侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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ジャド伯爵令嬢

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「え? わたくしが殿下の婚約者候補ですって? 冗談は顔だけしてくださいませ」


 ある日学園の寮に兄が来て言った。兄は数年前にこの学園を卒業し今は王宮で働いている。王宮で働けるのは優秀か爵位が高いかあるいはコネか……

 うちの爵位は伯爵家。でも国内には伯爵と呼ばれる家が結構いる。爵位的には高い方だけどうちは西のハズレにある領地を持つ田舎貴族。下には子爵家や男爵家などがいるけれど王都の近くに領地があればそれだけ栄えているし賑やかと言う事。

 それにうちの父はドケチで有名! 子供の教育費もケチって教育者も雇ってくれなくて、古い本で勉強したくらい。兄や姉が家にいた時はまだ良かった。みんなで勉強をして家のことをして共に過ごしてきたから。

 兄は特待生制度のある学園に行くことになった。王都の学園なんて授業費も高いし、寮に入るにしても値段が桁違い! だから王都から外れた場所にある学園に通うことになった。兄も私も特待生! なぜかって? 勉強しか娯楽がなかったから! 姉も優秀だったけどその年はもっと優秀な人が人がいて残念ながら特待生からは外れてしまって……学園に通うことを断念した。

 そんな姉は家に居づらくなり、他の家のメイドとして働き出したのだった。働き者の姉はすぐに侍女としてその家のお嬢様付きになる事が出来たそう。

 侍女の待遇はメイドとは違い、家に居た時よりも明るくなったみたい。いつも同じ服を着るわけにもいけなく、お茶会などがある貴族社会。私は学生の身で家族に頼るしかなかった。姉のドレスを譲ってもらいなんとか避けられないお茶会には出席する事は出来た。


 でも王宮へ行くためのドレスなんて用意出来ないわ! 兄に伝えると2着あればそれで良いと言った。何か裏があるはず! そう思った。

 そうして第一王子とのお茶会。同じく伯爵家の令嬢も来るのだそう。本当は一人づつのお茶会予定だったがマナーもよく分からないから他の伯爵家と同じ日にしてもらったと聞いて安心したわ。  


 お茶会は人数が多い方が良いですね。と、相手の伯爵家も殿下も了承されての事と聞いてホッとした。


 王宮に着くと応接室のような場所に案内されて、殿下を待った。
 この日着てきたドレスは姉のお下がりで、まだ新しい物だった。
 少しサイズが合わないところは手直しをした。兄は父に婚約者候補に選ばれた事を父に言ったのだそうが金がかかると渋い顔をしたのだそう。


 王都での滞在費もかかるから、と兄が出してくれた。


 殿下を待つ間は同じく婚約者候補の東の領地を持つ伯爵家のミロー嬢と話をさせて貰った。学園は同じだから顔は見たことがある。華やかな印象を持った。


 でも成績は上位ではないから成績上位者が張り出されるボードに名前は書かれてはいない。ミロー伯爵家は最近事業が波に乗っていると聞いた。殿下の候補に選ばれた理由はそれだろう。と思った。


 すると殿下が来て挨拶をした。

「ようこそ、はじめまして。フレデリック・ル・クレマンです」

 そっと胸に手を当て頭を下げてくださった。私のような者にも頭を下げるだなんて素晴らしい方だと見惚れた。

 隣を見ると淑女の礼をするミロー嬢が! 私もしなければ! と見様見真似で淑女の礼をした。


 勉強ばかりでマナーまでは辿り着いていなかった。大人しくしていれば、私が注目されることはないのだから、マナー違反さえしなければ目立たない思っていた。



 1回目のお茶会はなんとか無事に終了。王宮は一言で感想を言うと素晴らしいと思ったわ。お茶もお菓子もメイドも皆な桁違いの優雅さ。


 帰りにお土産として渡された王宮の焼き菓子はバターがたっぷり使われていて今まで口にしたことのない上質な物だった。

 高位貴族ってこういう暮らしをしているんだと思わせた。夢のようなお菓子だった。


 それから2回目のお茶会、殿下は急な執務でお茶会は中止となったけれど、侯爵令嬢が2人もいて緊張したわ……


 侯爵令嬢は2人とも洗練されていて、別格と言う気品と存在だった。


 ミロー嬢も美しいけれど気品の差があるし、子爵令嬢のゲラン嬢は美しい容姿なのにどこか残念だった。
 胸元に目が行ってしまう。殿下を体で誘惑しようとしているのだろう。あの顔にあの体で迫られたら、あの上品な殿下もころっと籠絡されるのだろうか?


 お茶を淹れると言いゲラン嬢が席を立つ。お茶なんてメイドにさせれば良いのに。と思ったが皆何も言わなかったわ。

 そして口にすると少し温いけれど高級茶葉なんだとわかった。うちはケチだからもっと味が薄かったもの……。


 するとサレット侯爵嬢が『美味しくない』と言い、『どこが悪いのか教えて』と言うやり取りがあった。

 それを見ていると、サレット侯爵嬢がお茶の淹れ方をレクチャーしはじめたのだ。聞いていると勉強にもなったし、何より仕草が優雅。高位貴族なのにお茶を自ら? と思っていたら、後で聞いた話によるとお茶会を開催する時に招待客に振る舞うことがあるそうだ。


 そして人数分出された紅茶を口にすると、先ほどと同じ茶葉を使ったとは思えないほどの味! 香り! このお茶を淹れるためにどれだけお金を使って教育をされたのだろうか……



 そして雑談が始まり、ミロー嬢がサレット侯爵嬢に淑女の礼を教わっていた時にチャンスだと思った。サレット侯爵嬢の教え方はとても丁寧だったから。あっという間にミロー嬢も身に付いたほど!

 今まで自分に足りなかった部分をサレット侯爵令嬢は補填してくれる。

 そのお茶会の後、ゲラン嬢とミロー嬢は婚約者候補を辞退して新たに出会いがあったと言う。

 侯爵令嬢カサール嬢も辞退して婚約を結ぶことになったのだそう。



 早すぎる展開。兄に問い詰めることにした。これには裏があるわ! 














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