ぽやっとして見えるリリアンだが、どうやら根がまじめというか頑固なところがあるらしい。

 友達=恋愛関係にはない(ならない)のだそうだ(カサール嬢談)

 友達から恋愛に発展する事だってあるだろう! そんな経験は私にはないが、耳にはする!


 父は基本俺のやりたいことには文句をつけない。やりたいことはやれ。そのかわり中途半端なことは許さない! と言い説教くさい少しうるさいじじいだが、信用してくれているようだ。


******




「父上、相談があります」





 学園に登校してきたリリアンの教室へと行き、噂になっている事への謝罪に行った。他の生徒もいたが、居ても立っても居られなかった。

 俺とフレデリックのどちらがリリアンの心を射止めるかと言う噂が立っていた。
 王宮で俺がリリアンを送って行くと言ったのがそもそもの原因だ。
 足を怪我したのも俺のせいだ。あんなに注意したのにいとも簡単に足を滑らすなんて……。

 それにより抱き止めることができて役得だとは思った。

 フレデリックは怒っていたけど、無視した。まだ婚約者候補の一人だ。





「なんだ? フレデリックとの噂のことか?」

 父が執務の手を止め頭を上げてニヤニヤしている。


「えぇ。まぁ。サレット侯爵のリリアン嬢に求婚したいのですがよろしいですか?」

 結論から言うと父は驚いた。



「わしは構わんが、一応陛下に聞いてみてからだ」

 陛下と父は兄弟で俺にとって陛下は伯父にあたる。もっと早くリリアンと出会っていればこんなことにならなかったのに! 俺は同じ学園にいて何をしていたんだよ……


 数時間後父に呼び出され執務室に行くと陛下が居た。


「陛下?! どうしてまたこんなところに!」


 たまにお忍びでやってくることもある。この兄弟は仲がいい事で有名だ。いくら王宮から近いとはいえ、こんな遅い時間にくるなんて……

「キリアン! 此度の求婚の件だが許可する」

「へ? 良いんですか! ありがとうございます」

 陛下から許可がおりるなんて!



「フレデリックは本来なら既にリリアンの心を射止めて婚約をしていなければならない時期じゃった。約束を違えておる」

 陛下の話によると、幼い頃にリリアンと婚約をしたいと言っていたが、時期早々だと却下したようだ。

 世間を見て学びそれでもリリアンがいいと思えれば婚約を申し込め。と。留学が伸びたのはフレデリックに付き纏っていた留学先の王女を諦めさせるため。
 予定ではリリアンの誕生日前に帰国し、婚約を申し込む予定だったと言うのだ。


 今の時点で約束が違う。と侯爵にも言われていたようだがフレデリックが帰ってきて侯爵はほっとしたようだ。


 フレデリックが侯爵に頼み、リリアンに子息を近づけないようにしていたようだ。

 卑怯な男だ。だからリリアンは子息と話したことがないと言ったのか。

 リリアンは学園では高嶺の花。近づいてはいけない! とみんなが口を揃えて言っていた。憧れている生徒は多い。


 学園に入学するまでも噂は聞いたことがあるし、婚約者もいないリリアンの社交界デビューを男達は心待ちにしていたのだ。


 フレデリックは第一王子で近いうちに王太子に任命されることになる。そんなフレデリックと婚約したらリリアンは将来王妃となる。フレデリックと婚約をしてしまったら、もう近寄ることなど出来ない存在になる。


 しかしフレデリックの婚約者候補は5人いる。(現在は2人)

 理由あってのことらしいが回りくどい! 変に優しいところがあるから、王女に纏わりつかれて帰ってこれなくなったんだろう。


******


「君とのダンスはとても楽しい」

 羽のように軽やかで風のように爽やか。ドレスの裾が悪戯に私の足に絡まり距離が近づく。

「兄様以外の男性とダンスをするのは初めでいっぱいいっぱいです」

 緊張した面持ちのリリアンを見て

「ほら、笑って。せっかくのお披露目会なんだ。みんな君を見ているよ。それに楽しくないダンスをさせられていると私がみんなに責められてしまうかもしれない」


 軽く脅すような台詞を言ってみた。

「それは、困りますわね」

 素直にそう言うとコロコロと笑い出した。

「それくらいの余裕がないと楽しめないよ」

「はい」


 リリアンは俺が求婚をしていることを知っているのだろうか? 友達とは結婚できないって言っていた。これでリリアンとは友達でも無くなるのだろうか……


 一曲目のダンスが終わりお互いに礼をした。あっという間だった。もう一曲踊りたい。そんな気にさせられた。

 俺がリリアンとダンスを踊ったことにより他の男共もリリアンをダンスに誘おうとしている。もちろんそんなことはさせない。


 こんな可愛いリリアンを他の男どもに触れさせるのは嫌だ!

 そのままエスコートしてリリアンを家族の元へ帰そうとしたら、すごい勢いでフレデリックがやってきた。


「リリー社交界デビューおめでとう。遅くなってしまった。キリアン、私の婚約者(候補)の相手をしてくれていたのか」

 にこりと笑いリリアンに手を出した。エスコートを変われ! そんな笑顔の圧を感じる。


「リリアン嬢の祝いの場で騒ぎを起こしたくないからね。それと婚約者候補の間違いだから勝手に婚約者と言うのは、他の候補者の方が聞くと傷つくと思うよ」

 ニヤリと笑う。

「うるさいぞ、キリアン!」

「リリアン嬢。私の従兄弟が騒がせてしまって悪いね。少しの間でも君をエスコート出来て光栄だよ」


 リリアンの手を取り軽くキスを落とした。学園ではそんな事は出来ないけどここは社交の場だ。


 すると顔を真っ赤に染め始めるリリアン。恥ずかしがっているのがわかる。心なしか首元まで赤くなっている! 妙に色っぽいと言うか……なんか……

 むかっとしているフレデリックを尻目に、リリアンをフレデリックの元へ行くように促した。


「私だけが君を拘束出来れば良いのだが、君はフレデリックの婚約者候補だった。レディ楽しい時間をありがとう」

 そう言ってエスコートの手を離すと、こちらを見ていた令嬢達から

『きゃぁぁっー』と言う黄色い悲鳴が上がった。



 これで俺はフレデリックの婚約者候補を狙う不届き者だな。



 リリアンの言うところの悪役令息ってところか?








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